毎月28日に行われる成田山川越別院の蚤の市に、きもので出かけるのが楽しみです。昨年十一月の市で見かけてからずっと気になっていた、古い総桐の箪笥。三か月の間うんうん考えつづけて、このたびとうとう手に入れました。わが家のにわかづくりの和室の片すみに、ひっそり鎮座しています。
購入したお店にはいつもほどよく手入れされた家具が数点並んでいて、抽斗のすべりはよいし、後付けの金具も吟味されているようす。店主にうかがうと、もとはこうした家具の修理を生業にしていらしたのだとか。この箪笥は戦後のつくりらしく、骨董ではなく“再生家具”なのだけれど、あちらこちらに親しみのわく経年の小キズを抱えて、にぶい光を放ちながら浮かぶ木目がとても美しい。これから、ひとつひとつの抽斗の中敷きにするための更紗や木綿の古布を吟味するつもりです。
このごろ古いものにひかれます。というより、古いものがやたらに話しかけてくる‥という妙な感じがつづいています。でも、高価なものとおつきあいできる身分ではないから、「古道具」「古民具」というほどのものをすこしずつ、さがしたい。