秋深まる街をきものでゆくとき、街路樹の紅葉や木の実のひと色を装いに取り入れたくなります。真綿紬や唐棧、紺絣のきものにざっくりとした帯を合わせ、秋色の帯留めをのせる。至福のひとときです。
手前は会津塗り、奥は飴釉の箸置きを帯留めにしたもの。
漆のみを塗り重ねてつくられた帯留めはとろりとした味わいです。ところどころにほどこされた螺鈿が、時おりにぶい光を放ちます。
益子の陶芸家、郡司庸久・慶子ご夫妻による箸置きは、お干菓子の木型を利用してつくられたもの。だから和装にもなじむのでしょう。飴色がとても上品で、見たとたん「これを帯留めにしよう」とおもいました。
朱漆も飴釉も、黄金色の秋の陽にこそ深みを増します。
郡司庸久さんの作品展を開催中の益子へ、行ってまいります。