雪月花 季節を感じて

2005年~2019年
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『日本橋』

2014年03月20日 | 本の森
 
 1971年に近代文学館より復刻された、泉鏡花の千草館版『日本橋』。小村雪岱が装幀した美しい一冊を、古書店で見つけました。折しも、この週末から坂東玉三郎さんの特別公演「日本橋」が映画公開されますが、「外科室」(泉鏡花作、坂東玉三郎 監督映画)を観てからというもの、「高野聖」「天守物語」「海神別荘」(以上はシネマ歌舞伎)と、玉三郎さんの意欲的な鏡花作品の映像化に注目しています。「日本橋」は高橋惠子さんとの共演も楽しみ。鏡花×雪岱×玉三郎という、底知れぬ美の世界を堪能する春です。
 

時をさかのぼる

2014年03月06日 | くらしの和
 
 毎月28日に行われる成田山川越別院の蚤の市に、きもので出かけるのが楽しみです。昨年十一月の市で見かけてからずっと気になっていた、古い総桐の箪笥。三か月の間うんうん考えつづけて、このたびとうとう手に入れました。わが家のにわかづくりの和室の片すみに、ひっそり鎮座しています。
 購入したお店にはいつもほどよく手入れされた家具が数点並んでいて、抽斗のすべりはよいし、後付けの金具も吟味されているようす。店主にうかがうと、もとはこうした家具の修理を生業にしていらしたのだとか。この箪笥は戦後のつくりらしく、骨董ではなく“再生家具”なのだけれど、あちらこちらに親しみのわく経年の小キズを抱えて、にぶい光を放ちながら浮かぶ木目がとても美しい。これから、ひとつひとつの抽斗の中敷きにするための更紗や木綿の古布を吟味するつもりです。

 このごろ古いものにひかれます。というより、古いものがやたらに話しかけてくる‥という妙な感じがつづいています。でも、高価なものとおつきあいできる身分ではないから、「古道具」「古民具」というほどのものをすこしずつ、さがしたい。