先だって「小魚庵だより」でご案内しました祇園の三人展を主催された、截金師の齋藤一陽さんと古典絵画を手がける鶴田朋文さんのおふたりに、東京でお目にかかることができました。一陽さんと朋文さんはご一緒にお仕事をされることもあり、ふだんからとても仲のよいおふたり。来秋には、朋文さんの仏画に一陽さんが截金をほどこす御作を京都で見ることができるそうで、いまから楽しみです ^^
「はじめまして」のごあいさつの後、おふたりからすてきなプレゼントをいただきました。
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左は一陽さんの截金のガラスワークで、幾層にも重ねたガラスの中に、繊細な截金が花模様のごとくはめこまれています。截金は、仏像や仏画などを装飾するため、厚さ1ミリにも満たない金箔を切り出し、貼り合わせてゆくじつに細やかで根気のいる手仕事です。一陽さんは、截金の魅力をもっとたくさんの人に知ってもらいたいという願いから、こうしたガラスワークを考案されました。
右は朋文さんの仏画の文香。こちらもまた、手描きとはおもえないほど繊細かつ柔らかな線で描かれています。仏さまのお顔がとてもおだやかで‥ きっと、朋文さんのふだんのご信心とお心ばえから生まれる絵なのでしょうね。篆刻もとてもすてきなので、俳画用の雅印をいくつか彫ってくださいね、とお願いしています。
さっそく、こんなふうに使っています。
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ガラスワークはお気に入りの懐中時計の根付けに、文香はオーガンジーの巾着に入れて匂い袋に。ガラスの色は好きな緑ですし、匂い袋の中には仏さまがいらっしゃる‥ うふふ、まるでお守りです ^^ どちらも、きものでお出かけのときに帯にしのばせます。
当日はお天気にめぐまれて、銀座で会食後、おふたりの案内で銀座~日比谷のギャラリーめぐりをしました。おふたりのお知り合いだったり、ご縁のあるお方の展示会ばかりだったため、ゆく先々でお話がはずみました。中でも、もっとも注目しましたのは、染織家の麻田光子さんの紬織物(@銀座「ギャラリー無境」)です。
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「どうぞ、触れてみてください」とのご好意に甘えて、そっと触れてみましたところ、まぁなんとやわらかで軽いこと、まるで羽衣のよう。きものにしてまとえば、身につけていることを忘れてしまいそう‥ そんな織物です。神さまと自然からの贈りものを有難くいただき、こんなにも美しい色と風合いの布に織り上げる麻田さんのお仕事とお人柄に触れることができ、感激しました。
一陽さんも朋文さんも、作り手の方々のさまざまな思いに触れて触発されたようです。でも、日本の伝統工芸の世界は資金不足、人手不足など多くの問題を抱えており、かなり危機的状況だそうです。そんな状況であっても、なんとか力を尽くしたい、一石を投じたい‥というおふたりの気持ちがよく伝わって、今後のさらなるご活躍に期待を寄せずにいられません。
二年後の奈良平城遷都1300年の記念年をめざし、現在おふたりはすてきなアイデアをお持ちです。わたしは微力にもならないけれど、せいいっぱい、このチャーミングな職人気質の女性ふたりを応援したいとおもいます ^o^/