いつのまにか梅林の梅は満開になり、空に淡い花の雲をひろげています。啓蟄になりますと、梅の木の根もとに土筆を探します。土がかたいせいなのか、毎年丈の短いのが数えるほどしか出ないのですけど、見つけるとほっとします。どうか誰にも見つかりませんように、とられたりしませんように‥と祈ります。子どものころ、春の日差しにあふれる土手で両手にあまるほど摘んだ土筆。袴をとる指先が黒く染まったこと、おひたしのほろ苦い味。みななつかしく、もう遠いむかしのことのようです。
土筆摘むや柔肌色の一掴み (本宮銑太郎)
今回は、文様印を使った小物をいくつかご紹介します。
先月ご紹介したカレンダーを改良して、ポストカードとしても使えるようにしました。あるお店で主人がアルバムカレンダーを見つけ、「これ、使えるんじゃない?」というのでさっそく数冊を購入。本来は写真をはさみこみ、アルバムカレンダーとして使うものですが、それにはがきサイズの文様カレンダーを入れています。(上の画像です) ほぼ原寸大のものは
こちら です。
「
二葉葵(ふたばあおい)」は京都の賀茂神社の神紋、徳川家の紋章としても知られます。別名、
賀茂葵(かもあおい)・
葵草(あおいぐさ)・
二葉草(ふたばぐさ)。夏の文様なのですけど、芽吹いたばかりの葉っぱの赤ちゃんのように愛らしいので、弥生三月に使ってみました。ポストカードとして使うときは、翌月のカレンダーのほうがよさそう。来月はやっぱり桜の文様かしら。
お茶を楽しむときはコレです ^^
和紙や厚紙(クラフト紙)くらいなら、簡易な円切りカッターで円形を切ることができます。コースター制作のポイントはふたつ。ひとつは、連続模様の場合、紙を切る前にはんこを押しておくこと。デザインが自然に見えます。ふたつめは、円形のコースターには円形でない文様を合わせること。○に○を合わせますと、アクセントのないデザインになってしまいます。それでも円形の文を合わせたいときは、レイアウトを幾何学的にきっちりと並べるか、大きさのちがう印を用意してランダムに散らします。
最近、知人の依頼で家紋印を制作しました。「蝶」の女紋をご所望でしたので、数ある意匠の中から相談して「
松葉蝶」という繊細な紋を選びました。こちらが完成品の写真です。消しゴムはんこに木材の持ち手を付けますと、いくらか見栄えがしますね。
偶然、わたしの実家の紋も「蝶」なので、ついでに自分用に「
糸輪覗き蝶(いとわのぞきちょう)」の家紋印をつくっておきました。半分だけのぞいているのがかわいいでしょ。(‥自己満足。) さっそく一筆箋用紙に押しました。並んで写っていますのは吉祥文のひとつ、「
根曵松(ねびきまつ)」です。
ちなみに、「丸に××」とか「糸輪に××」と呼ばれる○に囲まれた家紋は、比較的新しい意匠なのだそうです。とくに覗き紋のようなユーモアあふれるデザインは、江戸時代の職人さんの遊びごころがあふれている気がします。
これからは、桜の意匠の小物をいくつかつくりたいな‥と思っています ^^
せっせと小物づくりにいそしんでいますと、時がたつのを忘れてしまい、お昼ごはんを食べる時間すら惜しくなります。子どものころから家にこもるのが好きで、家族で出かけるはずの休日も何かと理由をつけて留守番役になり、絵を描いたりカードをつくったりしながらすごすのが好きでした。父はいつもがっかりしていたようです。でも、娘は大きくなってもちっとも変わっていませんよ、お父さん。
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