雪月花 季節を感じて

2005年~2019年
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縫い取り(二) 八寸名古屋帯

2017年07月19日 | はたおと ‥織りものがたり
 縫い取りの技法を時間をかけて習得した後、仕上げにお太鼓柄の八寸名古屋帯を織ります。お太鼓の柄を縫い取りで表現するのですが、じっさいに着付けるときに苦労しないように、自分の体形に合わせた帯の長さ、お太鼓と帯前部の柄の位置、柄のデザインや色、レイアウトまで、しっかりと設計します。

 下はお太鼓柄のデザイン図。手持ちの帯を参考にしながらレイアウトを決めました。着付けるときに柄を出しやすいよう、縦長のデザインに。



 柄以外の部分は単純な平織りですが、八寸帯だから巾を一定に保つだけでなく、左右の両端がきれいに仕上がるよう、緯糸の折り返しに十分気をつけながら織りすすみます。
 まずは無事にお太鼓部分の縫い取りが完成。ところどころにわずかに金糸を入れて、アクセントに。下の写真は仕立て上がり後のもの。



 そして、もっとも苦労するのが半巾に折って着付ける帯前部の柄のレイアウトです。左右向かい合わせのデザインにするのですが、鏡合わせでなく、中心をすこしだけずらします。ここで、上下左右のレイアウトをまちがえてしまうと、着付けたときにタイヘンなことに!?なってしまいます‥。でも、このころには縫い取りにすっかり慣れていましたから、すこしずつ、デザインどおりに柄が織り出されてゆくのを楽しむゆとりがありました ^^

 帯前部を織ってしまえば、あとは手先までひたすら平織り、平織り‥。そうそう、経糸はかなり太めの糸ですが、緯糸の玉糸は3色(空色、黄色、桃色)に染め分けて、3色の糸をねじりながら1本に束ねて入れています。

 帯前部の柄のレイアウトと、仕立て上がり後に着付けてみたときの写真です。思いのほか柄出しがうまくいって、気分は上々です ^o^



 きれいに仕立て上がってきたときは、13メートルを織った縞木綿の着尺のときより、何倍もうれしかった~ 縫い取りって、楽しいです♪ もうひとつ、濃い色の地の八寸帯を織ってみたいな~ ^-^

 

縫い取り(一) ヘッドレストカバー

2017年07月03日 | はたおと ‥織りものがたり
 
 ブログをお休みしていた間に織り上げた作品を、ひとつずつご紹介してゆきます。

 高等科の最終課題である縞木綿のきものを織り上げると、いよいよ専修科。まずは「縫い取り」の技法を学びます。平織りの緯糸に色とりどりの刺繍糸を織り込んで自由に絵柄を描きます。大好きな鳥の絵をデザインして、ヘッドレストカバーをつくりました。鳥たちの音楽隊です ^^

 地は平織りだから、経糸と緯糸が垂直に交差するため、刺繍糸で曲線を描くのがちょっとむつかしい。さらには機にかけた経糸の下側に下絵を当てて、下絵のとおりに上から刺繍糸を入れてゆき、踏み木の踏み方によって刺繍糸の出かたを変えるのですが、下側のほうが布の表になるよう織りすすむ‥という、なんともはや、やりにくい織りかた!なのです。それでも練習を重ねるうちに、刺繍糸を入れる織目に検討をつけながらうまく表現できるようになります。織り上げた後、裏にインド更紗の布をつけてリバーシブルにしています。

顔と胴体部分で、刺繍糸の出かたがちがいます


 さて次の課題は、この縫い取りの技法でお太鼓柄の八寸名古屋帯を織ります。
 さすが専修科‥ 難易度高すぎます ^^;

 

縞木綿のきもの

2016年05月11日 | はたおと ‥織りものがたり
 
 二年に一度の春に開かれる手織り教室の作品展に、はじめて出品しました。未熟ながら、柄織りのブックカバースヌードノッティングの椅子敷き、そしてことしの一月に織り上げた縞木綿の着尺を単衣のきものに仕立て、会場の一隅に並べていただきました。

 足を運んでくれた母や友人たちと、300点もの作品をゆっくりと見ながら楽しい時をすごしました。中には、思わず手にとり「譲っていただけないかしら」とおもうものや、今後の参考にさせていただいた作品が多数あり、よい刺激をたくさん受けました。お世話になった先生や先輩たちに、感謝のきもちでいっぱいです。

 作品展のあと、手もとにもどってきた木綿のきものを着て、いそいそと日本橋へ出かけました。少々蒸し暑い日だったから、さりげなく緯吉野を織り出した九寸名古屋帯にモダンな色づかいの帯締めを合わせ、すっきりとした装いに。ふらりと立ち寄ったお店の店員さんに「涼しげですね」とほめられて、すっかりいい気分に ^^

 でも、織りが未熟なせいで着心地はいまひとつ。織っているときから縞が立ちすぎたかな‥と気になったけれど、袖をとおしてみるとこれが案外、強すぎず、弱すぎもせずの、なかなかよい塩梅の縞で、着姿もちょっぴりスレンダーに見える(気がする!)のです。

 最初のきものにしては上出来かな。 出番の多い一枚になる予感です。

はたおと

2015年12月07日 | はたおと ‥織りものがたり
 

機織りの高等科最後の課題、縞木綿の着尺を織っています。

春に縞の設計をして糸を染めることから始まった着尺制作。経糸を機にかけるまでおよそ半年、十月からようやくシャトル(投げ杼)をもち、緯糸を打ち込み始めました。

ごく淡い朱鷺色(ときいろ)の縞に、浅葱色の縞を添わせて。

カラ‥ トン、トントン、カラ‥ トン、トントン、‥‥ あとはもう、できるだけ同じリズムで、無心にひたすら、平織りです。

着尺の長さは、13メートル。
長い長い、道のりです。

 

ノッティング

2015年07月16日 | はたおと ‥織りものがたり
 
手織り教室に通い、とまどいながら一年がすぎました。あいかわらず不器用でちっとも上達していないけれど、なんとか織り上げてカタチになると、やっぱりうれしい。

二年目第一作はノッティング、椅子敷きです。長方形の組み方や大きさ、配色を考えるのが楽しかった。

椅子敷きだけを眺めると、デザインが安易でつまらないけれど、椅子にのせると‥5色のモザイクがイキイキと浮き立ち、「あ、これで完成!」となりました。

水色に赤、白、黄、緑で「水辺のチューリップ」と命名。組み方や配色を変えて“モザイクシリーズ”を織るのも、おもしろそう。


織機を購入して、自宅で織れるようになりました。次はいよいよ高等科の最終課題、縞木綿の着尺です。

 

柄織りスヌード

2015年04月15日 | はたおと ‥織りものがたり
 
機織りの三作目は、柄織りスヌード。高等科にすすんで最初の課題作品です。仕上げに行う縮絨(しゅくじゅう。きものの反物の「湯通し」に似た作業)もはじめての経験でした。

糸は、北欧のニットデザイナーが開発したペルー産の羊毛とフラックス(亜麻)の混紡。ちくちく感がほとんどなく、ふんわり、あたたか。
でも、スヌードという性質から「編みもの」と「織りもの」のちがいがわかります。「編み」は伸縮性に富み、空気を含みやすく保温性も◎だけれど、「織り」は伸縮性のない平面的な布だから、冬用のウールならだんぜん「編み」のほうがよさそう。さらりとした肌ざわりをもとめて木綿や麻でつくるなら、「織り」がよいのかも。

色の取り合わせや格子のデザインは、まぁまぁかな?



二重巻きして、装いのアクセントにします

 

二作目

2015年02月03日 | はたおと ‥織りものがたり
 

機織りの二作目は柄織りによる自由制作。2種の柄でブックカバーをつくりました。

裏布は館山唐桟(上の写真)とインドの鬼更紗(下)。どちらも貴重な布だから、“裏勝り”ですね ^^;

表のエジプト綿はやわらかすぎるし、柄織りで糸が浮いているから、出し入れするときに何かにひっかけてしまいそう。ブックカバー向きではないけれど、柄のおもしろさと手縫いの楽しみを味わいました。



文庫本にかけるとこんなかんじ。
ひとつは主人へプレゼントします ^^

 

糸をもとめて

2015年01月23日 | はたおと ‥織りものがたり
 

機織り三作目の糸をもとめて東京のお店へ。お目当てはIsager(イサガー)の糸。織りの技術がおぼつかない初心者だから、糸のちからを借りようというわけ。

Isagerの糸の質感も色もほんとうにすてき。このウールとフラックス(亜麻)の混紡糸は、軽くてなめらか。北欧のセンスにあやかりたい。

 

見本織り

2014年11月21日 | はたおと ‥織りものがたり
 
 一作目と同じ糸による、60パターンの柄織り。生地巾 30cm×長さ 90cm くらいです。

 乱暴な説明をすれば、4種の経糸に15種の緯糸どおしで(4×15)60種類の柄を織る、ということになるでしょうか。手前の8種の柄はわたしのオリジナルです。

 よくみますと、織り目がとんで設計どおりになっていないところもあるのですが‥、見本織りですのであまり気にせず織りすすみました。

 この中から好みの柄2種を選び、いよいよ2作目にとりかかります。
 ただいま2作目の整経(経糸の準備)中‥ ^^
 

一作目

2014年10月02日 | はたおと ‥織りものがたり
 
 機織りを始めて四か月、ようやく一作目が織り上がりました。

 白茶と小豆色のエジプト綿の変化平織りによる小風呂敷(60cm×60cm)。和装のときのおひざかけに‥と目論んだものの、やわらかく伸びのある仕上がりは風呂敷に向いているかも。均一でない織目はビギナーのご愛嬌で、できの悪い子ほど愛しい?ものですね。

 和裁も洋裁も、編みものもこなす母に甘えて育ったせいで、なにもできない不器用なわたしが、なぜいま機織りなのだろうか?と不思議です。この年齢になると、先生の言われたとおりに反復することさえままならず、頭でわかっても手がついてゆかないもどかしさに毎回(かなり)へこみます。

 それでも、自分のダメさ加減─多少は理解しているつもりだった織物の知識が、微塵に砕け散ってしまうほどの無知、無智、無恥─を眼前につきつけられたときの、爽快な気分といったらありません。気のとおくなるような時間軸(経糸)に、緯糸がわずかずつ積み上がり面をなしてゆくさまに没頭するひとときが、ただただ、楽しくてしかたがない!のです。