雪月花 季節を感じて

2005年~2019年
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春めく

2011年02月25日 | 季節を感じて ‥一期一会
 
 昨日の東京は日がなお天気雨でした。空に冬と春が同居して、不安定な空もようをもたらすのでしょうか。お天気雨は「狐の嫁入り」「細照雨(そばえ)」などと風雅な表現もしますけど、俳句では初夏の季語のようです。


 菜の花、つぼみ菜、たらの芽、ふきのとう、スナップえんどう‥ 店頭に春の味覚がたくさん並んで、若菜色が目にしみるように鮮やかです。

 先日、ふくら雀さんから届いたふきのとうの墨彩画です。みずみずしい色、清々しい香、はちきれんばかりの若菜の精気、そして湿った土の匂いまでいっしょに春風にのって運ばれてきたよう。


 こういう絵が“ほんもの”なんだなぁと、多少の自嘲を混じえながらしみじみと感じられたことです。

 わたしはいつになったらこんな絵が描けるようになるかしら。


 二月は逃げる‥ 早いものですね。
 まもなく桃の節句です。
 

わが家のてっぱん

2011年02月21日 | 小魚庵だより ‥日々の拾遺
 
 大げさな家族ごっこになかば呆れながらも、つい見てしまい毎回涙をさそわれるNHKの連続テレビ小説「てっぱん」。大きな鉄板でおのみっちゃんが器用に焼くお好み焼きがおいしそうで、番組が始まって以来、わが家でお好み焼きを焼く回数が増えました。

 おもいだすのは、父がよくつくってくれたたこ焼きと、母のお好み焼きの味です。当時いっぺんに9個のたこ焼きが焼ける鉄製の、使いこんで油のなじんだたこ焼き器が父のご自慢でした。「てっぱん」の主役・あかりちゃんの養父役・遠藤憲一さんが、涙もろかったわたしの父にちょっとだけ似ていることも、なつかしい味の記憶につながる原因かもしれません。

 わが家のお好み焼きは、もちろん母のレシピを受け継いだもの。たっぷりのキャベツとお好みの具を、卵とすこしの山芋粉でつないだだけのうす焼きです。週末のお昼にぴったりの、お手軽な定番メニューです。

お好み焼きレシピ(2人分=大きめのフライパン一枚分)
【材料】 卵2個、山芋粉16g、キャベツの千切り60g、お好みの具適宜
【つくり方】ボールに卵を割りほぐし、山芋粉を混ぜ合わせ、キャベツと具を入れて混ぜ合わせます。よく焼いたフライパンに油をなじませ、たねを均一に広げてフタをし、裏面に焼き色がついたら表裏を返します。その後はフタをとって焼き上げ、仕上げにソース、かつお節、マヨネーズ、紅しょうが、青のりなどをトッピングしてできあがり ^^

 

いよかんドーム

2011年02月17日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 風邪をひいてふせっている間に、近くの梅畑の白梅が咲きました。なごりの雪のふる中、けなげに凛と春の訪れを告げていました。毎年主人とわたしのどちらが先に開花を見つけるか競争(?)なのですが、昨年につづき主人に先を越されてしまいました。


 子供のころ、冬の間は愛媛の祖父母の丹精したみかんやはっさくがおやつ代わりだったわたしは、柑橘類が大好き。さまざまな柑橘類が店頭にならぶ季節は、欠かさないよう買いもとめます。

 おこたで暖をとりつつ、ふたつみっつの皮をいっぺんにむいて、伊予柑ドームやはっさくドームをつくって冷蔵庫に保存。写真は手前がはっさくドーム、奥がいよかんドームです ^o^


 こうしておけば、好きなときに食べられる♪ 朝食にヨーグルトで和えてたっぷり食べたり、疲れたときにひとつふたつを口に入れてビタミン補給。果物が苦手な主人も、さわやかな柑橘類はよく食べるんです。

 皮むきに欠かせないのがこの道具↓ やはり柑橘類に目がない母が見つけて取り寄せてくれたスグレモノ。房にキレイに切れ目が入るので、皮むきがとってもラクになりました。以来、食べる量が増えたかも(笑

主婦や高齢者に大好評の「ムッキーちゃん」は(有)ももやさんのヒット商品です。名入れもできるのでプレゼントにもよさそう。詳細は こちら をご覧ください。はっさくや甘夏みかんなどの外皮のかたい柑橘類の皮むき用で、みかんには不向きです。 

 

紬を学ぶ(番外編) 裂織

2011年02月09日 | くらしの和
 
 うさぎの香合をのせている敷ものは、中野みどり先生作の裂織(さきおり)マットです。じつはこれ、先生の裂織作品第一号!なんですよ ^^

 ご愛用のインド更紗の座布団カバーがすりきれてしまったため、カバーを洗濯し、それを裂いたものを緯糸としてこのマットを織られたのだそう。黒茶色の糸は紬糸です。

 そういえば、先生のご自宅兼工房のおざぶはインド更紗でした。紬塾で「モノのいのちを使い切る」ことを教えてくださった先生のおもいが、この裂織の布にもこめられています。

 長年、制約の多い着尺を制作されてきた先生にとって、「マット類は自由ですので、ほんとうに夢なの」だとか。素材も色もデザインも、先生のセンスあふれる裂織の傑作や大作が、近いうちに見られるかも‥ 楽しみです♪
 

アジアの布(二) マドミー

2011年02月02日 | きもの日和
 
 立春をまぢかにひかえ、日ざしに光の春を感じます。

 光や風に春の訪れを知ると、素材や風合いはともかく、気分的に身につけられなくなる色があります。たとえば、秋によりそう色。上の写真の帯の色も、もう季節はずれのようです。


 タイにマドミーという布があります。マドミーは、タイ語で「結ぶ」を意味する「mud」と「絹糸」を表す「mee」を合わせたことばで、古くから各家庭の母から娘へ、娘から孫娘へ‥とたいせつに受け継がれてきた自然染めの絹絣織物です。

 伝統的なダイヤの柄が並ぶマドミーの古布を仕立てた帯は、深く沈むような小豆色。しっとりと繊細な風合いに、もう何度も水をくぐったであろうと想像するにかたくない味わいがあり、文字どおり“身体に吸いつく”絹布です。

 赤、それもこのような深みのある赤には、血や太陽や情熱、そして糸を紡ぎ織機に精魂を注いだ女性たちの哀しみをも感じます。言葉では容易に伝えられないことどもを、母、娘、孫娘へとつよい絆でつないでゆく役割をするのが、このマドミーなのでしょう。


 唐棧や大島のような、西域伝来の柄ゆきのきものにはもちろん相性がよいのですが、不思議と渋い色の結城紬にもよく映えます。マドミーの古布と結城の色調や風合いが似ているだけでなく、結城紬もまた日本のマドミーといえる布だからかもしれません。