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平安京はいらなかった 読す

2017年01月10日 | 読後記
平安京はいらなかった      桃崎有一郎著     吉川弘文館刊

平安京は、現実を完全に無視し、
中央集権体制を確立する為の理念によって造られた、
初めから全く無駄な都市であると言っています。
私が感心したのは、967年から施行された律令の施行細目
「延喜式」です。
今日の法令と全く変わりません。
街路や居住区の運用方法についても規定されています。
1.  凡そ京路は皆、当家をして毎月掃除せしめよ。
2.  凡そ道路の辺の木は、当司・当家これを栽よ。
平安京では、自宅前の路面清掃は法的義務であったのです。
今回、京都に旅した時に、京都では家の大小にかかわらず
前庭と道路が常に掃き清められている事に気付いていたく感心していました。
ところが京都駅で買ったこの本を読んでみると、
なんと清掃の義務が「延喜式」に定められているではありませんか。
この規定が、徐々に民の生活習慣に根を下ろして、
今日では当たり前になったと想像するだけで、
1200年の京の奥深さを感じます。
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