今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

沢村貞子の献立日記

2013年05月05日 | 「本」のひきだし

ブクログより


沢村貞子さんというと、ちょっと意地悪でキツイお姑さん、というドラマのイメージが強い名脇役でいらっしゃいましたが、【「女優」と「家庭」のどちらをとるか・・・などと悩んだことはありません。女優はやめることがあっても、暮らしをやめることはないからです。】
とおっしゃるとおり、実に家庭的な方です。

沢村さんは、57歳から84歳まで27年間、1日も欠かさず「献立日記」というものをつけておられました。
それは大学ノートを5段ほどに区切って、日付(天気と気温が書いてあることも)と献立が書いてあるだけですが、
献立に使った材料だとか、誰それからの頂き物だとか、ちょこちょこと書かれていたり、それらを眺めていると、そこからは沢村さんの丁寧な日々の暮らしぶりがうかがえるようです。

その中から、フードコーディネーターの高橋みどりさんが、ある日の食卓、というようにいくつか献立を再現されています。
それは豪華ではないけれど、彩りよく、バランスよく、しみじみ日本の食卓だなぁ、と思わせるものです。

沢村さんのご主人は、新聞記者だった大橋恭彦さん、熱愛の末、一緒になられた、その時から沢村さんは献立日記をつけられているのだろうと思います。

家族のおいしそうな顔を思い浮かべながら、家族の健康を気遣いながら、主婦はそういう張り合いを持って、日々食事作りをしていると思いますから。

献立日記は、ある年の11月の朝食で途切れています。
多分、ご主人がもう普通の食事がとれなくなったんだと思います。

こういう暮らし方をされる沢村さんですから、自分ひとりになっても、食事を抜いたり、出来合のものですましたり、そんなことはされなかったと思うのですが、やはり張り合いというものを無くされたんだと思います。

「女は泣いてちゃいけないよ、おまんまの支度ができないからね」こう言って小さい頃からお母さんに台所仕事を仕込まれたという沢村さん。このお母さんにして、この娘あり。



沢村貞子の献立日記 / 高橋みどり
★★★★☆




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