今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

シブミはシブイ・続

2011年09月26日 | 「本」のひきだし
             
           たなぞうより

やっぱり気になって読んでみた。最新版を。
やはり取っかかりは、入りにくいのだが、読んでいくうちにぐいぐい引き込まれていった。

この巻では、ニコライの子供時代から、岸川との由来、囲碁との関わり方、そして岸川を手にかけた経緯など、すでにニコライを知っているので「ふむふむ、ふ~む」「なるほど、そういうことか」等々さとりで「??」の部分が霧が晴れるがごとく、もやもやがきっぱり消え去った感じ。

下巻では、洞窟探検というあまり馴染みのないスポーツがニコライの趣味のひとつとして、しばしば出てくる。
それらは大きな意味を持っていた、と最後にわかるのだけれど、馴染みがないだけにすごく綿密な描写にもかかわらず、想像しきれないと言うのが残念だった。

シブミを読んで初めて、サトリは本当にうまく、要所要所をとりあげて、続編に仕立ててあるなと思う反面、深みがないな、上っ面だけだな、と改めて思った。それほどトレヴェニアンはすべての(たぶん)事柄を掘り下げて、調べて丁寧に描いている。
桜の木の下での岸川と、ニコライのやりとりなど、日本人以上の心情が描かれているのではないだろうか。

最後に興味深かったこと。
サトリでもニコライの拳法というか技が今ひとつ腑に落ちなかったが、トレヴェニアンはわざわざ文中で断りを入れている。
以前の作品の中で、登攀の技術や、絵画の窃盗について記したところ、実際に同じ手口で事件が起こってしまった。そのため今回、ニコライの技については詳しくは書かないと。きっとその方面でも詳しく研究したうえでの事だと思う。

あ~読んでよかった~。おもしろかった~。

シブミ上・下 / トレヴェニアン 著
★★★★★


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