僕はある日、都内でも有数で有能な占い師を訪ねた。
占い師に9枚の写真を見せて、「この左の人はもうすぐいなくなるけど、このグループの中に新しく人が入る予定なんです。どんな人が入るか占っていただけますか」
占い師は女性らしからね低い声でこう言った。
「それは何かの賭けの対象にはしていないでしょうね。私はギャンブルの予想など賭け事の予想はしない事にしています」
僕は純粋な気持ちで知りたいのだという事を占い師に伝え、占い師は納得した表情のあと真剣な目つきで写真を見つめた。
「この人達が何者であるかは知りませんが、今非常に大きな転換期に差し掛かっているように見えます」
「トランプで言えば、ハートスペードダイヤクローバー、それぞれが揃っていない状態です」
「一つ間違えれば空中分解を起こす危険性を抱えていると感じます」
占い師は意味深でネガティブな言葉を次々と発し、そして核心へと触れた。
「ずばり、確かに近々ここの輪の中に花がいくつか植えられていくのが見えます。それは種ではなく鉢植えです」
「花は3つあります。いずれも鉢植えです。」
「ひとつは、白と紫の茎が高く、整った花びらを咲かせている花。ただ、葉がやや虫に喰われているように見えるので防虫が必要でしょう」
「もうひとつは、非常に赤い花。いや、少しオレンジがかった可憐な花。ゆるやかに静かに、しかし確かな鼓動と音色に包まれているようなイメージ。この花は大切に水を与えてください。きっと期待に沿うような色を咲かせる事でしょう」
「そして、もうひとつは黄色い花。ややゴールドっぽい花びら。非常に躍動的で多少水をやらなくてもスクスクと育っ事でしょう。見ていると非常に小さな幸せを感じます。見る人にそういう気持ちを与えます」
私は聞いた。「花は3つだけなのですか?」
「そうです。3つです。でも、周りを囲むようにぼんやりといくつかの花も見えています。これはどんな意味があるのかはわかりません。ただ、その周りの花も仲間に入りたがっている。そして、近い場所に根を下ろして行こうとしている」
残念ながら時間がやってきた。人気占い師だから制限時間厳守だ。外には何人も順番待ちをしている。
私は占い結果を実際に当てはめながら、心の中で少し早い一喜一憂をするのだ。