Nonsection Radical

撮影と本の空間

風評被害とトレーサビリティ

2011年07月20日 | Weblog
他所の地方の出来事と思っていたら関西でも福島県産の牛肉が出回っている事がわかり、おまけにとっくに食べてしまっていて、何もただちには健康の害がない事で、放射能など無害であるという学者先生の言う通りだと証明されたわけだが(汗;)、そのこととは別に風評被害が広まっているようだ。
ただし単なる思い込みで、ただちに健康に害があるわけではない(苦笑)。
どこの肉を喰っているのかわからないという心配が牛肉全体に買い控えをおこさせる気持ちがひろがっているのだ。
これは間違いである。
トレーサビリティによってどこの肉を食べたかは追跡出来るようになっている。
ただし文面通り「食べた」かがわかるのであって、喰ったあとでは仕方ない。
トレーサビリティとはそもそもそういうものなのだ。
未然に防ぐ事は出来ない。

関西でも大手スーパーで、放射線値の高い藁を食べた牛の肉が出回ったのだけど、テレビ映像で見る限り店頭の張り紙はアッサリとしたものである。
当店で該当する肉を売りました。ご心配をおかけしました。
コレだけである。
不思議だなぁと思っていたのだが、ある「風評」を考えついた。
場所は関西であるから、「喰ってしもうたやないか!どないしてくれんねん!買うた金返せ!補償しろ!」と買ってもいない人さえ文句を言いに行く土地柄(笑)ですから、当然店にもそういう騒ぎは行っているだろう。
なのになぜあんな味気ない張り紙なのかと・・・

我が家の老親も実はこの大手スーパーに特売デーというと買いに行くのだが、ここのカードを使って買い物をすると割引されると言う。
この割引の裏には、当然ながら顧客の購買調査として、いつ何を買ったかとコンピュータに登録されるのだが、このデータを元にトレーサビリティ、つまり当該牛肉を買った顧客を特定しているのではないかと「邪推」したわけだ。
しかし、そうであったとしても、あとの処理は知らない。
わかっていても知らない振りをしているのか、個別に対応しているのか。
それは当事者しかわからないし、知る必要もない。

知っておく必要があるのは、トレーサビリティで出荷元はたどれるが、出荷時点で検査はされていないか、検査を通過して流通したという事だ。
その結果、周りを巻き込んで全体の出荷停止、また全国の牛肉にまで「風評被害」が及ぶ事となるのだ。
もちろんこの責任は出荷元にあるのだから、責任を負わなければならない。
ただし出荷元とは、畜産農家ではなく、食肉市場である。
だって検査できるのにしてないんだから。
購買者だって、まさか検査もせずに流通しているなんて考えもしないだろう。
でもそれが現実である事を知ってしまった。
また、現実的には全ての食品を検査する事など不可能なのだ。
じゃぁ、何を食べればいいの?と関西でさえ悩む人が多いのだが、答えは、何を喰ってもイイ。
そういう国に生まれて生活しているのだからと諦めて、黙って口にするしかないのだ。
それぐらいの国だったんだと諦めるしかない。
だって、最終的には長いものには巻かれろの国民性だから。
それは「相手」だって十分承知して75日過ぎるのを待つ持久戦をしているのだから勝てるわけがない。
中国製のトンデモ食品の風評被害の時の騒ぎに比べれば、なんとオトナの対応であるかと安心していられる世の中である。


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