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生活保護法の改正、生活困窮者自立支援法でセイフティネットはどうなるか

2013-06-05 10:23:24 | 現代社会論
生活保護法の改正、生活困窮者自立支援法でセイフティネットはどうなるのだろうか。

2013.6.5の東京新聞のサイトからー

 生活保護法改正案と生活困窮者自立支援法案は四日の衆院本会議で採決され、与党と民主党、日本維新の会、みんなの党、生活の党などの賛成多数で可決された。今国会で成立する見通し。両法案には安倍政権の意向を受け生活保護費の抑制策が多数盛り込まれた。八月から実施が決まっている生活保護費の切り下げと併せ、二法案が成立すれば、「最後の安全網」が弱体化する懸念がある。生活保護のうち食費や光熱費などの生活費に当たる生活扶助費は二年半で8・3%減らされる。削減率は世帯ごとに異なり、最大で10%。都市部に住む四十代夫婦と小中学生の子ども二人の世帯は二〇一五年度に月二万円の減額となる。
 改正案について、政府は罰則引き上げなどの不正受給対策が中心と主張している。しかし、有識者などからは本当に必要な人が保護を受けにくくなる制度見直しが多いとの批判が出ている。
 申請時に申請書の提出と省令で定める書類の添付を新たに義務付ける規定は与野党協議の結果、口頭申請を認め、書類は保護決定までに提出すればよいと修正された。しかし、(1)扶養を断る扶養義務者に自治体が理由を質問できる(2)自治体は保護開始時に扶養義務者に書面で通知(3)扶養義務者の収入や資産の報告を勤務先や銀行に求めることができる-との規定は残った。

 NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛理事長は「家庭内暴力(DV)の被害者や親族から虐待されていた人が連絡されるのを恐れて申請しないケースはこれまでも多かった。改正法が成立すれば、確実に申請は抑制される」と指摘している。

 自立支援法案は経済的に苦しい人が生活保護に至るのを防ぎ、受給者には自力で生活を営めるように促すことで、保護費を抑える施策をまとめた。自治体に生活が苦しい人専用の相談窓口を設け、〇九年から臨時に実施されている仕事と家を失った人に家賃を原則三カ月補助する制度を恒久化する。就労支援や子どもへの学習支援、家のない人に一定期間、宿泊所や衣食を提供する事業も提示した。
 ただ、相談窓口の設置と家賃補助以外は自治体が必要ないと判断すれば実施しなくてもよいため、地域差が生じる可能性がある。
 衆院本会議では子どもの貧困対策推進法案も採決され、全会一致で可決された。

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赤旗は次のように報じている。

 生活保護の申請をはねつけ、利用者を追い出す生活保護法改悪案と生活困窮者自立支援法案が4日の衆院本会議で、自民、公明、民主、維新、みんなの各党に加え、生活の党も賛成に回り、賛成多数で可決、参院に送られました。日本共産党、社民党は反対しました。国民の命を脅かす悪法に自公はじめ野党4党も加担する異常事態です。衆院の審議はわずか2日、本会議採決では討論さえ行われませんでした。生活保護を申請する際、これまで口頭でも申請できたのに、改悪案では、書類提出を義務付け、窓口で申請をはねつけることを可能にします。扶養義務者に対する調査権限を強化し、保護開始の要件ではない扶養義務の履行を強いることで申請を抑える内容になっています。民主党は、書類提出について、改悪の根幹を変えないただし書き「特段の事情があればこの限りではない」との文言を加えることで賛成しました。

日本共産党は、申請書提出義務付けと扶養照会の強化は憲法25条が保障する生存権を壊すものであり、「違法行為である“水際作戦(=申請のはねつけ)”を合法化するものだと問題にしている。


改正の概要
東京新聞から


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生活保護は昨年から芸能人の不正受給などで国民の間にひどい、不正受給許さじ、の、雰囲気づくりが進行していて、みな、不正受給には厳しい態度をとる。不正受給を厳しく取り締まると本当に必要な人が受給できなくなる、というようなことも指摘されたが、不正受給があまりにもあくどく、一般市民感情からしてみれば、とても許しがたい状況であったので、みな、不正受給をなくすためならなんでもやろう、というような雰囲気が出来上がってきた。

こう書いている筆者も、不正受給はまずい、と思っていて、厳しい審査はやはり必要なのではないか、と思う。

2013年、4月、兵庫県小野市が市福祉給付制度適正化条例を施行した。生活保護費や児童扶養手当をパチンコや競馬などに浪費する受給者について、情報提供を市民に求める条例である。これについて、個人情報保護の立場、娯楽ぐらいいいのではないかというような反論もあったが、意外と生活保護でパチンコ、競馬はないだろう、という批判が一般的で、小野市の取り組みを後押しする意見が結構あったと思う。

筆者も、生活保護費で、パチンコ?競馬?かよ、と思う。
生活保護受給者も豊かな余暇生活を送る権利はあるから、遊ぶなとは言わないが、お金のかからない豊かな余暇の過ごし方が他にあるでしょうと言いたいのである。

右肩あがりの時代、みなが職を求めれば得られた時代だと、よほどのことがない限り仕事がないということはなかった。
病気だとか、精神的な病いだとか、いろいろあって、生保なんだろうと思っていたので、ある程度は許された。
しかし、今は社会保障費用が高齢化でうなぎのぼりで、なんとしてもコストをカットしなければならにご時世。
だから、生保でパチンコはないだろう、不正受給などもってのほか、厳罰に処すべきという厳しい世論となっているのも不思議ではない。景気が低迷すればするほど、みな、苦しいので、生保には厳しくなるのである。

生活保護は依存を生み出す麻薬のようなものである。
そこに至る前にさまざな対応が必要である。最後の安全網にする前にいろいろやるべきなのである。

生活保護に至ることなく、ある程度の生活が維持できるような社会保障制度が確立すべきなのであって、生保になんでもかんでもおしつけるというのが我が国の社会保障制度の悪いところである。

低額な家賃の公営住宅(高齢者向けを含む)、低額な公共料金、だたの教育費、医療、年金制度の健全化、公共交通機関の運賃の低額化をはかって、日常生活にほどんど食費以外お金がかからないような仕組みを作ればよいのである。
ゆるやかな広く行き渡る社会保障制度をつくって、生活保護に依存しないですむ生活の仕組みをつくる、これが大事なことである。

生保受給者はかならず、地域のサービスセンターで軽作業をするなど、地域社会との連携を図るしかけをつくる必要があると思う。
引きこもりなどのケースは別として、母子世帯など、地域とのつながりをつくり、子育てなどの支援もうけられるような社会の一員としての役割もつくれるようなしかけが必要である。生保のお金だけ受給して、仕事探しているかいないか、だけじゃない、もっと社会保障の扶助として国や自治体がやるべきことはあると思うのだ。
また、福祉事務所のワーカーを専門職で埋め尽くす努力も必要である。

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