3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

年金制度の論議における世代間の葛藤について

2012-07-02 08:38:50 | 現代社会論


墨田川沿いのブルーシートがだいぶ少なくなったようだ。
スカイツリー効果か?
聞けば、新しいホームレスの人々の流入を抑えているという。
ここをねぐらにしていた人々はどこへいったのだろう。
大都市のホームレスの多くはやはり中高年である。社会保障の枠外に置かれてしまった人々。
高度経済成長を下支えした人々。しかし、怪我や病気で働けなくなったら、ハイさようなら、と切られる。
老後の生活を支える年金はない。

年金制度についてどのようなものにすべきか、持続可能な制度にするためにはどうしたらよいか?

生活保護の保護費との整合性をはかったり、年金保険料の徴収を徹底する。子供のころから社会保障制度(社会保険+生活保護)、とくに社会保険制度についてはそのしくみを教えるべきである。細かいことは無理にしても原理は教えることが可能だ。若者(ネットカフェなどにいる)が、年金制度もどうなるかわからない・・・、と不安を訴えていたりするが、制度について知らない、無知なので不安も増すのだろう。早いうちに知っていれば、無理しても保険料を払っておいたのにと後悔することもあるだろう。

年金制度については、若者世代と高齢者世代の対立構造でよく語られる。
しかし、若者もいずれは高齢者になり、扶養される側にだれもがなるということを忘れてはいないだろうか。
時代の流れで、支払った分が返ってこないかもしれないが、それでも、社会保障の根幹である医療・年金・介護は、多くの人の保険料という形での制度への参加がなければ成り立たないものだ。老後や障がいをもったときの生活基盤になるもっとも安定した生活資金になるのだ。
どうなるかわからないのではなく、そういっているあんたが払わないからこそ年金制度をはじめとした社会保障制度が揺らいでしまうのだといいたいが、支払い能力がなければ免除制度ももあるわけなので、とにかく、制度への参画が必要だと思う。

また、年金制度が安定したものになれば、若者は、親の生活費の心配をしなくてよくなるのだ。
お笑い芸人だって、そこそこの年金が母親に支給されていれば、子どもは自由に芸の道に邁進できるわけである。母親だって年金がそこそこあれば、子どもに頼らなくても細々とやっていければ、こんな騒ぎにならなかったはずなのだ。

この母親が、社会保険制度の枠外で働いてきたことが問題なのである。本人の問題というより、そういう保険制度の枠外におかれた非正規労働者の老後の問題としてとらえるときわめて象徴的な事件なのである。社会保障の枠外に弾き出されるような働き方、この働き方を企業はいいこと幸いに都合良くつかっているのだが、それが問題で、これらの層は、年金がないので、一挙に生活保護層になだれ込む。

非正規労働者を社会保険制度の枠外にはじき出すしくみをやめるべきである。
年金支給額を生活保護の保護費と整合性をはかり、だれもがそこそこの老後生活がおくれるような制度にしておこう。
そうすれば、若者世代はちょっと大変ではあるが、それでも親の生活費を心配することはなくなる。自分の生活、自分の住宅ローンで苦労するもよし、である。そしてそればいずれは、老後の資金となる。

年金制度の論議で世代間の葛藤が問題にされるがそれは視野が狭い。
若者は将来の自分の年金獲得のためだけでなく、親への仕送りが必要ではなくなると考えると楽になると思う。
世代間の葛藤なんてのは些末なことなのである。

むしろ、問題なのは、高齢者間の年金格差、若者間の経済格差、壮年期にある人々の間にある経済格差の葛藤、それから非正規労働者(若者と女性)と正規労働者の葛藤、非正規労働者においても、家計補助的に働く専業主婦のおこずかい稼ぎ的労働者と母子世帯の母親のように生計中心者であるのに非正規労働的働きしかできない労働者の間にある生活格差と労働形態における格差(これはしばしば専業主婦と兼業主婦の葛藤と読み替えられる)、社会保険の枠内外の間の格差・・・そういう複雑に絡み合う格差と葛藤を解決し、少しは平等な社会を築くためになにができるか考えることが大切なのではないか。

増税するのだから、増税したぶんは、社会保険の枠外にはじき出される人を減らすためにつかうべきである。
その結果、生活保護層への流入は減らすことができると思う。
生活保護は全額税のしくみ。これが膨大になると大変なことになる。
そもそも最後のセイフティネットだから、その前の対策をきちんとすれば減らせるものなのだ。
生保の受給層が膨らんでいるのは、その前の段階がやせ細りなくなっているからである。










コメント
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