3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

パート、非正規の短時間労働者への厚生年金適用拡大しても第3号問題の解決は無理だろう

2012-01-27 11:19:50 | 現代社会論
厚労省は、26日、労働時間週20ー30時間のパートなどの非正規短時間労働者への厚生年金と健康保険の拡大を固めたとのこと。

当面は、年収80万円以上で従業員300人超規模の大企業で働く人を対象とするという。これで100万人が新たに加入することになるという。
その後、段階的に100人規模の企業に拡大で50万人が新加入。最終的には370万人に適用することを目指す。そうやって「第3号被保険者」を減らそうとしているのか。
しかし、所謂第3号の数は、平成21年度厚生年金保険・国民年金事業の概況によれば、1021万人である。少しづつ現象しているとはいえ1000万人を超える数がいるのだ。そのほんの一部に保険料をかしても、根本的な問題解決にはならない。3号問題は、この1000万人の未払いにもかかわらず国民年金を受給する人々がいることが問題なのだから。

しかも、この対象拡大は、パートを多く抱える流通業界から反発をくらうことが予想されている。法案が成立する見通しはたっていない。ますます、年金制度は混迷していく。

報道ステーションで、年金について古館が取り上げていた。
年代順に男性が並んで、受給額と支払額の違いを示し、若い世代は払い損であることをことさらに強調していた。
これには違和感を感じぜずにいられない。

年金制度の根幹を理解していない。
年金制度には、積立方式と賦課方式とがある。
積立方式とは若い現役時代に払い込んだ金を積み立て、老後にそのお金を受け取る仕組みである。
賦課方式とは、働く現在現役の人が払い込んだ金を現在の高齢者に支給する仕組みであり、「世代間扶養」という考え方である。
今の国民年金は賦課方式であるから、払い込んだ分が返ってくるとか、払い損というような発想はそもそも間違いなのである。積立方式のような民間の私保険とは基本的に考え方が異なるのである。
にもかかわらず、若年世代は損だとか、まったくもって議論、批判の前提がおかしい。これは単に無知である。

第3号のようなエレギュラーな制度をまず止め、シンプルにしよう。
国民年金は老後や障害を得た時の生活保障である。その時々で制度を維持し、高齢者の方々や障害をもつ人々の最低生活を保障するためにわれわれ現役世代はがんばるしかない。
払った分だけ戻ってくるという反対給付ではないのだ。社会保障制度なのだからそこの理解があまりにも浅い。

高額年金受給者にはそれなりの税をかければよいのである。とはいえ、高齢期になれば疾病障害のリスクは高まり医療費もかさむ。働くばは狭まり年金依存度は高くなるので、結局、それなりの額の年金が必要になるのは仕方ないことである。年金制度を痩せ衰えさせ、文明国日本で高齢者の行き倒れを出すようなことになってはいけない。持続可能な年金制度を知恵を出し合って編み出さなければならない。今が正念場なのだ。
コメント
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