Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

非戦を選ぶ国民を死刑にする石破幹事長

2013-07-17 | Weblog
自民党石破幹事長が、憲法9条を改悪し審判所(軍法会議)設置に強い意気込みをみせる発言をしたBSテレビ番組の録画を観た。石破幹事長は、兵士が不服従の場合のことを想定し「歯止め」「規律」が必要と言い、信じがたいことだが「軍人のほうが大臣より上だ」と明言。はっきりと「文民統制」を否定した。「憲法九条の原則があればと安心する人たち」を揶揄し、「自衛隊の内部法を整えるほうが大切だ」と言っている。
昨日記した部分も正確に引用すれば、石破幹事長は「『これは国家の独立を守るためだ。出動せよ』と言われたときに、いや行くと死ぬかも知れないし、行きたくないという人がいないという保証はどこにもない。だから国防軍になったらそれに従えと。それに従わなければその国にある最高刑がある国なら死刑。無期懲役なら無期懲役。懲役300年なら懲役300年。そんな目に遭うぐらいなら出動命令に従おうっていう。人を信じないのか、と言われるけれど、やっぱり人間性の本質から目を背けちゃいけない」。
しかもこうした重罰を課すために「審判所」の設置は必要で、「公開の法廷ではない」と付け加えた。「審判所」はつまり軍法会議(軍事法廷)で、現行憲法では禁じられている。自民党改憲草案9条2の5項には「軍人その他の公務員が職務の実施に伴う罪か国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、国防軍に審判所を置く」とある。
審判所=軍法会議がいかにひどいものだったかについては、『戦場の軍法会議 日本兵はなぜ処刑されたのか』(NHK出版 NHK取材班・北博昭著)をお薦めする。例えば太平洋戦争末期、南方戦線で物資が困窮し、進軍などできない極限状態に追い込まれた日本兵たちのケース。生命の危機にさらされ食糧を求めジャングルをさまよったことを、誰が咎められるのか。「敵前逃亡」名目で軍紀引き締めの「見せしめ」として行われた処刑は、「並べてみんな銃殺」という杜撰さだった。多くは兵隊の数を減らす「口減らし」が目的だったという。遺族たちは「逃亡兵を出した家」と非難され、久しく遺族年金も支給されなかった。石破幹事長の言うような「精神論」の綺麗事ではすまされない。軍人しかいない法廷では「文民統制」など不可能、裁判が省略されることもしばしばで、多くは書類も作られなかったという。ある法務中佐は「作っていたら戦犯だ」と告白している。政府も内部資料が残っていれば処分し、証拠を隠滅した。ドイツでは第二次世界大戦中に逃亡罪に問われた兵士が、戦後「ナチスの命令に従わなかった者こそ英雄」として名誉回復を遂げ、讃えられた。逆に、日本で「東京裁判」を否定する者たちによる「「自虐史観」批判」は、世界から見れば「トンデモ」解釈で、今まできちんと取り合われていないからこそ助かっているが、多くの国と共有できていたはずの「戦争責任」認識・第二次世界大戦の処理じたいをあらためて否定することは、戦後の平和への取り組みを無に帰し、国際的「孤立」を選ぶことを意味する。
マスコミも世の中も、参院選前でかえって感覚が麻痺しているのかもしれないが、なぜ今回の石破発言は放置されているのだろう。徴兵制も言い立てている自民党右派である。戦争をしたくないと考える国民を戦場に送り、命令に従わなければ死刑だと恫喝しているのだ。これだけ現行憲法をないがしろにし、基本的人権を無視してみせる者が、何の咎めも受けずのうのうとしていられることじたいに、私は驚愕する。いつから日本はこんな国になったのか。私の常識では、民主的な社会であれば、彼らが放置されているわけがない。徹底的に非難されているはずだ。本来なら辞職でもしないと収まらないのが当然である。「参議院選挙で自民党に入れてはいけない」という程度の反応では、生ぬるいのではないか。

民主党の菅直人元首相は16日、東京電力福島第1原発事故を巡り、安倍首相が「菅総理の海水注入指示はでっち上げ」と題したメールマガジンを掲載し続けているのは名誉毀損にあたるとして、首相に対して慰謝料など1100万円と謝罪を求める訴訟を東京地裁に起こした。安倍首相は、自身の公式ホームページ(2011年5月20日付)で、同年3月12日に行われた海水注入について「東電はマニュアル通り淡水が切れた後、海水を注入しようと考えており、実行した。しかし、やっと始まった海水注入を止めたのは、何と菅総理その人だった」と記し、その後その情報の誤謬が指摘された後も、訂正しなかった。「海水注入が中断された事実そのものが存在しない。海水注入の中断を指示したという事実も存在しない(菅氏)」ことが明らかになった後もである。「ネット選挙」が解禁された以上、結果としてこれは対立陣営に対する「虚偽の工作」となったという指摘だ。
菅元首相はこの件で何度も安倍首相を訴えることをほのめかしていたが、なかなか実行に移さなかった。とにかく選挙前に、動いた。どうせなら衆議院選の前にするべきだった。菅氏は震災直後に「アメリカの支援を断った」とも言われていたが、それも虚偽だという。ずいぶんデマを飛ばされていたわけだ。……安倍首相は当座は無視するだろうが、世論・マスコミはきちんと追及してくれるだろうか。
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出動命令に従わない隊員は死刑

2013-07-16 | Weblog
参院選公示後、改憲の具体的な内容について言及するのは遠慮していたらしい安倍首相だが、テレビ番組のインタビューで、将来的な憲法9条改訂に意欲を示し「われわれは9条を改正し、その(自衛隊の)存在と役割を明記していく。これがむしろ正しい姿だろう」と述べたという。自衛隊を軍隊として位置づける自民党の動きである。自民党石破幹事長も現憲法下での集団的自衛権について「行使可能」と発言。歴代政権は集団的自衛権に関し「国際法上の権利として保有しているが、行使はできない」という立場だった。自民党は参院選公約で、集団的自衛権行使を可能とする「国家安全保障基本法」制定を訴えている。どっちにせよ、やってしまうぞ、ということだ。日本の法律は全てザルではないか。報道によれば、9条改悪・国防軍創設後、「出動命令に従わない隊員は死刑、懲役300年も必要」「そんな目に合うくらいなら命令に従うだろう」とも、石破は言っているらしい。現行の自衛隊法では命令違反は最高懲役7年という。山田勝仁さんが言うように「憲法9条は自衛隊員を守るための役割を果たしている」わけで、これがなくなると、平和的良心的軍務拒否ができなくなる。最近「戦場の軍法会議」という本の書評を書いたばかりということもあるが、まったく世界の常識とかけ離れていると思う。こうした軍国的言説により既に日本という国は外向的に孤立しているではないか。与党政治家たちは歴史に何も学ぶ気もないし、生命の重さを感じてもいない。とにかく世界的視野と現実感覚が圧倒的に欠けている。さいきん一般の人から「「民主主義」って言葉は普通の国民には違和感あるのよね-」という言説を聞いて度肝を抜かれたことがあるのだが、民主主義や平和憲法を差別するという「洗脳」がここまで進んだということだし、国民じたいも飼い慣らされてとことん鈍感になっているということか。ところで猪瀬東京都知事は昨年のツイッターで、「戦争のない日本人にはピンとこないところだが、福島は現在「戦時中」で東電の下請けの人たちが「傭兵」として雇われています。しかしフクシマには日本人が国民として向き合い解決に関わらなければいけないのです」と言っている。自民党・東電の尻拭いを、国民は命と引き替えに強要される、そんなSFのような世界が現実に起きている。もう結果は見えているような論調で参院選とぼんやり向き合っている場合じゃない。

真夏の劇団の倉庫作業(写真)。埃だけではなく、思いがけぬ「生物たちの逆襲」もあった。ふふ。
夜は東京芸術劇場で原サチコさんの講演会。お客のような感じでの参加になってしまったが、私も国際演劇協会の理事なのでもう少しやれることを増やさないとと思う。原さんの渡独後の変遷・活躍を、改めて概観。才能の裏付けはもちろんだが、この人は人間としての「開き方」が優れているのだと思う。二次会にも参加。初めて会う人も多い飲み会は久しぶり。
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高温注意情報

2013-07-15 | Weblog
ここ数日の中では、少しは涼しい気がするのに、テレビには「高温注意情報」が出ているようだ。どういうことだ。日本だけが暑いのはやはり何か異常があるのではないかという人がいるが、まあその可能性は強い。……この日記はなんだか無理矢理毎日付けてきたし、前日のことを書くことにしていたが、最近は当日のことも書き始めている。150字ブログと謳っているし、こんなに毎日長く書くこともないのだが、せめて参院選までは、いろいろ悔いなく書いていこうと思っている。しかし今日はもうこれ以上書かずに出かける。世間は祝日だが劇団作業だ。暑い日に汗をかくことをするわけだ。……写真は今月頭、高江の座り込みテントで伊佐さんが運んできた白いキノコ。端を撮していないが長い木ではない。食べられるのだろうか。食べたのだろうか。誰か写真を大学の先生に送って確かめてもらっていたが……。なぜ今日はキノコの写真かと言われると困るが、とりあえず高温のせいだということにしておいてほしい。
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『最愛の大地』

2013-07-14 | Weblog
試写を観たのに記していなかったが、アンジェリーナ・ジョリー長編初監督の『最愛の大地』について。1990年代前半、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を舞台にしている。元恋人であったが敵味方の立場に別れてしまうボスニア人女性とセルビア人男性を中心にしているから、メロドラマではある。メロドラマ、というのは、舞台となっている設定がただの「背景」になってしまい、結果として御都合主義に陥るところがあるからである。しかし作り手にはリアルに撮りたいという執念があり、ぎりぎりのところで「そういうこともあるかもね」と思わせる限界で押し切ろうとする。「収容所もの」映画のジャンルにも入る面がある。つまり群像劇でもあるのだ。私が注目するのは、アンジェリーナ・ジョリーが自分でシナリオを書いているところである。どんなぎくしゃくしているようでも貫くものを感じさせるのは自作シナリオだからだと思う。彼女が約10年前に国連難民高等弁務官(UNHCR)の特使として初めてボスニア・ヘルツェゴビナを訪問した際、難民キャンプに収容されていた被害女性から直接聞いたことがもとになっているという。女性監督だからこそ、というべきか、虐げられた立場の女性たちの悲惨な出来事を、これでもか、これでもか、と描く。女性団体から抗議を受けアンジー監督自ら説明しに行ったりもしたらしい。シナリオとしての工夫は主人公の女性が画家であるところだろう。「肖像画」がさまざまな場面で効果的に使われている。セルビア人の残虐な行いを糾弾しつつ、過去にムスリムも同様のことをしていた、だから主人公の男性の父親の軍人の非道さにも理由があるとしてバランスを取り、最後のメッセージは「国連の内戦への介入があまりにも遅かった」となる。スケールが大きすぎるのか、視点が多岐に渡りすぎるというべきか……。ともあれ、アンジェリーナが国連で紛争地の性暴力阻止を訴え、「性暴力は戦争につきものだから起きるのではない。それを許す風潮が世界にあるからだ」と言ったことと通底する。橋下市長のくだらぬありえぬ慰安婦防波堤理論など吹っ飛ぶ、「戦争」に依存した「男性」という性の駄目さをとことん描いている。……個人的には1996年にマケドニアに『神々の国の首都』で公演ツアーに行った頃のことを思い出したりもした。バルカン半島はヨーロッパの火薬樽と呼ばれる。映画化もされた当時の新作戯曲『パウダー・ケグ(火薬樽)』という劇を本邦初演で上演したのは2000年のことだ。あの劇にも一部スタッフが嫌悪するほどの性暴力が描かれていた。
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責任の所在を明確に

2013-07-13 | Weblog
報道によれば、政府は、沖縄県名護市辺野古沿岸部に建設予定の米軍普天間飛行場代替施設内に、南西諸島の防衛強化に向け新たに編成する陸上自衛隊の「初動担任部隊」の拠点を設ける検討を「始めた」という。新基地基地前提の「自衛隊共用案」は以前からあるし、そういう目論見があることは予想はされていたことだが、この報道、「複数の政府関係者が明らかにした」そうだが、このタイミングで発表することに意味があるはずだ。そのどこにポイントがあるのか、ニュースを知った夜中から考えている。火事場泥棒的に「やってしまえ」なのだとも思うが、もちろん参院選を利用した「事案があること」の既成事実化を狙い、また、参院選の与党有利のためにするものでもあるだろう。しかし「配置場所としては、宮古島や石垣島が浮上している。ただ、能力維持に欠かせない広い演習場を島内に確保するのは困難で、辺野古であれば、滑走路などを使い離島へ迅速に展開できるメリットがある」という報道は、どう考えても偏向している。知事が着工許可を出していない飛行場を前提に「広い演習場」とは、よくもそんなことが言えたなと思うしかない。とにかく、報道の人たちに言いたいのは、「政府は」では困る。誰が言っているかを示すべきだ。そしてその情報の「前提」については、公正に伝えるべきだ。

報道によれば、日本原子力研究開発機構(JAEA)が発注した除染モデル実証事業(2011~12年)で、中堅ゼネコンの日本国土開発(東京)が福島県南相馬市で生じた汚染水340トンを、農業用水に使う川に流していたことがわかったという。原子力機構は、川に流すことを知りながら、排水経路に触れていない国土開発の計画書を了承、地元に提出していたんだそうだ。南相馬市も福島県も説明は受けておらず「排水されたことも知らなかった」。原子力機構は「地元と合意書は交わしていないが、排水については口頭で説明したはず」というが、そんな大事なことは言ったら大問題になっているはずだし、「説明したはず」ですませられる神経が常軌を逸している。国土開発は「機構が地元に説明をしたと聞いていたので、排水してもいいと理解していた。農業用水に使う川とは知らなかった」と言い逃れる。なんという無責任。南相馬市は「当時はガイドラインもなく除染の知見がなかった。日本原子力研究開発機構から汚染水は『処理する』と説明を受けたが、放流するとは聞かなかった」としているが、知見がなければ食い下がって、納得できるまで許可しないのが自治体の責任だろう。何とも醜悪な責任のなすりつけあいだ。……金房小学校近くの宅地で、住宅塀の洗浄作業で出た汚染水が通学路の砂利道に垂れ流しになっていた様子を、作業員の一人が「証拠を残そう」と急いでカメラを回したことから明らかになったというが、ほうっておいたら闇に葬られていたわけだ。国土開発の現場監督が、撮影に気付き「国の実証事業だ。写真は全て消去しろ。できないなら帰ってよい」と迫り、データの一部を削除させたというのもひどい話だ。ただ、トカゲのしっぽ切りみたいに現場のせいにしても仕方がない。「除染」という国策じたいが間違っているのだ。これも、責任者を明確にすべきだし、責任を取らなければならない仕組みが必要だ。村上春樹氏の最近のインタビューにはいろいろ思うことはあるが、原発事故について彼の言う「誰も罪に問われていないのはおかしい」という考えが正しいのは確かである。無責任体制が、この国の迷走を助長している。
そして、農業用水に汚染水を流しうる体質が発覚した以上、福島の人たちを傷つけると言われても、「食べて応援」は、ほんとうに、もう言ってはならない。

報道によれば、入学式や卒業式で、国旗に向かった起立と国歌斉唱を義務付けた東京都教育委員会の職務命令に従わなかったとして、停職処分を受けた都立養護学校元教員の女性(63)が、都に300万円の損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第2小法廷は都の上告を受理しない決定をし、都に30万円の支払いを命じた差し戻し控訴審判決が確定した。君が代不起立訴訟で賠償命令が確定したのは初めて。一、二審は女性の訴えを退けたが、最高裁は懲戒権者の裁量の範囲を超えているとして停職処分を取り消し、賠償請求について高裁に審理を差し戻した。東京高裁は、処分について都の過失を認めた上で、「停職中、教壇に立てないことによる精神的苦痛は、支給されなかった給与の支払いでは回復できない」として、都に賠償を命じていた。
どうしてこの記事がもっと大きく報道されない? 彼女の名誉を回復し、復職を可能にするための世論が作られない? 彼女を抑圧した者たちが誰なのかをきちんと報道しない? 
市民の生命を脅かしておきながらごまかしを繰り返している者たちが組織の中に紛れる一方、勇気を出して声を上げた個人の権利が蹂躙され、それを社会が無関心という悪意でスポイルしているこの国の現実は、本当にひどい。
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やりすごせることではない

2013-07-12 | Weblog
日韓、斎木外務事務次官と金外務第1次官による協議。金氏は日韓関係の安定した発展には「日本が歴史問題解決に誠意を持って対応し、両国間の信頼を回復させることが何よりも重要だ」。斎木氏は「安倍内閣は歴代内閣の歴史認識を継承している」と表明。そんなわけないだろう。相手に指摘される以前に、自分から具体的な釈明が為されなければならないはずだが、その必要性も感じていない。
東電福一原発3号機タービン建屋近くにある深さ約30メートルの立て坑内の汚染水から、国が定めた許容限度の約100万倍にあたる放射性セシウム137を検出。茨城県北部の日立市沖で採取されたスズキから、1キログラム当たり1000ベクレルを超える放射性セシウムを検出。茨城県沖のものは出荷停止の指示が出ていて、市場に出回ることはないというが、それで安心できるものではない。茨城県沖の魚介類から1000ベクレルを超える放射性セシウムが検出されたのは、一昨年4月に、北茨城市沖のコウナゴから2回のみ。今回は3番目という。今までも、深海や河口にいる魚を食べないようにはしてきたが、これからさらに漏れ続けたら、大平洋のサカナは駄目だ、ということになってしまうだろう。日本政府は放射能流出を遮るための具体的な方法論をいまだに提示できていない。
というように、現実をスルーしてその場しのぎの言動で誤魔化すことの繰り返しが今の日本だ。国民が、現実を見ないようにするこの欺瞞の状態を続けたいのかどうか、それも今回の参院選の鍵であろう。
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「民意」は存在する

2013-07-11 | Weblog
10日午後6時45分ごろ、東村高江の海岸約200メートル上空で、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが空中給油しながら南下していく様子を住民が目撃。「前方を飛んでいた米軍機からホースが伸び、オスプレイに給油したまま移動していった」「低く飛んでいたから、ホースまで見えた。集落の近くで給油しながら南下するのを初めて確認した」という。沖縄県議会でオスプレイの追加配備とF22ラプター戦闘機の配備延長の中止を求める首相、財務相、防衛相あての抗議決議・意見書を、全会一致で可決したばかりだというのに……。
その共同体が「民主主義」をどれだけ持ち得ているかの能力を計るハカリは、「民意」をどれだけ反映できるかということに、かかっているはずだ。
参院選公示日の7月4日、福島駅前で行われた安倍総理の第一声となる演説会に、「総理、質問です。原発廃炉に賛成? 反対?」と書いた自作のプラカードを持って参加した女性を、自民党秘書を名乗る男性と3名の警察官が取り囲み、プラカードは没収、さらに「住所、氏名、電話番号」をしつこく聞き出した。警察官職務執行法の第2条「警察官は、異常な挙動、その他、周囲の事情から合理的に判断して、何らかの犯罪を犯し、もしくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者、またはすでに行われた犯罪について、もしくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を、停止させて質問することができる」とあるらしいが、この女性の行動は異常でもなければ犯罪にあたりもしないだろう。その女性は泣き出すまで追い詰められ、今も恐怖心に苛まされているというから、これは自民党と警察の責任問題だ。もっと問題にされるべきだし、この女性の背後には多くの「反原発」の人々、多くの「民意」がある。表現の自由を否定し、暴力的に排除する態度は許されてはならない。

うだりつつ机に向かう一日。夕刻、出かけて、新作で取り上げる井原西鶴を研究するため、日米芸術家交換プログラムで三ヶ月来日しているというジョン・ジェスラン氏のドラマ・リーディング&トーク『ピロクテーテス』を観る。麻布鳥居坂をえっちら登り、国際文化会館へ。ちゃんと話したことはないが、ジョン・ジェスランはニューヨークで『屋根裏』を観てくれている。終えて、六本木にしては安い中華屋へ。ジョンは日本戯曲をもっと英訳して紹介すべきだという。今までの出版物は翻訳に問題がありすぎるとも。ついつい停滞しがちだが現在も抱えている翻訳プロジェクトを進めなくてはと思う。
そのリーディングに来ていた大学の先輩である安藤朋子さんに彼女が参加する〈愛知トリエンナーレ〉のチラシを見せてもらう。いろいろな作品が出場するようだが、一番人気は、大友良英とあまちゃんビッグバンドだろうなあ。『あまちゃん』サントラも異例の売れゆきというが、もう二十年前になるが大友初のサントラ『青い凧』は思い出深い。東京演劇アンサンブル『荷』の音楽を作ってもらった時にも『青い凧』の方法論を導入している。
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暑い日々が続く

2013-07-10 | Weblog
東電福1原発の地下水に含まれる放射性物質の濃度が急上昇していたが、セシウム134の濃度が四日間で110倍になっているという。原子力規制庁は「汚染水が海に漏れた疑い」というが、それは漏れているに決まっているだろう。原発付近の海水におけるトリチウムの濃度がここしばらく上昇し続けていたのだから、間違いがない。放射性物質がどこから漏れ出ているのかは把握できていないというが、どこからって、それは決まっていて、漏れている箇所かわからないということだ。扱いきれないということだ。なのに原発セールスを積極的に行う安倍政権は異常だ。インドも現政権はそんな日本の「原発輸出」に応じているが、福島の原発事故以降、各地で反原発運動が起きているという。報道によれば、インドへの原発輸出は他国へ輸出するよりもリスクが大きいという。かの国には厳しい原子力損害賠償責任法が存在し、事故が起きればメーカーが汚染の被害を賠償する仕組みになっている。日本製の原子炉で大事故が起きれば、メーカーに対して莫大な損害賠償が請求される。目先のことだけ考えてはいけないことを、福島の現実からなぜ学ばないのか。
安全性といえば、2013年版防衛白書は、沖縄県が「安全性への懸念が払拭されていない」として配備中止を求めている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、「安全性は十分に確認された」と明記した。何を根拠に?
事故を起こした原発は決して「安定」することはないのだ。防止するには、原発を動かさない、その前に、原発を作らない。それしかない。落ちるかもしれない飛行物は飛ばさなければいいし、導入しなければいいのだ。

この日も暑かった。午前中、早稲田大学6号館内で、日韓演劇交流センターの会議。学食で冷やし担々麺。午後、小野講堂で日韓演劇交流センター関連のイベントが続く。呉泰栄作、津川泉訳、中村孝夫演出のリーディング公演『統一エクスプレス』、続いて早稲田大学演劇博物館企画展示「大学路1980's-韓国現代演劇とソウル」関連演劇講座として、シンポジウム「韓国現代演劇にとっての80年代と大学路」。パネラー=呉泰栄、金錫満、金明坤、西堂行人、司会=津川泉、通訳=石川樹里、馬政煕。『統一エクスプレス』ができるまで、80年代の演友舞台、80年代のマダン劇とその後、韓国現代演劇にとっての80年代と大学路、といったテーマ。
打ち上げでは、金明坤(キム・ミョンゴン)さんが、彼をスター俳優にした映画『風の丘を越えて』でおなじみのアリランを披露してくださる。サイン入りの新刊著書までいただいてしまった。
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ただでさえ暑いのに

2013-07-09 | Weblog
街を歩いていると界隈商店街のテレビでも自民党の政見放送が流れている。安倍、小泉が並ぶ姿は、なんだか奇妙にぎくしゃくして腹話術師と人形のようだ。どっちが腹話術師でどっちが人形かわからないのが不気味。「女性を大切」にとか、無理矢理言っている感。「日本にはまだ可能性がある」と言われると、「ほんとはもうジリ貧なんだが」と本音が滲み出る。ただでさえ暑すぎるので、たいがいにしてほしい。
時として人は嘘をつくものなのだろうが、正直に嘘をついてくれると、ほんとはどう思っているか、ちゃんと伝わるものではある。
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梅雨明け、曇り空

2013-07-08 | Weblog
梅雨明け、七夕。しかし空は曇っていて、暗くなった空は星一つしか見えない。不透明な現在の空気を反映したような。
帰京してから座高円寺で、劇作家協会戯曲セミナーの第一期生、研修課では私が担当の嶽本あゆ美さん作『大平洋食堂』上演関連のイベント幾つかに関わる。アフタートークの後、大逆事件に関わる劇の主人公・大石誠之助の名誉回復が盛んな新宮から、大挙二十数名でいらした方々と話したのが印象的。
日曜日は公益社団法人になったばかりのITI(国際演劇協会)の新規・第一回理事会と事業委員会に出席。続いて、学習院大学の創立百周年記念会館で行われた岩淵達治先生追悼の会「ブレヒト演劇の現在ーブチ氏のアンコールー」に参席。

泉田裕彦新潟県知事は東京電力廣瀬社長と会談、具体的な事実を元にした攻勢で「東京電力は約束を守る会社ですか?」と詰め寄る。「安全確保を目的に締結した協定を東電は守る気があるのか、安全より利益を優先する体質は改まっていないのではないか」「廣瀬社長は勝算のない説明になぜ来たのか? 新基準をパスすれば大丈夫と説明するつもりだったのかも知れない。しかし、規制委は、質問に答えない、パブコメは無視する、話は聞かない状況。委員長が「説明する義務はない。」と言い放つ新基準をパスしても判断材料にならない」「福島原発事故の検証・総括なくして再稼働の議論はありえない」と明言。原発を抱える自治体の長は、続いてほしい。
東電福1原発の井戸水から法定基準の10倍に当たる1リットル当たり60万ベクレルのトリチウムが検出された。これまで井戸水から検出された中で最も高いという。海水への汚染拡散も懸念される。鈍感になってはいけない。
再稼働・原発輸出に積極的で「安全第一」といいながら原発停止を「3兆円の赤字だ」と算盤でしか考えず再稼働を急ぐ安倍自民党は実質的に廣瀬社長と大差ないが、「原発ゼロ」を目指す他党との違いが歴然としているだけに、参院選の結果は重要だ。
参院選を前に現状を「ねじれ」と言いつのり、自民党に寄り添うマスコミの主体性のなさには呆れてしまう。憲法理念じたいを否定している安倍自民党を攻撃して退陣させるくらいの良識がなければ、報道の自立など保たれるはずもないのだ。
大逆事件の時代と今と、どれだけ違うというのだろうか。
高江も、各地の反原発、反貧困その他の運動でも、自分の生活を保つ努力をしながら抵抗する者を、破壊そのものを国民から得た税金で行う者が抑圧している現状がある。本当に不合理だ。そして、どんなに無視されていようとも厳然と存在し抑圧者の攻勢を堰き止めてきたはずの「憲法」までも、国民の鈍感と権力者の蒙昧により改竄されることは、許されてはならない。
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劇場映画版『標的の村』

2013-07-07 | Weblog
小野寺防衛相とアメリカ第3海兵遠征軍司令官のグラック海兵隊中将は、今秋にも南海トラフ巨大地震や首都直下地震を想定した日米合同の防災実動訓練を実施すると発表。海兵隊に配備されているMV22オスプレイも初めて投入されるという。「トモダチ作戦をもう一度強固なものにしたい」「離島防衛だけでなく災害救助にも大きな役割を果たす」と強調し、オスプレイ導入を正当化しようという思惑だろう。これが容認されていいのか。日本国民はオスプレイ導入の現実、国の強硬な姿勢をわかっていない。
沖縄やんばる東村高江のヘリパッド建設をめぐり、国が工事に反対する住民に通行妨害の禁止を求めた訴訟で、一審に続き控訴審でも敗訴した伊佐真次さんが、控訴審判決を不服として最高裁に上告。伊佐さんは、突然自分の住む村で始まった米軍基地工事に対して説明を求めて座り込み、それでも工事を強行してきた防衛局に向かって「危ないからやめてください」と手を上げたところを「証拠」として通行妨害で訴えられた。伊佐さんは「自分たちの生活を守って何が悪いのか? 手を上げたことがなぜ妨害になるのか? これは表現の自由の範疇だ」と訴えている。本来ならば争う必要もない裁判であると、誰でも思っている。伊佐さんは何も訴えられるようなことはしていないし、国も何一つ論理的な証拠を持っていない。この裁判が、国などの公権力や大企業などが個人の公的な意見表明、表現活動を萎縮させる目的の「スラップ訴訟」であることはもっと批判されなくてはならないし、その前にこの現実を広く知らしめる必要がある。スラップ訴訟とは、「国や企業などがお金や力を使って、自分たちの事業にとって不都合な相手の活動を萎縮させ、金銭的・精神的苦痛を負わせることを目的に、裁判を利用することをいう」。アメリカでは既にこのスラップ訴訟は以前に社会問題化しており、既にその乱用を防ぐ法律があるくらいだという。そういうところはすぐにアメリカに追随しないのが日本である。日本はこうして、国が堂々とスラップ訴訟を推し進め、国家権力が民事裁判を利用し納税者・有権者を訴える前例を作ろうとしている。このこと自体が、民主主義の原則に対して矛盾している。

八月公開の映画『標的の村』の上映が成功するよう、支援したい。この映画は、ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設や新型輸送機オスプレイ配備に反対する、伊佐さん、ゲンさんたち、沖縄県東村高江の住民の皆さんの姿を描くドキュメンタリーである。既に多くの賞を獲得した同題名のテレビドキュメンタリーに、じっさいにオスプレイが沖縄に来る状況までをも追加し、倍の91分の長さの劇場映画にバージョンアップ。2012年9月29日、オスプレイが配備される前夜に普天間基地ゲート前に座り込んだ人々が、強制排除に乗り出した警察と衝突する様子の一部始終など、反対運動を続ける住民たちに寄り添いながら、沖縄の米軍基地問題の歴史を紐解いていく。琉球朝日放送が制作、同局でキャスターも務める三上智恵さんが監督。

以下、7月5日現在の「標的の村」公開スケジュールです。
これからまだまだ劇場は増える予定だそうです。東京の評判次第という所も大きいそうで、まずは東京でヒットさせましょう。
東京以外で近くに独立系・芸術系の心ある映画館がありましたら、「上映予定がないか、電話で聞いてみて下さい。前評判で、上映を決めてくれる映画館もあるので!!」とのことです。

公開予定日(前後する可能性がありますのでお出かけの際はご確認ください)
東京都 ポレポレ東中野 TEL:03(3371)0088 8月10日(土)~
神奈川県 横浜シネマ・ジャック&ベティ TEL:045(243)9800 順次公開
愛知県 名古屋シネマテーク  TEL:052(733)3959 9月予定
大阪府 第七藝術劇場 TEL:06(6302)2073 8月31日(土)予定~
京都府 京都シネマ TEL:075(353)4723 順次公開
福岡県 KBCシネマ TEL:092(751)4268 順次公開
沖縄県 桜坂劇場 TEL:098(860)9555 9月7日(土)~

『標的の村』予告編
http://www.youtube.com/watch?v=rJcJSZJ4qoI
公式サイト
http://www.hyoteki.com/
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そうじゃないのに

2013-07-06 | Weblog
韓国の劇団青羽『そうじゃないのに』を観る。李美慶の戯曲、演出は金洸甫(キム・カンボ)。主演は尹相華( ユン・サンファ)。昨年韓国の演劇賞を十賞獲得、ほぼ総なめした作品。ソウルでの再演に続いての東京公演。これが上演時間六十五分、俳優も五人だけの小品であった。舞台道具はテープルと椅子だけで、カンボにその日本での調達を相談されたものの、私が沖縄にいたので果たせなかったが、韓国版の写真を見た限り、取調室を舞台にしたわりにはシンプルとはいえけっこうお洒落な路線の家具類で、それは持ち合わせがなかったということもある。本番を観るとやはりお洒落な物を入手していて、結果的には、それでよかった。カンボによれば、最近の韓国演劇界は中劇場や商業ベースのものが増えてきて、それを疑問視する風潮もあり、「小劇場=演劇の初心に還った」この作品を、みんなが高く評価してくれたのではないかということだ。カンボが日本での上演にタイニイアリスを要望したのも、その理由によるものだという。タイニイアリスは三十年間、小劇場のできることは何かをフルに探ってきた老舗だ。……私が韓国で演出した韓国俳優版『屋根裏』とインターナショナル・コラボ版『裏屋根裏』でも大活躍だったサンファが主人公。繊細かつ身体的な演技を、じつに自然な説得力を持って見せてくれる。象の調教員がオイディプス的に追い詰められてゆくのだ。戯曲もよくできている。……カンボ演出の韓国版『ブラインドタッチ』は、韓国で最初に上演された私の戯曲だが、初めてその打ち合わせをしてからもう十年以上になる。一昔前の韓国は法律統制で日本文化を輸入してはいけなかったので、設定を韓国に置き換えるかなどと相談した。結果的には日本の設定のままでやったが、まだそれが珍しい時期だったのだ。……ともあれ、韓国の仲間たちの充実して元気な姿は嬉しい。(写真は右から、カンボ、サンファ、私)
「そうじゃないのに」上演情報  http://www.tinyalice.net/

最終候補に残っていることは察していたが、中澤日菜子さんが「小説現代長編新人賞」に決まる。新聞報道では受賞者紹介で「東京都在住の劇作家」とされている。彼女は劇作家協会戯曲セミナーの第一期生であり、この春まで研修課では私のクラス。かつて戯曲でも幾つも新人賞を取っているのだが、今後は小説と戯曲の両輪で活躍していくことになるのであろう。めでたい。考えてみると中澤さん、『大平洋食堂』の嶽本さん、研修課で私が担当する女傑二人は、大作主義だ。『そうじゃないのに』を観ると、あらためて小作品もいいものだと思うが、長編を書くことのできる体力は必要なこともある。頼もしい限りだ。

自民党は、TBSの報道番組「NEWS23」の6月26日の放送について「電気事業法改正法案など重要法案の廃案の責任がすべて与党側にあると視聴者が誤解するような内容があった」として訂正と謝罪を求めたが、「誠意ある回答を得られていない」として、TBSの党幹部への取材や番組出演要請を当面拒否すると発表した。これは報道の自由を否定するもので、許されるべきではない。

維新の会・橋下大阪市長は、参院選候補を支援するための沖縄での演説で、戦後の米軍統治下の沖縄で米兵向けに設けられた慰安施設について、「端的に言えば、レイプを止めるためにそのような施設をつくった。沖縄県の女性が一生懸命になって、そういうことをやってくださった。そういう女性たちに感謝の念を表して、そこで悲惨な境遇を受けた場合にはおわびや反省もしなければいけない」と発言。この人に感謝されても嬉しいはずがない、ましてや見当違いも甚だしい内容でだ。「お国のため」「軍隊」を肯定するための、ねじ曲がった理屈だ。さらに彼は、5月の米兵風俗利用発言を撤回、米側に謝罪の意を示していたはずが、「米国に言いたい。あんたたちも過去に女性を性の対象として利用しただろう」と開き直った。「米軍の沖縄占領時、日本の政府が真っ先に作ったのは、RAAという特殊慰安所協会だ」という彼の主張は前回同様だが、日本政府が米国占領下の県内で、RAA=特殊慰安所協会慰安所を設置した事実は、確認されていないはずだ。そのことについては各方面が「事実誤認」としても批判していたが、耳に入っていなかったようだ。
女性蔑視といえば、スケートの安藤美姫選手の出産について週刊文春は「出産を支持しますか?」「子育てしながら五輪を目指すことに賛成ですか?」と「安藤選手の出産賛否を問う」アンケートを始めようとして批判され、抗議の集中に耐えかねたか、謝罪文を掲載、アンケートを中止することにしたという。
差別というものは、している側は気づいていないことも多いが、橋下市長はほんとうに責任を取る勇気はないのか。

『そうじゃないのに』というのはなかなか良いタイトルである。今日はカンボたちの劇と中澤さんのことがあるので、いい話題にも恵まれたが、昨今の事象の多くは「そうではないのに」と言いたい気持ちになるのものばかりだからだ。
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法律で決めればそれでいいのか

2013-07-05 | Weblog
琉球新報によれば、公有水面埋め立てなどに関わる漁民への漁業補償に関連し、防衛省が補償に反対する人を説得した「有力者等」に対して、報労金や土産品を渡せる規定になっていることがわかったという。防衛省地方協力局長から各地方防衛局長宛てに出された「漁業補償等処理事務費の執行について(通知)」の文書に明記されている。説得に対する報労金に加え、有力者等が反対者らを説得するために開く説明会の会場費や食事代などを、各防衛局が立て替え払いができるとしている。沖縄防衛局は「局として、これまでに支払った実績はない」と説明しているが、この人たちはほんとのことを言った試しはない。漁協などが制限水域設定などのために開く総会の開催費用や、総会出席者の日当の負担についても同文書で定められている。沖縄防衛局は、名護市漁協が、米軍普天間飛行場の辺野古移設に関する公有水面埋め立て申請に同意した3月22日の総会について、同局が支出した会場借り上げ費とバスのレンタル料が約32万8千円だったことを明らかにした。報労金などの支出は防衛省内の内規(訓令)に基づき予算措置で対応するが、それについて法令根拠はない。防衛省は「国の事業を執行するに当たり、漁協など、相手に経済的な負担を負わせるのは適切ではない。負担を少しでも排除できるように定めたものだ。支払いに対しても内容を精査して、適正に処理している」という。国が自分の都合で法律を作り、思惑に合う勢力に対して利益便宜を図ったのでは、漁協のような民間の団体が「公正な判断」をすることができないではないか。
「一人っ子政策」の影響で急速な高齢化の進む中国では、年老いた親と別居して暮らす子どもに定期的な帰省を義務づけるなど親を心身ともにいたわることを求めた改正「高齢者権益保障法」が施行されたという。法律で「親孝行の義務化」をしなければならないというのもおかしな話だ。
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高江から東京

2013-07-04 | Weblog
公明党は政府の原発輸出政策について「日本の技術は高く、厳格な安全基準を新たに作ったとして(輸出を)求められれば、拒否することでは必ずしもない」と述べ、条件付きで容認する方針を示した。民主党政権時代の一昨年、ヨルダンなど4カ国に原発輸出を進める原子力協定の国会承認案に反対していたが、「(当時は)東京電力福島第1原発事故後の検証が無く、厳格な安全基準も無いなかで、時期尚早との慎重論があった」「今は厳格な基準が示されている。(原発輸出によって)日本より低い技術が広がることを防げる」という。一昨年と今と、何か変わっただろうか。呆れて物が言えない。……東日本大震災の復興予算が被災地と関連の薄い事業に使われていたことを批判されていた復興庁と財務省は、まだ使われていない都道府県や公益法人の基金1017億円を国に返還するよう求めた。政府は2011年度第3次補正予算と12年度当初予算で基金に1兆1570億円を配分しているが大半は執行済みで戻らないという。何度聞いてもひどい話だ。誰がどう決めてそうなったのだ。責任を追及すべきだろう。返還を求めたうち都道府県の所管分は386億円に上るが、国は強制できるわけではない。返還指示は守られるだろうか。……自民党の石破幹事長はテレビ番組で、米軍新型輸送機オスプレイ訓練の一部を大阪府の八尾空港で受け入れるとする維新の会・橋下市長の構想について「空港は住宅街にある。そんなところで訓練ができるわけがない」と述べ、実現は困難との見解を示したという。だったら普天間からも追い出せというのだ。昨日普天間で目撃したオスプレイは住宅等の至近というかほとんど真上を離陸していったぞ。……EU欧州議会は、フランスでイスラム系移民らに対するヘイトスピーチ(憎悪発言)が問題とされている極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首の不逮捕などの免責特権をはく奪することを決めた。同氏は2010年、イスラム教徒が路上で祈りをささげることを「軍事力によらない占領」と表現。「宗教上の理由で特定集団への憎悪などを扇動した罪」に当たるとしてフランスの司法当局から事情聴取に応じるよう求められていたが、応じていなかった。今後、フランス国内で司法手続きが進む見通しという。日本でも差別発言を取り締まる動きが出るべきではあるが、表現の自由との抵触について、そうとう丁寧に扱わなければならないだろう。そうした法律ができたらそれを悪用されかねないからだ。

7月2日は朝から米軍北部訓練場メインゲート前に。工事用の大型車両の出入りはなかったが、作業員ぽいのが乗ったワンボックスカー1台が入っていた。途中で締切原稿を書ききるためにトゥータン屋に引き揚げたが、その作業員らがN4地区に入って測量しているという報で、戻る。沖縄防衛局はヘリパッド建設工事を再開しようとしており、同日、琉球新報の取材に対し「7月2日、『N―4―2地区』の着陸帯に係る現地作業に着手した」と回答。……屋我地島の塩田遺跡発掘中の小島曠太郎・江上幹幸のクジラ専門家のお二人が高江に足を伸ばしてくれて、私は高江を離れる。6月に名護市が文化財指定した塩田の写真が名護市広報紙の表紙になっている。小島さんは製塩用の煙突という重要な発見をしたのである。「塩」の歴史のたいせつさはこれから見直されるだろう。……昨年犬島で上演した野外劇『内海のクジラ』再演を見越して、インドネシアの捕鯨村・ラマレラの衣裳を小島曠太郎さん経由でラマレラ現地に発注をお願いする。息子を大学に行かせたいというサンガさん一家に依頼することに。……18メートルのマッコウクジラを捕った時の写真を細かく解説付きで見せてもらう。捕鯨は「漁」ではなく「狩猟」だという話に盛り上がる。……翌日の高江は、午前7時半に、ワンボックスカー1台とトラック1台がメインゲートに入ろうとしたのに抗議、追い返すことに成功したという。私は帰京した。空港でやっと沖縄そばを食べた。

写真は、高江の若き天才・ピコ画伯が、私が購入した「山城博治シャツ」のヒロジさんの似顔絵の横に描いてくれた、私の似顔絵です。ありがとう!
博治さんはヘリパッド建設から高江を守ってきた中心の一人です。

↓山シロ博治後援会
http://yamashirohiroji.com/

↓博治さんと保坂展人さんの対談
http://yamashirohiroji.com/global-image/units/upfiles/285-1-20130702123317_b51d249fd0bd2b.pdf
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「新しい劇作家シリーズ」、開始

2013-07-04 | Weblog
この週末、「日本劇作家協会プログラム 新しい劇作家シリーズ」がスタート。第一弾『大平洋食堂』が開幕。そして7月5日の13:30より『ダム』リーディング。いずれも、嶽本あゆ美作。
劇作家協会は「戯曲セミナー」を行っているが、座高円寺で毎週行う授業の他に、上級クラスの「研修課」がある。そこで私が講師として担当しているメンバーたちがいる。嶽本あゆ美も、その一人。それぞれ個性が強く、しかも年々、なかなかに活躍を見せている。これからブレイクしそうな予感もある。『大平洋食堂』『ダム』が、その先陣を飾ることを願う。まあ、私も上演を観るのは、これからなんだけど。

以下は、公演に寄せた、推薦文。

「待ってました!」     坂手洋二
 嶽本あゆ美さんは〈劇作家協会戯曲セミナー〉第一期生である。「待ってました!」とばかりに飛び込んでくださった。こうした「第一期」は、積極性と意欲に満ちた、個性の強い人たちが集まりやすいものだ。確かにその同期生は、今やそれぞれのスタンスで演劇界で活躍している、傑物揃いである。なぜか女性が多い。その中にあって、頑固さ、一途さにおいて、嶽本さんは、群を抜いて目立っていたし、今もそうだろう。彼女の前作『クララ』を読んで、この、なりふり構わぬ猪突猛進のヒロイン像は作者自身の情熱と重なると、しみじみ思った。こういう人をまわりは放っておかない。彼女は瞬く間に演劇集団・円『オリュウノオバ物語』の戯曲化を手掛け、幸先のよいスタートを切った。
 嶽本さんの特徴は言うまでもなく、重量級の題材を相手にするところにある。歴史物が多く、現代物でも過去の出来事の積み重ねに立っている、含蓄あるものが多い。資料も膨大、登場人物も数多い。歴史上の出来事・人物を描くゆえ、制約もある。そこにオリジナリティを発揮させるというのは、並大抵のことではない。しかも普通の作家なら敬遠しそうな「難物」を素材に選ぶのだ。
 劇作家協会新人戯曲賞入選作『ダム』は、多くの審査員の激賞を受けながら、未だに上演されていない。珍しく現代を題材にしているが、あまりにも「問題作」過ぎるのだ。同じ熊本・川辺川ダムに取材した拙作『帰還』は、劇団民藝さんで、大滝秀治さん主演という枠を得て、企画が実現したが、昨今、確かにこうした題材で演劇をやろうという人は、少ない。劇作家協会としても、『ダム』が未上演なのは心苦しく、このたび「劇作家協会公開講座」のリーディングで、ようやく初めて舞台上で『ダム』の人物たちの台詞が発されることになった。
 そして、嶽本さんが五年近く暖めてきた最新作『太平洋食堂』が、劇作家協会が提携する座高円寺〈劇作家協会プログラム〉が今年から始めた「新しい劇作家シリーズ」のトップバッターとして登場する。〈劇作家協会戯曲セミナー〉の上級クラスである〈研修課〉の課題として、彼女が改稿を重ねる過程につきあったが、とにかく自分が描こうとする対象のスケールを決して縮めようとしない欲望の深さ、細かなディティールを簡単に捨て去ろうとしない執着の強さには、時折り呆れるほどだった。たいへんなエネルギーと意固地さである。私はもうこれ以上「もっと整理した方がいい」と助言しても無駄だと思い、彼女が気の済むまで改稿を繰り返し、自分で飽きるか諦めるのを、待つばかりであった。
 演出の藤井ごうさんは、一昨年から拙作『普天間』の演出を手掛けてくださって、同作品は今も国内を巡演している。若手と思っている人も多いが、幾つもの現場をこなしてきた手練れだ。そして、ハートがある。藤井さんが、この手強い嶽本戯曲をどーんと受け止めてくれることで、彼女はいろいろなことを諦める分量を可能な限り少なくしたまま、舞台上に『太平洋食堂』の世界を立ち上がらせるという「奇跡」に、立ち会うことができるだろう。そしてその「奇跡」は、たんに幸運によってのみ呼び起こされるのでなく、彼女の描く歴史上の事実の数々と同じように、関わる多くの人間の忍耐と受容の力によって実現するのだということを、さらに深く実感するだろう。そうした予言をしたくなるくらい、それほどに『太平洋食堂』は、多角的・重層的な野心作である。どうして彼女がそこまで頑固でなければならなかったのか、それが上演によって明らかになるだろう。現場に立ち会うわけでなく見守るばかりだが、今度は私たちが「待ってました!」と大向こうから声をかけることになるはずだ。

…………………………

○『大平洋食堂』は、以下のサイトから。私は6日18:00の回のポスト・トークに出ます。
http://taiheiyousyokudou.com/index.html#information

○ドラマリーディング『ダム』情報。
これまで未上演の、2006年度の新人戯曲賞受賞作。
写真は、ネットに上がっている、稽古の様子。西山水木、円城寺あや、鴨川てんし、鈴木穣ら、おなじみの面々。
[日時] 7月5日(金) 13:30
[会場] 座・高円寺
[料金] 1000円 杉並区民、劇作家協会会員は800円 『太平洋食堂』ご予約・ご観劇の方は無料
[作] 嶽本あゆ美
[ファシリテイター] 夏井孝裕
[ポストトーク出演] 坂手洋二、西山水木、嶽本あゆ美
[詳細・ご予約]
http://www.jpwa.org/main/award-dramareading
劇作家協会Webサイトの予約フォームからお申込みください
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