Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

高江から東京

2013-07-04 | Weblog
公明党は政府の原発輸出政策について「日本の技術は高く、厳格な安全基準を新たに作ったとして(輸出を)求められれば、拒否することでは必ずしもない」と述べ、条件付きで容認する方針を示した。民主党政権時代の一昨年、ヨルダンなど4カ国に原発輸出を進める原子力協定の国会承認案に反対していたが、「(当時は)東京電力福島第1原発事故後の検証が無く、厳格な安全基準も無いなかで、時期尚早との慎重論があった」「今は厳格な基準が示されている。(原発輸出によって)日本より低い技術が広がることを防げる」という。一昨年と今と、何か変わっただろうか。呆れて物が言えない。……東日本大震災の復興予算が被災地と関連の薄い事業に使われていたことを批判されていた復興庁と財務省は、まだ使われていない都道府県や公益法人の基金1017億円を国に返還するよう求めた。政府は2011年度第3次補正予算と12年度当初予算で基金に1兆1570億円を配分しているが大半は執行済みで戻らないという。何度聞いてもひどい話だ。誰がどう決めてそうなったのだ。責任を追及すべきだろう。返還を求めたうち都道府県の所管分は386億円に上るが、国は強制できるわけではない。返還指示は守られるだろうか。……自民党の石破幹事長はテレビ番組で、米軍新型輸送機オスプレイ訓練の一部を大阪府の八尾空港で受け入れるとする維新の会・橋下市長の構想について「空港は住宅街にある。そんなところで訓練ができるわけがない」と述べ、実現は困難との見解を示したという。だったら普天間からも追い出せというのだ。昨日普天間で目撃したオスプレイは住宅等の至近というかほとんど真上を離陸していったぞ。……EU欧州議会は、フランスでイスラム系移民らに対するヘイトスピーチ(憎悪発言)が問題とされている極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首の不逮捕などの免責特権をはく奪することを決めた。同氏は2010年、イスラム教徒が路上で祈りをささげることを「軍事力によらない占領」と表現。「宗教上の理由で特定集団への憎悪などを扇動した罪」に当たるとしてフランスの司法当局から事情聴取に応じるよう求められていたが、応じていなかった。今後、フランス国内で司法手続きが進む見通しという。日本でも差別発言を取り締まる動きが出るべきではあるが、表現の自由との抵触について、そうとう丁寧に扱わなければならないだろう。そうした法律ができたらそれを悪用されかねないからだ。

7月2日は朝から米軍北部訓練場メインゲート前に。工事用の大型車両の出入りはなかったが、作業員ぽいのが乗ったワンボックスカー1台が入っていた。途中で締切原稿を書ききるためにトゥータン屋に引き揚げたが、その作業員らがN4地区に入って測量しているという報で、戻る。沖縄防衛局はヘリパッド建設工事を再開しようとしており、同日、琉球新報の取材に対し「7月2日、『N―4―2地区』の着陸帯に係る現地作業に着手した」と回答。……屋我地島の塩田遺跡発掘中の小島曠太郎・江上幹幸のクジラ専門家のお二人が高江に足を伸ばしてくれて、私は高江を離れる。6月に名護市が文化財指定した塩田の写真が名護市広報紙の表紙になっている。小島さんは製塩用の煙突という重要な発見をしたのである。「塩」の歴史のたいせつさはこれから見直されるだろう。……昨年犬島で上演した野外劇『内海のクジラ』再演を見越して、インドネシアの捕鯨村・ラマレラの衣裳を小島曠太郎さん経由でラマレラ現地に発注をお願いする。息子を大学に行かせたいというサンガさん一家に依頼することに。……18メートルのマッコウクジラを捕った時の写真を細かく解説付きで見せてもらう。捕鯨は「漁」ではなく「狩猟」だという話に盛り上がる。……翌日の高江は、午前7時半に、ワンボックスカー1台とトラック1台がメインゲートに入ろうとしたのに抗議、追い返すことに成功したという。私は帰京した。空港でやっと沖縄そばを食べた。

写真は、高江の若き天才・ピコ画伯が、私が購入した「山城博治シャツ」のヒロジさんの似顔絵の横に描いてくれた、私の似顔絵です。ありがとう!
博治さんはヘリパッド建設から高江を守ってきた中心の一人です。

↓山シロ博治後援会
http://yamashirohiroji.com/

↓博治さんと保坂展人さんの対談
http://yamashirohiroji.com/global-image/units/upfiles/285-1-20130702123317_b51d249fd0bd2b.pdf
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「新しい劇作家シリーズ」、開始

2013-07-04 | Weblog
この週末、「日本劇作家協会プログラム 新しい劇作家シリーズ」がスタート。第一弾『大平洋食堂』が開幕。そして7月5日の13:30より『ダム』リーディング。いずれも、嶽本あゆ美作。
劇作家協会は「戯曲セミナー」を行っているが、座高円寺で毎週行う授業の他に、上級クラスの「研修課」がある。そこで私が講師として担当しているメンバーたちがいる。嶽本あゆ美も、その一人。それぞれ個性が強く、しかも年々、なかなかに活躍を見せている。これからブレイクしそうな予感もある。『大平洋食堂』『ダム』が、その先陣を飾ることを願う。まあ、私も上演を観るのは、これからなんだけど。

以下は、公演に寄せた、推薦文。

「待ってました!」     坂手洋二
 嶽本あゆ美さんは〈劇作家協会戯曲セミナー〉第一期生である。「待ってました!」とばかりに飛び込んでくださった。こうした「第一期」は、積極性と意欲に満ちた、個性の強い人たちが集まりやすいものだ。確かにその同期生は、今やそれぞれのスタンスで演劇界で活躍している、傑物揃いである。なぜか女性が多い。その中にあって、頑固さ、一途さにおいて、嶽本さんは、群を抜いて目立っていたし、今もそうだろう。彼女の前作『クララ』を読んで、この、なりふり構わぬ猪突猛進のヒロイン像は作者自身の情熱と重なると、しみじみ思った。こういう人をまわりは放っておかない。彼女は瞬く間に演劇集団・円『オリュウノオバ物語』の戯曲化を手掛け、幸先のよいスタートを切った。
 嶽本さんの特徴は言うまでもなく、重量級の題材を相手にするところにある。歴史物が多く、現代物でも過去の出来事の積み重ねに立っている、含蓄あるものが多い。資料も膨大、登場人物も数多い。歴史上の出来事・人物を描くゆえ、制約もある。そこにオリジナリティを発揮させるというのは、並大抵のことではない。しかも普通の作家なら敬遠しそうな「難物」を素材に選ぶのだ。
 劇作家協会新人戯曲賞入選作『ダム』は、多くの審査員の激賞を受けながら、未だに上演されていない。珍しく現代を題材にしているが、あまりにも「問題作」過ぎるのだ。同じ熊本・川辺川ダムに取材した拙作『帰還』は、劇団民藝さんで、大滝秀治さん主演という枠を得て、企画が実現したが、昨今、確かにこうした題材で演劇をやろうという人は、少ない。劇作家協会としても、『ダム』が未上演なのは心苦しく、このたび「劇作家協会公開講座」のリーディングで、ようやく初めて舞台上で『ダム』の人物たちの台詞が発されることになった。
 そして、嶽本さんが五年近く暖めてきた最新作『太平洋食堂』が、劇作家協会が提携する座高円寺〈劇作家協会プログラム〉が今年から始めた「新しい劇作家シリーズ」のトップバッターとして登場する。〈劇作家協会戯曲セミナー〉の上級クラスである〈研修課〉の課題として、彼女が改稿を重ねる過程につきあったが、とにかく自分が描こうとする対象のスケールを決して縮めようとしない欲望の深さ、細かなディティールを簡単に捨て去ろうとしない執着の強さには、時折り呆れるほどだった。たいへんなエネルギーと意固地さである。私はもうこれ以上「もっと整理した方がいい」と助言しても無駄だと思い、彼女が気の済むまで改稿を繰り返し、自分で飽きるか諦めるのを、待つばかりであった。
 演出の藤井ごうさんは、一昨年から拙作『普天間』の演出を手掛けてくださって、同作品は今も国内を巡演している。若手と思っている人も多いが、幾つもの現場をこなしてきた手練れだ。そして、ハートがある。藤井さんが、この手強い嶽本戯曲をどーんと受け止めてくれることで、彼女はいろいろなことを諦める分量を可能な限り少なくしたまま、舞台上に『太平洋食堂』の世界を立ち上がらせるという「奇跡」に、立ち会うことができるだろう。そしてその「奇跡」は、たんに幸運によってのみ呼び起こされるのでなく、彼女の描く歴史上の事実の数々と同じように、関わる多くの人間の忍耐と受容の力によって実現するのだということを、さらに深く実感するだろう。そうした予言をしたくなるくらい、それほどに『太平洋食堂』は、多角的・重層的な野心作である。どうして彼女がそこまで頑固でなければならなかったのか、それが上演によって明らかになるだろう。現場に立ち会うわけでなく見守るばかりだが、今度は私たちが「待ってました!」と大向こうから声をかけることになるはずだ。

…………………………

○『大平洋食堂』は、以下のサイトから。私は6日18:00の回のポスト・トークに出ます。
http://taiheiyousyokudou.com/index.html#information

○ドラマリーディング『ダム』情報。
これまで未上演の、2006年度の新人戯曲賞受賞作。
写真は、ネットに上がっている、稽古の様子。西山水木、円城寺あや、鴨川てんし、鈴木穣ら、おなじみの面々。
[日時] 7月5日(金) 13:30
[会場] 座・高円寺
[料金] 1000円 杉並区民、劇作家協会会員は800円 『太平洋食堂』ご予約・ご観劇の方は無料
[作] 嶽本あゆ美
[ファシリテイター] 夏井孝裕
[ポストトーク出演] 坂手洋二、西山水木、嶽本あゆ美
[詳細・ご予約]
http://www.jpwa.org/main/award-dramareading
劇作家協会Webサイトの予約フォームからお申込みください
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