Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

TPP前倒しの日本「属国」化、がん保険から

2013-07-26 | Weblog
日本郵政は、米保険大手のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)と、傘下のかんぽ生命保険とでがん保険事業で提携を進めているが、今秋以降、全国2万(今までの二十倍)の郵便局で提携がん保険を販売するほか、これからさらにアフラックと専用商品を共同開発する。従来検討してきた日本生命保険との独自商品開発は撤回するという。政府は「環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に正式参加する中で、がん保険の凍結を求めてきた米側に配慮した」という。
米政府は米系保険会社が強いがん保険に、日本郵政が参入することに反対していた。つまり、アメリカにこびを売り、日本生命保険との提携や独自開発をやめて「アメリカ一辺倒」にすることにしたのだ。TPP交渉を前にした日米の事前協議で、アメリカ側の「公正な競争条件が確保されていない」という懸念を払拭するためだったとか「これでアメリカ側の懸念が和らぐ」いう言い方も出てきているが、この方針のどこがいったい「公正」なのだ。
十年前までの七年間、私はニューヨークの情報誌に社会時評を連載していたが、その頃から「アメリカは日本のパブリックな郵便制度と保険制度に嫉妬している きっと動き出す」と指摘してきた。まったくいやな予想通りの展開だ。菅義偉官房長官は25日午後の記者会見で、アフラックとの提携で「企業価値の向上につながることを期待したい」と述べたというが、なんでアフラックと組んで価値が上がるのか。二十年前にはアフラックはごく小さな会社だった。そしてアメリカ本国より日本で成長した。翻って、この間に、小泉政権以来の自民党体制が、日本の「郵政」の価値をどん底にまで下げてしまったのではないか。小泉政権が始めた百年殺しのような「二十一世紀の日本のアメリカ属国化」の現実が、雪崩を打って押し寄せてきている。「日本国家」のアイデンティティーを大切に考える皆さんが、なぜこの事態を放置しむしろ歓迎しているのか、私にはとんとわからない。
私にはアメリカンファミリー生命保険(アフラック)という会社そのものにはなんの悪意もない。努力したから成長したのだ。日本人の心理を読んで宣伝に膨大なカネとアイデアを注ぎ込んできたのだ。彼らは結果を出した。アヒルに罪はない。「よく考えよう お金は大事だよ」と人間様に説教したり、ネコと合体して不気味になったりしても、目を瞑ろう。悪いのは日本の自民党体制と消費社会にどっぷり浸かりきった国民である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする