Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

『隣人予報』

2013-04-08 | Weblog
諸々の雑務で時間が過ぎていく。読まなければならないものも多い。観にゆきたい芝居は幾つかあるが複数は諦め、夕方に阿佐ヶ谷まで自転車で出かけ、ザムザでマッチポイント『隣人予報』。作者の佐々木充郭を劇作家協会戯曲セミナー研修課で私が担当していることもあり、なんとかこれだけは観る。この戯曲も二度ほど講評したが、その後、松本祐子演出の指導により、方向性じたいも変更し、大幅に書き換えられた。そのバージョンも講評はしたが、もはや現場の手に渡ったものであるから、上演じたいに口出しをする必要はないので、どう直すかよりも、佐々木君がじっさいの上演から何を学ぶかにシフトして考えることになる。松本演出は、ちょっとつかみどころの定めにくいこの戯曲と、いろいろ凸凹のある出演者たちを、チカラワザでまとめる。「喜劇」としては難物で、矛盾も多く、突っ込みどころ満載なのだが、途中からそれらが必ずしもマイナスにならなくなる。作品をまとめるリーダーシップは重要だ。作者はそれに甘えず己を磨く必要がある。……沖縄をとりまく情勢に、胸が痛い。帰り道に沖縄物資を揃える店に寄り、ナイチャーの店主と立ち話。沖縄のことを少しはわかっているはずのその人でさえ「沖縄にも両方の意見の人がいますからねえ」「島の経済が基地に支えられていないとは言えないですからねえ」と口にしてしまうのは、情勢が混迷していることもあるのだろうが、やはり一種の諦念のようなものがあるからか。自分の生活圏に基地があることを望む者など、一人もいるはずがない。
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