Aさんは上品な初夏の花を描かれました。
「てっせん」 日本画 F4
やや紫がかった藍色の背景に白いテッセンの花が浮かび上がって
います。花に入れられた胡粉の白い線は花びらの薄さと優美さを
あらわして、墨線ですっきりと表現された背景の葉と好対照です。
写実的な花が際立つ妖しい魅力に溢れた作品です。
近づいてみました。
粗い粒子の岩絵の具を塗り重ね、重厚で複雑な味わいをもつ
青い下地をしっかりつくったあと、柔らかい筆致で淡く花びらを
描き出しました。描いては消しを繰り返しながら線の強弱をつくり
Aさんが始めに思い描いた仕上がりになるまで描ききりました。
一筆を大切にする妥協のない制作姿勢が作品にも表れています。
過去の作品は制作順に『上郷の森 日本画教室』内の“作品集”の
中のAさんのページに掲載されています。ぜひこちらもご覧下さい。