起床とともに庭に出たら、一昨日のように「ホーホケキョ」と上空から聞こえてきた。鳴き声の聞こえなかったこれまで、鶯はどこで生活をしていたのだろうか。私に聞こえる「ホーホケキョ」の鳴き声は、鶯にとってどんなことばになるのだろう。今このときの、その鶯のことばは必ず在るはずだから。鳴き声の主は、鶯という名を知る由もない。「ホーホケキョ」と聞こえたこの私がいて鶯がいる・ホーホケキョのようなな鳴き声になった鶯がいてこの私がいる。二つのものが、このように一つの境地なんだよ、と「不二法門」ということばに教えられている。生活者は常に、「今・ここ」事実に値遇(であ)いたがっているようだ。
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