ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 





本藤理髪店。台東区根岸3-22
2005(平成17)年10月8日

柳通りの根岸4丁目交差点の東南の角は古い日本家屋の民家で、その家と並んで本藤(ほんどう)理髪店がある。このたたずまいだから、今も営業しているのかどうか分からないが、有名だと思う。
『東京路上細見3』(酒井不二雄著、平凡社、1988年)によると、1925(大正13)年の創業。椅子だけは新しくしたようだが店内の調度品は創業当時のものがいまだに使われているという。鏡はドイツ製、柱時計も大正14年製の骨董品。スリッパに履き替えて上がるのだそうだ。黙って座れば刈上げにされてしまいそうだ。
正面中央にかかる「本藤理髪店」の看板の上に一回り小さい板の看板がある。右から「整容浄髪」と書いてある。ストリートビューを見るとこの看板がなくなっていた。
『東京路上細見3』には「東京下谷根岸近傍図」(明治34年)の一部が載っている。本藤理髪店の辺りと思われる「中根岸75」に「カリコミ店」と書き込まれている。『ディープに迫る!日暮里と根岸の里』には根岸近傍図の詳しい解説があり、「カリコミ店」について「床屋。明治34年ごろは板敷きで、入り口で上草履に履き替えて、待合の長椅子で待つというスタイルが一般的。」とある。本藤理髪店との関係の有無はもちろん不明だ。

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