ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




都庁西3号庁舎。千代田区丸の内3-5。1986(昭和61)年12月30日

丸の内の旧都庁の西の通りに面していた庁舎。上の写真は曇った暗い日の撮影のようでモノクロ写真のようになっているうえ街路樹の枝が邪魔だ。それでもこの写真はまずまずのもので、街路樹の葉が出てくるとそれに隠れて見えなくなってしまう。
当時の都庁の案内図には「東京都建設局(道路管理部、道路建設部、区画整理部)、職員互助組合(売店、相談所)」となっている。
帝国農会という組織の事務所として1930(昭和5)年に建ったビルで、岡田信一郎の設計、銭高組の施工である。旧都庁の北西角にあった日本赤十字東京支部の建物も岡田捷五郎との共同設計によるものだった。
「AGROLib(農林水産研究結果ライブラリ)」「帝国農会時報」という会報が公開されている。その31号(1930年)に5月27日の落成式の記事が載っている。外観の写真もあり、それについての少々大げさな解説もある。建物の資料としては1929年8月号(21号)に「新築工事概要」と岡田信一郎自身が寄稿した「帝国農会の建築に就て」という記事がある。


『建築探偵日記』(藤森照信著、王国社、1993年)が西3号庁舎を取り上げている。それによると、都庁の職員は「テーノービル」と言っていたそうだ。「帝国農会ビル」の名称が尾を引いていたわけだ。本書にはビルを飾っていたレリーフについて述べている。窓の間の壁に見えるが、4本のオーダーのつもりらしい。その柱頭の飾りが羽根を広げた鷲である。鷲の前には盾があって、そこに種を蒔く農夫が描かれているそうだ。ビルの左右にある3階の窓にバルコニーがあって、その壁にもレリーフがある。こちらは「豊穣の角」だという。

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