ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




春原歯科医院。千代田区神保町3-9。1985(昭和60)年8月4日

すずらん通り・さくら通りの道筋が日本橋川に突き当たるすぐ手前である。春原(すのはら)歯科は大正15年の建築という。春原歯科と向かって右の神保町3丁目町会事務所の家は現在も変わらず、入口脇の看板を新しくして今も開業している。
写真左の銅板張り看板建築は「糊亀」の店。下の写真にある丸い看板が面白い。出桁造りの軒下に吊るすと似合いそうだ。1987年には店を閉じてしまった。『東京路上細見1』(林順信著、1987年平凡社刊)に閉店の挨拶の張り紙の文句を記録しているので、採録させてもらう。「御挨拶 江戸中期に先祖が尾張の国を出、神田お玉ヶ池のほとりに居を構え、以来二百有余年、代々神田で生計を営んでまいりましたが、此の度、都合により転居いたす事になりました。長い間の御愛顧御引立をありがとうごじました。皆々様の御繁栄をお祈りいたします。 六十二年二月 尾張屋 糊亀」。


左:糊亀。神田神保町3-9。1985(昭和60)年8月4日
右:三栄商会。神田神保町3-15。1987(昭和62)年1月4日

三栄商会は自動車の部品などを扱う会社らしい。雉橋通りから春原歯科のある通りに入ってすぐのところにあった。2軒長屋の形式の看板建築で、右側には「河合商店」の文字と「やまいち」という屋号の標章が残っている。建物上部の銅板を貼って作った模様がけっこう凝っている。飾り罫のような細工までしている。

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