ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




ダン(紳士洋品)。千代田区神田神保町1-43。1983(昭和58)年9月

駿河台下交差点から大通りを少し南に行ったところにあった。
3階の横の屋根(ほとんど壁に見えるが一応マンサール屋根)がうろこ状のスレート葺きで、ドーマー窓が突き出している。それによって洋館のように見えるが、正面2階のベランダの奥に見えているのは和風のガラス障子で、和室であることが分かる。
2階の庇の上には「原田商店」の文字がなんとか読める。角の柱の2階部分に「駿河台通」の表札が付いている。
ダンの右は「らいぶ居酒屋カラベラ小劇場」。
現在は2003年に竣工した神保町三井ビルの敷地になって、写真の横丁までも消滅した。



1986(昭和61)年6月1日

『下町残照』(村岡秀男著、1988年・朝日新聞社刊)にダンのご主人(明治38年生まれ)の談話が記録されている。それによると、建物は昭和3年に加藤辰五郎という大工が建てたもので、3階の屋根は消防署の指導で3階までの通し柱を切ってマンサールにした、という。昔は足袋屋で、関東大震災直後に建てたバラックの家の写真には、「川嶋屋足袋店・原田商店」の看板を挙げている。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )