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大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・臨時増刊・SF&青春ラノベ『レイカの花・1』 

2018-07-31 06:50:52 | ライトノベルベスト

臨時増刊・SF&青春ラノベ
『レイカの花・1』 
     


 本名は立花麗花。

 レイカって音も字面が嫌いなんで、子どものころから「ハナ」ってことにしてる。

 考えてもみてよ、レイカって漢字変換したら「冷夏」だよ。「零下」ってのもあるけどね、ほんでもって雨女。冬の耐寒登山でも、雪でなくて雨になるくらい。運動会の2/3は雨。で、その時に応じて雨女とか雪女とか言われる。
 字で書いても、立花麗花。花が二個も入ってて、どうにもオーバーディスプレー。
 だから、小学校で、わりに顔が利くようになってからは「レイカ」とは言わせない。単に「ハナ」ってことにした。漢字はダメ、あくまでカタカナよ。
 あたしは身長148……あんまし高くない。ルックスは10段階評価で7。これ意識的にゲンキハツラツして7だからね、ボンヤリしてると、とたんに6とか5に落ちてしまう。
 あたしのチャームポイントは鼻だ。ちょっとツンとしてるけど、我ながらかっこいい。鼻だけが体のパーツで自己主張している。

 それから、顔がきくようになったのはね、小学校の「文化の集い」ってのでお芝居やって、たまたま準主役になっちゃって、それで主役を食うぐらいの名演技やったわけ。そしたらみんなの見る目が変わってきちゃって、148センチのわりには顔がきくようになったわけ。
「プロダクションにでも入れば」とか「AKBうけなよ」とか言われた。

「あたしは、本格的女優を目指すの。下がり居ろう下郎ども!」
 って、感じで、「ハナ」になった。

 ほんとは、児童劇団入りたかった……小六のときなんか、乃木坂の願書をこっそり手に入れたりした。
「ハア~」
 出るのは、ため息ばっか。
 ハナんちは、お母さんがシングルマザーで……原因は内緒。お母さんは小学校の先生。無理言えば児童劇団くらい入れてくれたかもしれないけど。あたしって経済観念発達してるから、うちの収支はよく知っている。爺ちゃん婆ちゃんへの仕送りとかもしていて、今の教師の安月給じゃ、お母さん自身の老後とかも考えると無理は言えない。

 中学に入って、隣の小学校から来たユウカと友だちになった。「ユウカ」と「レイカ」二人足したら「ユウレイだね!」で、意気投合して、二人で先生やら友だちの真似しては喜んでいた。

 でも、乙女心は複雑で、自分たちで「ユウレイ」というのはかまわない……どころかアゲアゲになるんだけど、人に言われるとサゲサゲ。だから、ハナは、やっぱハナで通した。
「ハナ、タカミナの真似してよ!」
 なんて言われると、身長が同じという親近感もあって、ユウカが峯岸のミーちゃんなんかやって、『フライングゲット』から『ギンガムチェック』までテキトーにやって遊んでいた。
 ほんとは演劇部に入って本格的にやりたかったんだけど、演劇部は数年前に廃部になっていて、けっきょく文化祭なんかで、ユウカといっしょにAKBの真似なんかして、くすぶっていた。行事も、よく雨になったし。

 一度「キンタロウ、モモタロウ」のコンビ名でお笑い路線でオーディション受けようかなんて本気で思ったけど、ユウカが盲腸になって、お流れ。こういうものは勢いで、それを逃しちゃうとなかなか次のステップには進めない。
 で、高校生になった今は、本物のキンタロウが現れ、あっと言う間にメジャーになっちゃって、高校も一緒になったユウカと二人で演劇部に入ってがんばっていた……。

 神楽坂高校演劇部は、ちょっとしたモノ。

 中央大会は5年に3回ぐらいは出てる実力校。でも、このご時世軽音やダンス部に食われて、部員7人と、ちょっと寂しい。

「今年は、これ極めるわよ!」
 三年生の村長こと友子先輩が、印刷した台本の元を、ドサっと部室の机に置いた。
「え……『すみれの花さくころ』 これ、中学演劇用の本じゃないですか」
「あなどってはイケマセン。名古屋音大やら、プロの歌劇団が、これでオペレッタをやったって、スグレモノなんだからね……早くまとめて綴じる!」
 リャンメン刷りしたA4紙を、ベテランの印刷工のように村長先輩がまとめていく。あとからミサイル(美沙:一年) モグ(素子:一年)が追いかけてきて、とろくさいハナと、ユウは追いつめられていく。
「二十部作るだけなんだから、あせらなくても、村長」
 唯一の男子部員であるサン(三平:三年)が、ホッチキス構えて助け船。
「なに言ってんのよ。中央大会の分まで入ってるから、50部はあるわよ」
 とカンゴ(リノ:三年)が大きなことを言う。

 この7人が演劇部の全て。この新入生歓迎会では、村長をセンターに、以下ハナとユウ、カンゴ。それになんとサンが指原に化けてAKBのフライングゲットをやった。下手な芝居を見せるよりも、ほんの五六分で、目だって面白いパフォーマンスをやった方がウケル。実際、最後にサンが男であることをバラスと、会場は騒然とした。ルックスからプロポ-ションまで、どう見てもサッシーだ。
「こんなのも居ますんで、どうぞ演劇部よろしく!」
 サンが、そう言うと、みんなでサッシーを襲い、胸の中に詰め物として隠していた「来たれ演劇部!」の横断幕を広げ、チャンチャン!

 この衝撃的なパフォーマンスを見て、5人が入ってきたが村長は、惜しげもなく絞り上げ、ミサイルとモグの二人が残った。

「ハンパな奴はいらねえ、そのかわり、残ったあんた達は義姉妹だからね、小原美沙!」
「は、はい!」
「今日から、あんたはミサイルだ。空気はよめないけど、真っ直ぐ進む敢闘精神は、あたしは買う。だからミサイル。小西素子!」
「は、はい!」
「あんたはモグだ、しょっちゅうなんだか食ってるし、内省的に潜って考えるタイプだからモグ。いいな!」
「はい!」
「あとは、あたしが村長、指原そっくりの男がサン。優しげで実は怖いのがカンゴ。そこのペアがハナとユウ。そう呼んでもらうが、上級生には『さん』を付けること!」
 そう言って、七人で水杯を交わし、そのカワラケを床に叩きつけて団結を誓った。去年は、ここまではしなかった。ハナたちの呼び方も本人の申告通り、ハナとユウで通った。

 村長は、タッパも168センチと、ハナより20センチも高いせいか、いかにも村長というオーラがあった。しかし、村長……いや友子先輩の背負っている運命とオーラは、そんな「村長」というような生やさしいものではないことを、ハナは思い知ることになる。

 そして、ハナを待ち受けている運命も、そんなに生やさしいものでないことを、実感することになる……。


 つづく

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高校ライトノベル・ムッチャンのイレギュラーマガジン34『乃木坂エレジー』

2018-07-31 06:34:23 | エッセー

ムッチャンのイレギュラーマガジン34
『乃木坂エレジー』

 初出:2015-05-02 16:27:34

 




 乃木坂学院高校は乃木坂46のパクリではない!!

 と、言えるものなら声をにして言いたい。

 わたしのブログには、毎回下に広告がある。グーブログのスポンサーではない、わたし自身の広告である。
『ノラ バーチャルからの旅立ち』『あたし今日から魔女!? え うっそー!?』という戯曲集と『はるか ワケあり転校生の7ヵ月』『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』という小説の4冊です。

                 

 以前は、ここに『自由の翼』という戯曲集が入っていましたが。完売したので、今は載せていません。

 問題は『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』なのです!

 戯曲集はひとまずおいて、小説に関する限り『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』が最初で『はるか ワケあり転校生の7ヵ月』が一番新しくなります。
 で『乃木坂』です。

 横浜の出版社の依頼で、2011年にネットマガジンで連載していたものを明くる2012年に単行本にしたものです。記憶は定かではありませんが、2011年の春の終わりごろから夏にかけて書いていました。
 
 もともとは『ホンワカ女子高生HBが本格的に演劇部に取り組むまで』という長ったらしいタイトルでネットマガジンに連載していた『はるか ワケあり転校生の7ヵ月』のアンサーノベルでした。
 細かいところはすっとばします。
 アンサーノベルを書くにあたって、主人公の学校に困りました。舞台は東京と決まっています。

 実在の学校とかぶらないこと、どこか伝統女子高の雰囲気がする名前ということで、丸一日東京の地図とにらめっこ。

 で、青学にも近い『乃木坂』に決めました。グーグルのマップで歩いてみたり、動画サイトで乃木坂界隈を調べました。

 これはイケる!

 そう思って、初回分を書き上げ出版社に送り、周辺のロケーションを調べるためにネットで検索すると『乃木坂46』がヒットしました。
 読んでみると秋元康氏が、AKB48のシャドウキャビネットとしてアイドルグループを作るというもので、初期メンバーと概略が書いてありました。まあ乃木坂というのは普通の地名で特に問題は無いと思っていました。ネットで検索しても、わたしの乃木坂学院が乃木坂46と並ぶようにして出てきました。

 正直乃木坂46は「柳の下の何匹目のドジョウやねん?」ぐらいに思っていました。

 しかし、恐るべし秋元康! みるみる乃木坂46はメジャーになっていき「大橋、あんまりパクリはみっともないで」と友達に言われる始末。
 だいたい乃木坂46は。たまたまオーディション会場の「SME乃木坂ビル」にちなんでいるだけで、オーディションが神楽坂で行われていれば神楽坂だし、赤坂ならば赤坂46になっていたはずです。

 いやはや、知名度が低いというのは辛いもんですなあ。だれが見ても、わたしの方がパクリだと思われるでしょう。

 ちなみに乃木坂で検索すると、今やウィキペディアの『乃木坂』をしのいでトップに46が出てきます。
『乃木坂学院』で検索すると、『ラブライブ』の音乃木坂学院がトップ30を占め、わが乃木坂学院は40番台に転落。

 いやはや、もう少し高尚で面白いことを書こうと思ったが、ただのグチでおしまい。

 読者諸氏! 書いた本人が言うのです。『まどか 乃木坂学院高校物語』は面白い。むろん他の4冊も!

 嗚呼、乃木坂エレジー哉!



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高校ライトノベル・秋物語り2018・12『責任とってよ!』

2018-07-31 06:13:47 | 小説4

秋物語り2018・12
『責任とってよ!』
          

 主な人物:サトコ(水沢亜紀=わたし) シホ(杉井麗) サキ(高階美花=呉美花)



 お店は、シホ(雄貴とラブホ行ったこと)の験直しのために、コスを新しくした。


 まあ、モトモトのAKB風のコスがクリーニングの効かないやつだったせいもあるんだけど、今回は本格的なバーテンダー風。でも、ミニスカでミセパンに変わりはなかった。まあ、クリーニング出来るだけマシというところ。

 前のコスは、みんなの名前入りで、大入りの時に、お客さんにオークションで売って、新しいコスの購入費に充てる。これはメグさんのアイデア。だれのが一番高値で競り落とされたかはナイショ。でも気をよくしたリョウさんは、定期的にコスをオークションに掛ける気になったようだ。

 ブログ掲載の写真も、ブログごと新しくするために、全員(女子だけ)揃って、プロのカメラマンに撮ってもらうことになった。

「おはようございま~す」
 現れたカメラマンを見て、驚いた。まさに瞳さんが言っていた、その人だったのである。
「じゃ、カウンターに揃ったところから、選抜は前に。バイトの子は後ろね」
 そう言いながら、メグさんは右端。わたしがセンターになった。
「え、わたしでいいんですか?」
「うん、トコが、一番素人っぽく見えるから。こういう店は、健全さが売りなのよ」

 それから、一人一人の写真も撮った。シェーカー持ったり、スツールに腰掛けてニッコリしたり、一人で十枚ほど撮った。
 この竹内という人は、オールマイティーで、持ち込んだパソコンで、すぐにブログのベースを作ってくれた。さすがはプロで、お店が広く、清潔感溢れる安心な新装開店にみえた。

「う~ん、やっぱ、お店の正面が欲しいですね。お客は、お店の面構え目印に来るわけだから」

 で、わたしとサキの二人が、お店の前で「いらっしゃいませ~」してるところを何枚か撮り、できあがり。

 最初は、シャメや写真が載ることが不安だった。
 なぜって、そりゃあ、だれかがネットで見つけるかも知れないから。
 でも、その心配は、前のブログで反応が無かったことで自信がある。髪型もメイクも変える(わたしは、元来はスッピンだ)ので、分かりはしなかった。

 一通り終わったところで、カメラマンの竹内さんの番号を聞いた。喜んで教えてくれた。

 明くる日の昼過ぎに、さっそく電話をした。
「すみません、リュウのトコです。ちょっとお茶飲みながらお話できません?」
「ああ、いいよ」
 ぶっきらぼーそうだったが喜んでいるのが丸わかりでキモかった。だけど、仕方がない……。

 向かい合わせじゃなく、横に並んで座ったことが、竹内さんの気を良くしたようだ。しばらくは、昨日のお礼や、仕事の話で和ませた。

「Sマンションの8号室の録画メモリー出してほしいんですけど」
 竹内の表情が一瞬で変わった。
「し、知らないな、そんなの」
「瞳に頼まれて撮ったんでしょ?」
「え……?」
 これには、本当に混乱した顔になった。
「これ、瞳がくれた最後の手紙なんです。初めての妊娠を直樹さんに伝えてビックリしたところを竹内って人に頼んだって。で、こっちが竹内さんへの依頼状のコピーです」
「し、知らんよ、ほんまに!」
 動揺している。ここはなだめながらいかなきゃ。
「お願い、あのビデオには、直樹さんの無実の証拠が写っているはずなんです」
「知らないって……」
「じゃ、これは?」
 竹内のカバンから抜き取ったようにして、オリジナルの依頼状を見せた。
「これ……完全な、瞳の筆跡です。鑑定してもらってもいいです」
 手紙と依頼状は、瞳さんがわたしに憑依して自分で書いたもの。でも、竹内さんには分かるはずもない。
「それとも隠し撮りってことで、強制捜査……」
「な、なんでオレがーーーーーーー!?」
「わたしたちのだって、気づきもしないで、まだ8号室撮ってるでしょ?」
「あ……!」
 わたしは、そのことも瞳さんから聞いていた。だから、わざと風呂上がりにノーブラで、リビングに座ったりした。
「なんなら、今すぐに、ひっかけ橋のお巡りさんにメール送ってもいいのよ。文章はあらかじめ打ってある。あとは送信押すだけ。さ、どうする。あなたに盗撮の前があるのは承知の上。一発で家宅捜索でしょうね」
「それ、ほんまに、自筆で通るんやろな……?」
「大丈夫、それは保証するわ。だから、責任はとってね」

 この件で、男の脆さを勉強した。男は見透かしたような女の視線には弱いようだ。

 今まで、怖くて出せなかったということにして、竹内さんに警察にメモリーカードを提出させた、むろん、手紙や依頼状も添えて。筆跡鑑定だけじゃなく、紙やボールペンのインクの古さも測定したよう。意外だったけど、ちゃんと事件が起こるちょっと前という結果が出た。幽霊さんのやることはスゴイと思った。
 あ、それと、わたしたちを盗撮した分も。まあ、コピーされてるかもしれないけどね。その時はその時。

 しかし、警察の動きは遅く、直樹さんが無事に釈放されるのは、この物語の終わったあとだった。

 そして、知らず知らずのうちに、わたしは変わってきたようだ。

「トコちゃん、少し見ないうちに大人になったね。なんだか、むかしのあたしを見てるみたいだ」
 リョウのサトコさんに言われたときは、ドギマギした。

 でも、わたしの成長ってアンバランスであることを思い知ることが……まあ、見ていてちょうだい。 
 

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