ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

リュブカ・コレッサの芸術

2006-10-29 | CDの試聴記
リュブカ・コレッサという女流ピアニストをご存知でしょうか。

昔購入したベームの10枚組の激安アルバムの中で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番のソリストとして彼女の名前を知っていたという以外は、私もまったく未知のピアニストでした。
ところが、先日、山野楽器のワゴンセールで山積みになっているディスクを一枚ずつ手にとっていくうちに、このコレッサの3枚組のアルバムを偶然見つけたのです。
その時、なぜか「あっ、このディスク聴きたい」と不思議な予感がしました。
長年の経験から、こういう場合は即ゲットの一手です。
そんな経緯で、このディスクが我が家にやってきました。

        

リュブカ・コレッサは1902年にウクライナに生まれ、4歳の時に家族でウィーンへ移り,帝国音楽院でエミール・フォン・ザウアーなどに師事。
20代~30代にかけては、フルトヴェングラーやワルター、カラヤン、E.クライバー、メンゲルベルグ等の大指揮者ともたびたび共演。
その後、1940年代にはカナダに移り、1950年代以降は主にピアノ教師として活躍したそうです。

聴いてみて、やっぱり予感は正しかった。
とくに感銘を覚えたのは、モーツァルトの24番のピアノコンチェルト。
一見端正にみえる演奏ながら、ハートがあるというのでしょうか、淡々と弾いているようで聴き手にぐっと迫ってくるものを感じます。
とくに第2楽章の美しさは、特筆ものです。
決して良好とはいえない録音の中から、きらきらと光る音楽。
フレーズのひとつひとつがこんなに大切に弾かれた演奏は、今まであまり聴いたことがありません。
最後の1分間は、まさにコレッサの独壇場です。

2枚目は音があまりよくないのですが、シュルツ=エヴレル編による「美しく青きドナウの主題によるアラベスク」がとっても面白い。

3枚目は、カナダ移住後の録音で音が随分良くなっています。
特にブラームスのインテルメッツォOp.117-1 & 3が、胸にしみるような秀演なのですが、ところどころオリジナルテープが延びきったような箇所があり、それだけが残念。

何度か聴いているうちに、また新たな発見があり、私の大切なディスクになりそうです。


リュブカ・コレッサの芸術
<1枚目>
■ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番(*)
■フンメル:ロンドOp.11
■モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番(**)

<2枚目>
■D.スカルラッティ:ソナタK.159 & 551
■モーツァルト:
 グルックの主題による10の変奏曲K.455
 ロマンスK.Anh.205
■ショパン:
 ワルツ第1番/第5番&第11番
 マズルカ第5番&第22番
 練習曲第13番/第14番&第21番
■リスト:ハンガリー狂詩曲第12番
■J・シュトラウス~シュルツ=エヴレル編:
  美しく青きドナウの主題によるアラベスク

<3枚目>
■シューマン:交響的練習曲/トッカータ
■ブラームス:
 ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ
 インテルメッツォOp.117-1 & 3

<演奏>
■リュブカ・コレッサ(P)
■カール・ベーム指揮
 ザクセン国立o.(*)
■マックス・フィードラー指揮
 ベルリン放送so.(**)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« クレンペラーのメンデルスゾ... | トップ | 続 モーツァルト コンサー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

CDの試聴記」カテゴリの最新記事