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(読響マチネ)ヴァシリエヴァ&シナイスキー サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番ほか

2009-02-22 | コンサートの感想
2月の読響マチネは、オールフランスもの。
シナイスキーもチェロのヴァシリエヴァも、ステージできくのは昨日が初めてでした。

<日時>2009年2月21日(土) 14:00開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
■デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」
■サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番
■ベルリオーズ:幻想交響曲
(アンコール)
■バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番より前奏曲
<演奏>
■タチアナ・ヴァシリエヴァ(チェロ)
■ヴァシリー・シナイスキー(指揮)
■読売日本交響楽団

この日、清々しい印象を与えてくれたのは、サン=サーンスのチェロ協奏曲でした。
冒頭のフレーズを強烈なパッションで弾くチェリストも多いのですが、ヴァシリエヴァは丁寧に、そして極めて自然な表情で歌い出します。
小細工をしないで、けれんみなく豊かな表情で勝負するタイプだとお見受けしました。
特に良かったのが第3楽章。ロストロポーヴィチを思い出させるような豊かな表現力に、私は大きな感銘を受けました。
愛器ストラディバリウスの威力もあるのでしょうが、人の肉声に近い音色はこの人の魅力の一つですね。
そして、アンコールで聴かせてくれたバッハの無伴奏第1番の前奏曲が、これまたよかった。
この日最高の聴きものだったかもしれません。
微妙に揺れるテンポと、絶妙の間の取り方。
何の違和感もなく、聴き手に「なんて素敵な音楽!」と感じさせてくれます。
バッハへの深い敬愛の念と、自然な呼吸感がなせるわざでしょう。
休憩時に彼女の無伴奏の全曲を入れたCDがホールで販売されていたので、早速購入して自宅で聴いてみましたが、期待通りの素敵なバッハでした。
しかし、この日芸劇で聴いた演奏のほうが、私には一層感銘深かった気がします。
また、きくところによると、彼女はアバド率いるルツェルン音楽祭管弦楽団の来日公演のメンバーだったそうです。
そうか、あの感動的なマーラーを聴かせてくれた音楽家のひとりだったんだ。
私にとって大切なチェリストが、またひとり増えました。

さて、後半は幻想交響曲。
シナイスキーの指揮をみるのはこの日が初めてですが、(流行の?)指揮棒を使わないスタイルです。
何よりも表情が柔らかい。
客演だからということもあるのでしょうが、その表情の柔らかさが音楽にもよく表れていました。
馬力にもの言わせて突っ走る重戦車型でも、感情を前面に出す激情型でもなく、「わかるヤツだけついてこい!」という孤高のタイプでもありません。
ロシア人指揮者には意外なくらいのエレガントなスタイル。
第2楽章のワルツも優雅そのもの。
また、音が重なる箇所におけるバランスの良さも見事なものでした。
ただ、リハーサル時間の関係もあるのでしょうが、アンサンブルの乱れが散見されたり、少しつっこみ不足で微温的に感じる部分があったことも事実です。
しかし、そんなことは些細な話。
ヴァシリエヴァの素敵なチェロも聴けたし、全体として、とても爽やかな気持ちでフランス音楽を楽しませてもらいました。

さて、次回3月8日のマチネーコンサートは、今年度のラインナップで私が一番楽しみにしているプロです。
スクロヴァチェフスキの指揮でブルックナーの1番とブラームスのハイドンバリエーション、コンチェルトはモーツァルトのピアノ協奏曲第27番という実に魅力的な演目。
そして、モーツァルトは、私の大好きなケフェレック女史との共演なのです。
いまから、そわそわしております。

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