ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

メッツマッハー& ベルリン・ドイツ交響楽団 at オーチャードホール

2009-03-12 | コンサートの感想
昨日、霙降る中、ベルリン・ドイツ交響楽団のコンサートに行ってきました。
イープラスの特チケのおかげで、何とチケットは半額!
これは聴かねばと、急遽出陣した次第です。

<日時>2009年3月11日(水)19:00開演
<会場>オーチャードホール
<曲目>
■ウェーベルン:パッサカリアop.1
■メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調op.64
■ブラームス:交響曲第4番ホ短調op.98
(アンコール)
■バッハ:ガボット(無伴奏ヴァイオリンパルティータ第3番より)
■ブラームス:ハンガリー舞曲第6番
<演奏>
■ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ
■指 揮:インゴ・メッツマッハー
■管弦楽:ベルリン・ドイツ交響楽団

今年生誕200年を迎えたメンデルスゾーンの名協奏曲を挟みつつ、パッサカリアで始まりパッサカリアで終わるこの日のプログラム、なかなか味のある選曲だと思いませんか?
2曲目が当初の予定通りベルクのヴァイオリン協奏曲だったら、もう最高だったのに・・・。
でも、贅沢はいえませんよね。

ところで、この日のシェフであるメッツマッハーは、実は私と同い年。
現代音楽を得意とする指揮者で、ケント・ナガノの後任として、2007年のシーズンからベルリン・ドイツ交響楽団の音楽監督に就任しています。
しかし、ライナーノート(いけだ・たくお氏)をみて驚きました。
彼は1993年にヴァーツラフ・ノイマンのピンチヒッターとして来日しN響を振ったのですが、そのときN響の音程を一から正そうとしてひんしゅくを買い、「二度と招きたくない指揮者」の一員に加わったと囁かれていたそうです。
いろんなことがあるものですね。

さて、冒頭のウェーベルンは、メッツマッハーお得意のレパートリー。
出だしは少し集中力を欠いたように感じましたが、途中から非常に濃密な音楽を聴かせてくれました。
変容ぶりが鮮やかに響きとなって表現されていたと思います。

2曲目は、名手テツラフをソリストに迎えたメンデルスゾーン。
どこかオペラの1場面のようでした。
いや、オペラの一節というよりも、プリマドンナの伴奏をする劇場オケという感じかなぁ。
明らかにソリスト主導の演奏。
テツラフは集中力の高さと安定した技術で、さすがに第一級のヴァイオリニストだと思わせてくれましたが、アゴーギクと表情に独特の癖のようなものがあって私は少し違和感を覚えました。
オケも、正直ついて行くのが精いっぱいという感じ。
「ここで思いきり歌わせたいのね。だから、その前にぐぐっとテンポを上げて緊張感を高めて、そして・・・」と、テツラフの思いは本当によく伝わってくるのですが、私の感性とどうしてもフィットしないのです。
終演後大きな拍手を受けていたので、ひょっとすると私自身の問題かもしれませんが、私にとってはいささか不完全燃焼でした。

後半は、ブラームスの4番。
第1楽章冒頭は、拍子抜けするくらい淡々と始まりました。
思い入れを極力排した演奏で、私としてはもっと歌いこんだロマンの香り漂う表現を好みますが、古典的な格調の高さがこの交響曲の大きな魅力ですから、このスタイルもありでしょうね。
ただ、第2楽章は、もう少しぞくぞくするような艶やかさが欲しかったなぁ。
素晴らしかったのは、終曲パッサカリア。
これは良かった。重厚で中身がたっぷりと詰まったブラームスで、各変奏の描き方も秀逸。
とくに中間部のフルートソロの美しさは印象に残りました。
その中間部のあと一気呵成にエンディングまで突っ走る演奏も多いですが、メッツマッハーたちのブラームスは違います。
逆にテンポを少し抑え気味にして、実に彫りの深い表現を聴かせてくれたのです。
だからラストの充実感は一層引き立ちました。

ケント・ナガノ時代に比べて、メッツマッハーの就任当初は人気が落ち込んだという噂も耳にしましたが、このコンビはこれからさらに熟成した音楽を聴かせてくれることでしょう。

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