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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

小菊とシシ座流星群

2011-11-18 02:40:44 | よしなしごと
 ここ何日か中国への旅のレポートでいささか肩肘張った感もありましたので、ちょっと日常の茶飯事を。

 小さな植物にも気候に感応する力があり、毎年同じではありません。
 我が家の黄色一色の小菊ですが、いつの間にかやってきてそれなりに株を増やしてきました。決して派手ではないのですが、可憐な小さい花をつけるのでそれなりに愛でてきました。昨秋は花が咲くのが遅く、また花のつきも悪くとても心配したものです。
 ところが今年は、うって変わって、私が中国から帰るのを待っていたかのようにたくさんの花をつけました。

       

 黄昏時になると、そこだけが明るいようにほんのりと花々が浮かび上がります。
 特筆すべきはその香りです。菊独特の芳香が辺りにただよい、私は鼻孔を拡げてそれらと交感するのです。すると、これらの小さな花々が、何かとてもいとおしげに思えるから不思議です。

 大輪の菊も嫌いではないのですが、それらを育てる根気と技能を欠いた私には、何か自分とは隔絶した人工物の美として受け入れるほかないのです。

       
 
 夕方、ふらふら中途半端に表に居たせいか、体がけだるく喉元が痛みます。
 ピンチです。これは私の典型的な風邪の初期症状なのです。
 慌てて、念のため中国まで持っていった風邪薬の残りを飲みました。

 すぐ寝ればいいのですがそうは行きません。
 締め切りの原稿があるのです。
 それを自己校正し、送信しました。

 しかし、まだ寝ません。
 今夜はシシ座流星群が見えるはずなのです。
 ベランダに出ました。
 夜の冷気が身を刺します。
 東の空からそれは来るというのでそちらを凝視します。
 しばらく待っても何の徴候もありません。

       

 馬鹿ですねぇ。
 よく見たら、空全体が雲に覆われていて星ひとつ見えないのです。
 こんな中、流星群のみが見えるはずはないじゃないですか。
 身震いしながら部屋へ戻りました。

 私が肺炎をこじらせ死んだらそれは菊とシシ座流星群のせいです。
 しかし、変なトラブルで死ぬより、そのほうがいいのではないでしょうか。
 小菊を愛でた男。流星群に殉じた男。格好良いですね。

 あ、いけない、鼻がジルジルいい出しました。
 そう格好良く死ねはしまいと思います。
 今度こそ寝なければ。

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