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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

「熟秋」という言葉を見つけたのですが・・

2008-11-04 17:20:55 | よしなしごと
 「熟秋」という言葉は既にあるのでしょうか。
 「広辞苑」には載っていません。
 しかし、俳句などの世界では既に使われているのかも知れませんね。

 
         ハナミズキの紅葉とルビーのような実

 なぜそんなことを言い出したかというと、いつものように所用で自転車を駆っているとき、深まり行く秋、ものみな熟す秋から、秋そのものが熟すといった感があるといった思いに至り、「熟秋」という言葉がひらめいたのです。
 もし、これが私の造語であるとしたら大したものですね。
 しかし、厳密に言うと、既成の言葉を組み合わせただけですから造語ではありませんね。

 
   近くの畑で 菜ものの元気がいい。農協の売り場にも俄然葉ものが多くなった。
 
 言葉のはじめというのは不思議ですね。
 茫洋とした物事、しかし五感にとってはかすかな痕跡であるもの、それを区切り名付ける、いわゆる分節化するわけですが、そのことが、そのかすかな痕跡でしかなかったものを、これと特定できるものとして立ち上げることができるといったことのようです。

 
              野焼き(その1)
前に野焼きの写真を撮っていたら、焼いてる人が近づいてきて「これぐらいはいいだろう」という。何のことかと思ったら、最近はダイオキシン云々でうるさいのだという。お百姓のささやかな季節の習性まで取り締まって何の環境ぞ!と思った。


 しかし、ある人が「私的言語はない」というように、それは流通し、全く同じではないとしても、発語する人と受け止める人との間である意味が共有されなければならないのですが、それはどのようにして保証されるのでしょうか。
 とりわけ、新しい言葉の場合にです。
 その意味合いの共有がどうして可能になのか、また本当に、或いはどの程度まで共有し得ているのか、などなど考えると私などがやたら無責任に発する言葉が、なんだか危うい基盤の上に立っているようにも思えます。

 
            たわわに実った柑橘類

 言葉ははじめから意味をうちに持っているのではなく、その発話される状況に応じてその都度意味を獲得すると考える立場もありますし、発話者と受け手との間にぴったりした符合がなくとも、その類縁のようなところで流通するとも考えられます。

 
       野焼き(2) 私の「秋」には欠かせない風情

 まあ、こんな理屈は抜きにして、「熟秋」って響きもいいし字面も悪くないでしょう。
 よろしかったらどんどん使って下さい。特許も実用新案もとっていませんから。

 え? そんな言葉とっくにあるって?
 本当ですか? あったらその事例を教えて下さい。
 





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3 コメント

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Unknown (只今 )
2008-11-05 10:44:54
 故藤本敏夫創設の「鴨川自然王国」に体験入園した学生が、その報告書の最後に「帰農塾秋、参加者レポート」と記しているのを見付けました。
 季語としては「柿」と「熟柿」があるように、塾秋もあってよかろうと思いますが、「秋」には「晩秋」があるから、もういい、ということなのでしょうか。「塾秋」あってよし、と思いますが、「秋懐」とか「傷秋」といった句があったように思います。

 「いちまいの皮のつつめる熟柿かな」という野見山朱鳥さんの短冊を持っていますが、「塾柿」ならではの句と思います>
 
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Unknown ( 只今)
2008-11-05 16:22:44
一句見付けました。
 「手だてなく鳥の啄む熟秋の柿」という句です。
 写真コンテストに出すタイトルには、「熟秋の峠」といった具合に、しばしば用いられるようです。
 また、「雁木」「錦之誉」という銘酒のコピーは「純米おり絡み秋熟」というものです。
 以上、宿題を貰った子どものように調べた結果の報告まで。
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Unknown (六文錢)
2008-11-06 00:22:23
>只今さん
 詳しく調べいただきありがとうございました。

 一見、俳句風ですが、五・七・七とかなり変則的な句ですね。ひょっとして、その前の、五・七が省略されているのでしょうか。
 例えば、
 「とろうにも高きにありて手だてなく烏の啄ばむ熟秋の柿」
 となると、五・七・五・七・七で短歌になりますね。

 「秋熟」の酒、飲んでみたいです。
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