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映画「ラスト・コーション(LUST,CAUTION)」

2008-02-16 03:07:04 | 映画評論
 映画「ラスト・コーション(LUST, CAUTION)」 2007年 中国・アメリカ

      

 ひとは、常に既に、ソシキやシクミ、あるいはコウゾウの中で生きている。
 例えそれが、どれほど固い決意によるものであろうが、さらにそれを越え、それを支配するソシキやシクミ、あるいはコウゾウがある。

 主人公の女性、ワン(タン・ウエイ)は、その固い意志による決断にもかかわらず、その上位のソシキにとってはひとつの駒であるにしか過ぎない。

 また、その標的のイー(トニー・レオン)も、もっとも完璧な意志の持ち主であるかのように見えながら、さらに上部の監視下にあることが後半で明らかになる。 

 そうしたソシキやシクミ、あるいはコウゾウを超えるものとして、余剰としての情愛や性的結合などが対置されるのだが、それらはやがて、また、ソシキやシクミ、あるいはコウゾウのもとに回収されて行く。

 にもかかわらず、ソシキやシクミ、あるいはコウゾウをはみ出してゆくものとしての情愛や性を含めたひととひととの繋がりこそがリアルな生であって、それらがいかに余剰や夾雑物であろうとも、それを生ききることこそが、ひとの生を機械とは違うものにしているということなのではないだろうか。

 監督は『ブロークバック・マウンテン』のアン・リー)。

<お詫び>当初の記述に誤りがありました。
     題名は「LAST CAUTION」ではなく「LUST,CAUTION」でした。
     また、間違った情報に依拠し監督のアン・リーを女性としてしまいました。
     以上、謹んで訂正致します。
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