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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

風邪の現象学とその治療法

2008-03-29 03:44:31 | よしなしごと
 風邪をひいております。
 自覚症状のあったのはもう一週間前ぐらいでしょうか。
 私の風邪はいつも喉から始まるのです。
 喉にかすかな違和感がありました。
 痛くも痒くもありません。ほんとうに違和感としか言いようのない程度です。
 でも私には分かるのです。これが風邪への入り口であると。
 果たせるかなその翌日、喉の違和感は確実に痛みへと変わりました。

 

 そしてそれは、喉から鼻、鼻から頭痛へと上昇してくるのです。
 それも予定通りでしたが、私は少し慌てました。
 どうもこのままゆくと、私の風邪のピークは、私がちょっとした発表を行う予定のある勉強会とバッティングしそうなのです。
 前日、どうやらそこへピークをもってくることに成功したようです。
 喉はガラガラ、ろくに話は出来ないし、頭はガンガン、思考能力はゼロ、食欲はないし、性欲もない(←バカ!)、ゾクゾク寒気はするし、出来ることといったら静かな室内楽など聴きながら、発表のために作ったパンフのおさらいをするのが精一杯。

 

 夜、早めに(と言っても世間様の堅気よりはやや遅い)寝ることにして、まず熱~いお湯で割った焼酎をフウフウいいながら飲み(こんなことをしてはいけませんがそれと一緒に眠剤を飲み)、余勢を駆って江戸っ子も飛び出るような熱~いお風呂で体の芯まで熱して、汗もさめやらぬ間に布団に入り、寝汗をかこうがムンムン暑かろうがひたすら寝てしまうという豪快な(?)治療法を試みました。
 比較的ぐっすり眠ることが出来、起きた時にはなんとか声が出て話が出来るようになっていました。
 むろん絶好調とはほど遠く、体も重いのですが、人様に話をすることは出来そうです。
 昨夜のいささか乱暴な療法が効を奏したようです。

 

 ヨシッ、と気合いを入れて名古屋へ出かけました。
 事故でJRが不通になっていたため、名鉄の駅まで走るというアクシデントにも見舞われましたが、なんとか定時に会場に到着しました。
 そしてその頃には、なんとなくコンディションもよくなり、内容はともかく、なんとか発表を終えることが出来ました。
 それのみか、その後の懇親会にも出て、有志の皆さんと話し合うことが出来ました。



 それで、風邪が治ったというのならめでたしめでたしなのですが、そうでもないのです。
 緊張がとれたのか、翌日(28日)はまた不調です。
 しかし、29日には、私の40年来の友が大学を退官するとあって、その私的なパーティへ出なければなりません。私はそこで、彼に卒業証書を渡す役割なのです。
 その証書はむろん、私がパソコンで作ったパロディに過ぎません。
 しかし、その証書には、私の友情がこもっています。なんとか渡さねばなりません。
 これを書き上げたら、また荒療治を実践します。
 そして、明日は元気で、かつて学部長を務めたという大学教授に「卒業証書」を渡してやりたいと思うのです。

 



上に述べたいささか乱暴な風邪の治療法は、私の独創ではありません。
 生きていれば今は130歳ぐらいのわたしの母方の祖母から伝授されたものです。
 その祖母は、私が風邪をひくと、ゲンショウコかセンブリか、今となってはよく覚えていないのですが、それらを煎じた熱いものをドンブリ一杯呑ませて、風呂に入れ、汗もひかぬうちに毛布に包んで寝かせました。
 寝汗をかいて寝苦しかったのですが、翌朝には必ず元気になっていました。
 もったいなくも、あんなに私を可愛がってくれた婆さんを思い出す機会は少ないのですが、風邪をひくたびに確実に思い出すのです。

 
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2 コメント

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Unknown (おばママ)
2008-03-30 21:20:01
体調の悪いのに、りポートして下さって、感謝です。おかげで、話題も尽きなくて、楽しいものでしたが、そんなおばあちゃん譲りの、愛のこもった療法で、風邪をなだめてのご出席だったのですね。有難うございました。
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Unknown (六文錢)
2008-03-31 01:25:52
 いいえ、お礼など言わないでください。
 自分が考えたことなどを文章にしたり、話したりする、そしてそれをちゃんと受け止めてくれる場所があって、人々がいる、それは私にとってはとても大切はことなのです。

 ですから、私自身のために出かけます。そして励みや刺激や、次に考えたり学ぶべき事柄へのヒントを貰って帰ります。

 久々に風邪をひき思い出した祖母ですが、農家の主婦で、とても小柄で細かったのに12人の子をなしました(うち2人は死産または早世)。
 晩年は若い頃からの木薬(漢方薬)の知識と、信仰から来るやや神秘的でまじない師のようなところとを併せ持ち、近隣の人々の健康相談などにも応じていたようです。

 それは決して狐憑きのようだったり押しつけがましいものではなく、また自分では分からないものについては医者にかかることを勧めていましたので、生意気盛りで合理主義を任じていた私も、一目置く存在でした。

 昔は、田舎の集落にはそうしたある種の知恵者がいたものです。
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