もう先月のことです。
長野県は霧ヶ峰高原へ行って来ました。
最初にいったのは高校2年生の折ですからちょうど55年前です。
今ほど観光化されていなくて、やたら歩いたことを覚えています。
ここで、生涯4度目ぐらいの初恋をしました。
ひとつ歳上の文学少女でした。
彼女が卒業してからも文通が続きました。
それもやがて、途絶えてしまいました。
少し離れた町に住んでいたのですが、一人娘だったらしく、婿を迎えたと聞きました。
彼女が卒業して以来、一度も逢っていません。
ネア・ミスは何度かあったようです。
2、3年前、同人誌を作ったのを契機に、一度それを送ってみました。
なんの反応もありません。
たぶん私は、忘れ去ってしまいたい過去の一部なのでしょう。
同人誌も「燃えるゴミ」の方でしょうね。
以来もう送ってはいません。
ストーカーにはなりたくありませんから。
かくて、宙ぶらりんだった私の4度目の初恋は、半世紀後に正式に終わったのでした。
雨と霧にけむる高原は、ほとんどのものをガスの中に包み隠していました。
そのなかにひときわ濃い霧の一塊があり、それがフワフワと上昇してゆきました。
それがたぶん、私の4度目の初恋が昇天してゆく姿だったのだと思います。