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喜寿前日、童心に帰って地域のお祭りに

2015-10-28 18:06:19 | 写真とおしゃべり
 敗戦の年、疎開先で国民学校一年生になった私は、学制が変わり、小学校になり、その5年生の折、やっと岐阜へ戻ることができた。
 一家が住まいを構えたのは、岐阜の南部、加納地域であった。
 加納というのは松平10万石の城下町であり、同時に中山道の宿場町でもあった。
 岐阜市というのは、もともと、金華山にあるかつての信長の居城、岐阜城下の町と、上記の加納とが南北からくっついたかたちで成り立ったものだったが、現在はさらにその周辺の町や村を併合して膨れ上がっている。

             

 私が子供の頃、古老たちはまだ岐阜/加納の差異を念頭にもっているようで、こんな会話が成立していた。
 「おまはん、どこへいきんさる?」
 「わっちかな、わっちは用があるもんで岐阜へゆくとこやがな」
 「ほんなら、気をつけていっとんさい」
 子供心に、同じ岐阜なのに「岐阜へゆく」とはと思ったものであった。
 なお、旧岐阜と加納の境界は、ほぼ東海道線によってわけられているといってよい。

             
 
 私の子供の頃は、そうした気風もあってか、祭りなども両地区でははっきりと分けれれていた。伊奈波神社を祀る岐阜まつりは4月5日、加納天満宮を祀る加納の祭りは4月3日と決められ、天満宮の祭りも盛んであった。
 そんな頃、加納の祭りでしっかり遊んだ私たち加納の子が、岐阜祭りにも遊びにゆくと、よく岐阜の子に、「お前らの祭りはもう終ったやないか」といじめられたりした。

 今では、この春祭りは4月5日に統一され、それとともに、加納のお祭りは岐阜全体のお祭りに飲み込まれるかたちでかつての賑わいを失ったように思う。娯楽の少ない当時、祭りといえば近郷の人もやってきて、加納の祭りには岐阜の人も、岐阜の子も実はきていたのだ。

             
      境内でのカラオケ大会 この方おん年97歳!高音以外は出ていた
          

 私は小学校5年以来、お祭りも初詣も、そして輪くぐりさんなどの各種行事でも、加納天満宮にはずーっとお世話になってきた。しばらく名古屋中心の生活をしていたが、岐阜へ帰ってからも、このお宮さんがとても懐かしい。

          

 そんなわけで、秋晴れの10月25日、加納天満宮の秋の例祭に行ってきた。写真はその折のものだが、この日は24日から続いた祭りの最終日で、最後にお供えをおすそ分けするという「鷽(ウソ)替え神事」というのに私も加わった。
 なお、写真にもあるが、この神事の説明をする司会者は、なんと私の小学校時代の同級生のO君で、親しく挨拶を交わすことができた。

          
              右側が小学校時代の同級生O君

 「鷽替え(うそかえ)とは、主に菅原道真を祭神とする神社(天満宮)において行われる神事である。鷽(ウソ)が嘘(うそ)に通じることから、前年にあった災厄・凶事などを嘘とし、本年は吉となることを祈念して行われる」というのがWikiの説明である。
 本家本元の大宰府では、木彫りの鷽(ウソ)を「替えましょ、替えましょ」の掛け声とともに交換しあうらしいが、ここでは参拝者に配られる番号を印刷したカードを、相互に交換し合い(交換しないとご利益はない)、最後にその番号に応じて並ぶと、お下がりを小分けにしたものがもれなく貰えるというものである。

            

 司会をしていた0君は、いいというのに私に数枚のカードを家族の分といえばいいからといって渡してくれたが、交換の過程で、一枚だけ残して持っていない人にやってしまった。その残った一枚のカードも数回の交換で番号がめまぐるしく変わり、指定された番号の箇所へいってお下がりをもらってきた。

         


 私がもらったものを帰宅して開けてみたら、米粉で作ったお餅が二個とかりんとうが一袋だった。お餅も品のある甘みでうまかったが、黒糖と蜂蜜をまぶしたかりんとうが実に美味しいのだ。子供のとき以来かりんとうなど口にしたことがないが、こんなにうまかった記憶が無い。どこで作っているのだろうと思ったら、なんと地元、やはり加納地区にメーカがあるお菓子だった。

         

 祭りに戻ろう。上に述べてきたような事情に重ねて、少子化と娯楽の多様化で、かつてのような混雑ぶりはないが、それでも加納という地域のお祭り色は濃厚で、久々に童心に帰って素直に楽しむことができた。
 今度はゆっくりと、第一日目の宵宮などを楽しみたいものだ。できればお神酒でほんのり頬など染めながら・・・。


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