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清流長良川の鮎についての物語

2024-07-06 00:59:31 | 社会評論

先日見たTVの釣り番組で長良川鮎釣りをやっていた。ここの鮎は湖産ではなく海産だからいいと言っていた。
どういうことかというと、琵琶湖産の稚鮎を放流したものではなく、中流域などでの産卵によって生まれ稚魚が、一旦海に下り、遡上してきた純天然鮎だというのだ。
これは地元民にとっては嬉しい話だが、その実情を私は知っている!最上流部にまでダムのない長良川ではたしかにその可能性はあり、一部、海産のものもいるだろう。
しかしである、それを阻むグロテスクな産物がデンとして存在するのだ。曰く、長良川河口堰!長良川河口付近でその流れを完全に止めてる。

    

ここで遡上魚のほとんどが阻止される。当局は遡上魚のための魚道をその脇に設置しているというが、幅660mの堰の端に設けられた何mかの魚道に遡上魚が来る確率は極めて低い。
私はその魚道をガラス越しに観察できる箇所で遡上して行く魚をかなりの時間見つめていたが、その数は惨めなほどに少なく、かえってこの河口堰が魚類の遡上をほぼシャットアウトしていることが確認された次第だ。
では、これほどの犠牲を払って、愛知・岐阜・三重の東海3県へ水資源を供給するというその目的は達成されたのだろうか。高度成長の右上がりの図式を単純に延長するという目論見は完全に崩れ、今や、水余りでそれを押し付け合っているのが現状なのだ。
鮎の話に戻ろう。こうした河口堰の存在のもと、長良川全体での稚鮎の放流量は約12t強、その8割は琵琶湖産稚魚、そして2割が県漁協産の人工孵化だそうだ。こうしてみると、本当に海産鮎に行き当たった人は、とても稀だということになる。
なお、長良川の自然を愛する人たちは、この河口堰の一時開門を要求しているが、当局は頑なにこれを拒否している。
最後に、この河口堰付近はかつてはヤマトシジミの絶好の漁場であったが、堰完成後に、それは絶滅し、シジミ漁は廃業を余儀なくされたことを付け加えておこう。

コメント
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