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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

散髪・散歩についての散漫な散文

2015-10-02 01:59:22 | よしなしごと
 9月末日、明日は衣更えというので一足先に頭の方の衣更え(?)と散髪に出かける。
 バスで2区間ぐらいだが、運動不足解消のために歩く。
 足元に、ヌスビトハギ(このネーミングは可哀想だと思う)が可憐な花をつけている。ただ、気をつけないと、もうすでに実をつけている枝もあり、それらがズボンの裾などにくっつくととるのが厄介だ。この実をくっつけるところから「ヌスビト」の名がついたのかもしれないが、盗むのではなくプレゼントするのだから意味が違うだろう。もっとも、迷惑なプレゼントではあるが。

   
                 

 この時期、衣服にくっつく実はほかにも、イノコヅチ、センダンギク、オナモミなどいろいろあるが、少年時代を過ごした田舎では、これらを総称して、「へっつきボボ」といっていた。「へっつき」はもちろん「くっつき」のことだが、「ボボ」は九州などで使われるそれではなくて、「ぼんぼ」つまり「実」のことである。
 小さなラグビーボールに棘が生えたようなオナモミの実はその代表的なもので、それを見つけるとお互い相手にぶっつけあって遊んだ。ほんとうによくくっついた。この棘、針状ではなくて、先端が釣り針の「返し」のようにカギ状になっているため、一度くっつくと容易にはずれない。ただし、1センチ以上の大きさがあるので、見つければ取り除きやすい。
 厄介なのはその他の小さいもので、野っ原を駆けまわっていると知らない間にびっしりくっつく。そのまま帰っておふくろによく、自分で取りなさいと怒られたが、野遊びをする少年少女の勲章のようなものでもあった。

          

 遅場米の産地とはいえ、やっと稲穂が垂れ始めた。右は9月初め、やっと花がつき始めた頃の直立する稲であるから比べていただきたい。それでも稲刈りまではあと10日か2週間を要するであろう。
 早々とさざめき、群れをなしてかしましいのがスズメたちで、その鳴き声は実りへの讃歌のようである。稲のほか、野草たちも実をいっぱいつけるから、この時期、彼らは、毎日がグルメ三昧なのだろう。

          

 そうこうするうちに床屋へ着いた。待合の椅子に掛け、先客が済むのを待つ。予約してあるから、そんなに待たされることはない。
 ここは毎々書いているが、聾唖の人がやっていて、やってもらっている間の静寂感が好きなのだ。しかし、今日はいつもと違ってなんだか変だ。
 そう、TVがついていて、バラエティかなんかをやっているのだ。
 うっ、と少し引いた。
 先客が帰って私の番になったら、TVを消してもらおうと思った。

          

 先客が帰った。
 途端に店主がTVを消し、私の方を見た。私は頷いた。
 私が静寂を求めてここへ来ていることをいつの間にか察知したのだろうか。
 静寂の中、半分居眠りをしながら仕事をしてもらった。私が彼の不本意な姿勢になると、大きな手で私の頭をはさみ、ぐいと自分の仕事がしやすいポジションへと私の頭を移動する。
 その都度、はっと夢を絶たれながら、どこかおかしくて笑いがこみ上げそうになる。

          
 
 そんなことの繰り返しで散髪は終わった。その間、1時間20分、実に丁寧な仕事だ。これでシニア料金、1,700円では申し訳けないような気がする。
 前に行ってたところは、やはりシニア料金は1,700円だったが、30分か40分で終了という仕事っぷりで、髪が短くなりさえすれば時間が短いほうがいいと割り切っていた私にとっても、実に雑な仕事だということはわかった。
 もっと前に、通常料金で3,800円というベテランの理髪師のところへ行っていたが、そこも確かに仕事は丁寧だったが、それに加えてこの店は新しい技術をいろいろ導入している。洗髪は最初と後半の二回してくれるがとても快適である。散髪後のサービスのマッサージもその大きな手がものをいってとても心地よく、それだけしてもらいたいくらいだ。

          
         これはお茶の実 もっと経つと全体が褐色になる

 散髪を終えたら、身も心も軽くなったので、余勢をかって、かなり遠回りをして、秋の風情を味わいながら帰った。田んぼの写真以外は、帰途に撮ったもので、ほかにも興味を引くものがあったが、それはまた別の機会に書いてみたい(廃屋の話)。
 ブラブラしながら帰ったので、往復3キロは歩いたと思う。一時半に家を出て、帰り着いたのは4時近く。秋の日差しは、もう西日の様相を呈し、雲が雄大に広がっていた。
 最後の写真は私のうちから50メートルほどのところからである。


          

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