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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

リニモ・川合玉堂のことなど・オオバンとの遭遇

2020-02-24 14:44:06 | よしなしごと

 ひょんなことで名古屋の日本画専門の美術館、「名都美術館」の入場券をいただいた。ありがたいことだ。とはいえ、岐阜のわが家からは公共交通機関を乗り継いで(乗り換え4回)2時間ほどを要する。
 どうしようかなと思っていたら、私の所属する会の例会が近日、その近くで行われることを思い出し、ならば下見を兼ねてと出かけることにした。

      

 名都美術館ははじめてではない。しかし、これまでは車だったので公共交通機関利用ははじめてで、しかも、名古屋市営地下鉄の終点・藤が丘からは、日本初のリニアモーターカーによる列車、通称「リニモ」の利用だ。
 これは2005年の愛知万博のひとつの目玉として開通したものだが、正式名称は「愛知高速交通東部丘陵線」というらしい。
「東部丘陵線」とはよく名付けたもので、私の若い頃、この一帯はまさにかつての丘陵地帯であり里山だった場所だ。いまはすっかり都市化されて、表通りには郊外型の店舗が建ち並び、その裏手は名古屋中心部へのベットタウンとして新興住宅やマンション、アパートがひしめいている。

      

 さて肝心の日本画展は、この間の特集として、「故郷から羽ばたく画家たち」と題し、愛知、岐阜、三重の東海三県出身の画家8名の作品を集めたものだった。
 それらの画家を列記すると、大橋翠石、川合玉堂、伊藤 小坡、前田青邨、島谷自然、守屋多々志、大森運夫、平川敏夫らである。

      
           名都美術館の石庭

 これらのうち、私が好きなのは川合玉堂である。とくに彼の風景画は、ひとを寄せ付けない峻厳な深山渓谷ではなく、庶民が往来する里山を描いたものが多く、澄み渡った清冽な空気の中にもどこか温かみがある。
 それらの絵の中にはそこを生業とする生活者が描かれていたり、あるいは一見風景そのものなかに、よく見ると、点描のように人物が描かれている場合が多いのも特色だ。それらの人物も、野良への行き来であったり、馬をひていたり、あるいは川辺である場合には魚を漁る者など、生活感を感じさせるものだ。

      

      

      
   これら玉堂の絵画は当日展示されていたものではありません。

 小ぶりな美術館だから時間も短くて済むし、疲れないのがいい。気に入った絵のところへ気軽に戻って見直したりも容易にできる。

 天候も良く暖かかったので、近日行く方向の確認を兼ねて辺りを散策。Siri に「杁ヶ池公園はどこですか」と訪ねたら、「ハイこちらです」と意外に近くを指し示す。ならばといってみる。
 池を中心とし、それを巡る公園である。
 思うに、かつて丘陵地帯であったこの辺りのそこかしこにあった田畑に、水を供給する農業用の溜池をうまく利用した公園ではなかろうか。

      

 かなり大きな池であり、この時期、花の気配はないが、あちこちの岸辺近くに何種類もの水鳥がたむろしている。オシドリ、マガモ、その他の水鳥は名前もよくわからない。
 そのうちに、水辺を歩く黒い鳥を発見した。当初はカラスかなと思ったが体型がふっくらしていて一回り大きい。その脚も水かきはないが大きく広がっている。
 何よりもの特徴は、そのくちばしから頭部にかけて白い筋が通っていることである。動物でいうなら白鼻芯(ハクビシン)といったところか。

   

 ときめきを覚える。生まれてはじめて遭遇する鳥だ。「黒い鳥」で検索してみる。いろいろな鳥が出てくるがどれも違う。そのうちにあった!紛れもなく、嘴から鼻筋が白く通った鳥・・・・オオバンとある。漢字は「大鷭」と書き、ツル目クイナ科とある。
 名前は聞いたことがあるが、どんな鳥かは知らなかったし、こんなところでひょいと出会うとは思いもしなかった。

      

 池を一周し終え、射す陽ざしが夕日の色彩をおび始める頃、帰途につく。ふと思い立って足を運んだのだが、リニアモーターカーに乗ったり、玉堂の世界に馴染んだり、思いがけずオオバンとの出会いを果たすなど、やはり犬も歩けば棒に当たるだ。
 この諺には二面性があって、でしゃばることへの戒めと、進んで行動することのメリットを指すようだが、今回の場合は明らかに後者だ。

      


オオバンの写真、私がスマホで撮ったものは限界があるので、それを確認するためにネットからのものを載せておきます。
 あ、リニモの写真も玉堂の絵画もネットからのものです。

 


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