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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

私の正体はネズミ男なのであろうか 自損する歯

2019-03-21 11:28:48 | 写真とおしゃべり

 写真は文章と関係なく、私のうちで咲いているユキヤナギとレンギョウなど。

 しばらく前のことだ。食事のたびに、上の前歯の歯茎の辺りが痛む。歯そのものというより歯茎に何やら外傷ができたような痛みだ。
 「口腔内の怪我は治りが早い」というのは、たぶん一般にも通用する私の経験知である。食に関わる支障は早く直してやろうというありがたい自然の摂理であろうか。
 実際のところ、食事のたびに痛みを感じていては山海の珍味も台無しである(というほどのものは食していないが)。

        
 さて、私の痛みの方であるが、経験知を裏切るかのように一向に痛みが弱まらないのである。一週間が経過した。私の唯一の楽しみである食は、口腔中に広がるはずの味と、その都度訪れる痛みとの葛藤の場に転じてしまった。
 さすがの私も、これはヤバイと思うようになった(この場合のヤバイは、今どきの若者言葉のもつ「すごい」とか「素晴らしい」とかの意味ではなく、本来の「危ない」「危険かもしれない」の意味である)。

        
 そこで、口腔内のことだからと行きつけの歯科医のところへ行った。
 「口腔内の傷はすぐ治るはずなのに・・・・」という私の持論を、「そうですね」と軽く受け流して歯科医は、「はい噛み合わせてみて」「もう少し強く」などと言いながら観察していたが、しばらくして、「こりゃ痛いはずだ。自分で傷つけているのだから」と言い放つ。

           
 「?、私ゃ、そんな自損や自傷志向はありませんが」という私に医師の説明。
 「あなたの下の前歯が伸びすぎたのです。それが噛み合わせた際、ほとんど前歯の内側の歯茎に当たっています。ですから、そこに食べたものが入り込むと、上の歯茎を圧迫して痛むのです。その歯茎の部分は炎症を起こして赤く腫れていますよ」

        
 え?え?歯が伸びすぎた?80歳を超えるまで、そんなことは聞いたことがない。身長などは縮んでるのに歯が伸び続けるなんて・・・・。
 「いえいえ、歯は伸び続けますよ」と医師。
 そういえば、土葬などの場合、死者の髪は伸び続けると聞いたことがある。

        
 「で、治療は?」
 「いや、簡単ですよ。伸びすぎた下の前歯を削るだけです」
 「そんなことで治るんですか?」とは言わなかった。なんか半信半疑だったが、医師に任せることにした。

        
 キュ~インという乾いた音とともに私の下の前歯は削られた。
 「ハイ、噛んでみて~」
 という指示が2、3度あって、
 「これでいいでしょう。あと上の前歯の歯茎が赤く腫れ上がっていますから、塗り薬を出しておきます。綿棒かなんかで、そこへ塗ってください」

        
 これで治療は終わり。
 夕食時、食べてみる。まだ少し痛むが、前ほどのことはない。思うに、歯で押し付けることはなくなったが、腫れ上がったところへ食い物があたる痛みだろう。
 食後、その薬を塗る。

        
 翌朝、舌で触っても前よりはうんと負担がない。昨夜のうちに、2、3回、薬を塗ったからだろう。

        
 そしてそれから3日ぐらい経った今日、痛みはすっかりなくなった。
 やはり「餅は餅屋」だ。
 ただし、舌で歯茎の傷んだ部分を触ると、まだ多少の違和感がある。もらった薬をあとしばらく塗ったら完治するだろう。

        
 ちなみに今日の午後は、薬を塗るのをすっかり忘れていた。
 ほとんど完治と言ってよい。

        
 ちなみに今回納得したのは、この歳になっても歯は伸び続けているということだ。
 ネズミの歯は急速に伸びるので、彼らはしょっちゅう何かをかじっていなければならないと聞いたことを思い出している。
 私もまた、そうなのであろうか。

        
 そのうちに犬歯が伸びて、ドラキュラのようになるかもしれない。
 その折の治療方法は、たぶん、あなたの血を吸うこと。

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