なんだか季節の移り変わりが鋭角的になったような気がする。季節間のグラデーションの期間が少ないのだ。
もっとも季節や自然の方に言わせれば、そんなのはお前の主観で、こちらは折々の条件に従いちゃんとなすべき変化を成し遂げているのだ、ということになる。
わが家の紅梅の鉢と早咲きの桜、先にじわじわと咲き始めたのは紅梅の方だった。それが満開になった頃、今度は桜のほうが咲きはじめ、追いつくかのように両者の満開をみるところとなった。
それがいま、両者揃って散りつつある。まさに、「桜パッと咲いてパッと散った」であり「世の中は三日みぬ間の桜かな」で桜のほうがその変化のテンポが早い。
それをもって、武士の散り際や戦時中の特攻隊の「共に散ろうよ国のため」などの例にされたりする。主君や国のため、散ることを強要されることの例えにされるのは、桜にとっても本意ではあるまい。
むしろ、小野小町の無常観のほうが共感できる。
「花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに」
両者が散って、わが家はいくぶん寂しくなったが、追いかけるように雪柳が咲き始めた。さらにはレンギョウがぼつぼつ開花しつつある。
私が「鋭角」だの「鈍角」だの言っている間に、季節は確実に移ろいつつあるのだ。
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