今年四っ目の訃報、私の二周りほど下の六〇になったばかりの女性・・・・しかもどうやら・・・・。
ネット上のみの知り合い女性、だが、付き合いは二〇年以上で、その私生活もかなり知っていた仲だ。
予兆はあった。昨年はとても危険な状況で、メッセや手紙で必死に説き伏せ、一時は回復した模様なので安心していたのだが、やはり、そうした事態にはド素人の私、その力の限界を知らされてとても打ちのめされている。
なにか、私がすべきこと、出来ることがあったのだろうか?一人息子と連れ合いとの生活、その連れ合いも彼女の危機をよく知っていたはずで、しかも専門医にかかっているということで、私の出る幕ではないと思っていた。住まいも遠方なのでおいそれと逢うわけにもゆかなかった。
なんか虚しい。
ネット上のコミュニティでは、「モーツァルト」「鶴見俊輔」「ハンナ・アーレント」などが共通で、よく勉強していた人だった。
私の方からの同人誌も送っていて、とても適切な感想などもくれた。
それなのに・・・・。
ネット上での書き込みなども、彼女自身が自らほとんど消していしまっているが、私と遣り取りをしたメッセが残っているので、差し障りのない範囲でそれを載せておく。
いずれも昨年のもの。
彼女:しばらく一か月以上も不明熱が出て、コロナでもなく風邪でもなく、毎日発熱していたので、雑誌をお送りくださったお礼が遅くなりました。ありがとうございました。〈略〉お身体ご自愛ください。
私:ご様子が良くないとのこと、お見舞い申し上げます。
原因不明の発熱とか、別の病院のセカンドオピニオンもお聞きになり、適切な治療法が明らかになり、早く全快されることを祈ります。
〈略〉
〇〇さん あなたが息子さんをいかにいつくしんでお育てになったかの経過はよく存じています。一時的に離反しても、また何かの機会に復縁します。絶望することなどありません!
(この間、どうも危険だと思って手紙や葉書を送っている)
彼女:お葉書いただいて、感動しました。よく理解してくださっているので、気持ちが安定しました。薬50錠飲んでホテルをとって死ぬ予定だったのに、バカなことにまったく眠たく成らない薬で、福島に帰省していた夫が警察に捜索願を出したので、警察がホテルまで来て大騒ぎになりました。息子のことを考えるとまだ死にたくなるので、なるべく子離れしようとおもっていますが、大切に大切に育てた子ことをそんなにすぐに忘れられません。息子のことをなるべく考えないようにしています。衝動的に死のうとしたのは、鬱が重いからです。来週医者に行くので、相談してきます。本当にご親切にお気遣いいただいて、ありがとうございました。
私:ふーっ、驚きました。でも大禍なくてよかったです。
いいですか、あなたは息子さんとの関係だけで生きているわけではありませんよ。あなたの周辺の様々な方との関係、お連れ合いやその他の縁者の方、友人、それらの方々はあなたを支えるとともにあなたに支えられてもいるのです。
私についていえば、あなたは古き良き今池の思い出の共有者、私のお送りする同人誌の長年にわたる良き読者として私のなかに生きていらっしゃいます。
SNSでも、いまはそれ自体が衰退傾向ですが、私の他のご友人が心配して書き込んでいらっしゃいました。
あなたと息子さんとのご関係が、いまあまり良くない状態に陥ったという事実を無視するわけではありません。あなたの悲しみもある程度わかります。
ただし、あなたが生きていらっしゃるのはそこだけではありません。時間的にも、空間的にも、もっとゆったりした視野でお考えになり、それはそれで限定された事態であり、あなたの全人生を決定するものではないことを肝に銘じてください。
人の一生、見通すことなど不可能ですが、いつかそれらの事共が笑い話に転じることだってありうるのです。
息子さんの件、強いて忘れる必要もないと思います。それを気遣いながらも、それを気遣っている自分が息子さんとは独立して存在していて、ご自分の固有の生活をお送りになるということでいいのではと思います。
いずれにしても、来週、専門の医師とお会いになるとのこと、ご自分の状況をうまくお伝えになり、医師のアドヴァイスを引き出すようにしてください。もし、そのアドヴァイスと、私がここに書いたこととが矛盾するようでしたら、躊躇なく、私の方をお忘れください。
私がして差し上げることができるのは、こうして言葉を交わすぐらいです。それでお慰みになるようでしたら、メールでもなんでもください。
(これについてはメールで返事が来たが、それはまあ、安心できるものだった)