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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

20世紀の予言を検証・・・・というほどのことでもないのですが。

2020-07-17 15:56:21 | 想い出を掘り起こす

             

 『昭和史をどう生きたか』という半藤一利による、半藤自身がが諸人士と対談した記録をまとめた書がある。そのなかで、故・丸谷才一との対談には、二〇世紀にまつわる「予言」の話が出てきて面白い。
 以下はそれらをノートしたもの。

             

【当たり】
 戦前の石原莞爾の「いまにマッチ箱一つで都市が吹っ飛ぶような爆弾ができる」
【ハズレ】
 同じく石原莞爾の「満州国をもって五族協和の王道楽土ができる」
【当たり】
 N・ファーガソン(米学者)「欧米の植民地は経済人が運営しているが、日本のそれは軍人によるものだから必ず失敗する」

【ハズレ】ワシントンのポトマック川でラングリー博士の飛行機の公開実験が行われ、離陸と同時に川に墜落。NYタイムズは「いずれ飛行機は完成するだろうが、それは百万年先か二百万年先だろう」と報じた。
 その九日後、ライト兄弟が飛行実験に成功した。

【ハズレ】カーネギー「産業と科学技術の進歩せいで、二〇世紀には戦争はなくなるだろう」

【ハズレ】「やがて人と獣との会話が自由になり、単純労働は動物にとって変わられるだろう」これは外れたが、ロボットがその任についている。ただし、単なる単純労働ではなく、やがてAI が人を支配する可能性も・・・・。

【ハズレ】J・F・エリオット(米外交官)「日本が真珠湾を攻撃するのは不可能」(1938年)。これは3年後に実現。

           

【当たり】山本五十六「アメリカと戦争をしてはいけない。全世界を相手にすることになる。ソ連との中立条約は当てにならない。いつ攻め込まれるかわからない。
 自分はやがて討ち死にするだろう。
 東京は三度ほど丸焼けにされるだろう」(1940年)

【当たり】大本教出口王仁三郎「一九三一年は『イクサ始まる』と読み、皇紀に直した二五九一年は『ジゴクはじまる』と読む。だから大戦争が起こり惨禍が広がる」と1931年に予言。この年、満州事変が起こる。

【当たり】米SF作家が原爆開発の短編小説を書き。そのプロジェクト計画に「ハドソン川計画」と名付けた(1944年)。あまりの符号に驚いた参謀本部が慌てて飛んできた。その計画は実際に進んでいて、名前は「マンハッタン計画」だった。
 これは予言というより、作家の想像力が産んだ偶然の一致。

           

【当たり】アーノルド・トインビー(英歴史学者)の1932年の予言「日米戦は必ず起こる。日本は孤立し壊滅する。またこの間に、大英帝国は次第に没落する。
 この最後のものは、「予言」というより、歴史家が世界情勢を分析する中で導く出した、裏付けのある推測と言えるだろう。

 ところで、21世紀の「予言」や「予測」は混沌としている。それは恐らく、その出鼻をくじくように「9・11」があったからだろうと丸谷は語っている。

 

 

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