「金も七九 七九七九至る 七九」 七九歳の誕生日に
(五・七・五の川柳になるように読んで下さい)
天皇陛下の御ん為に、本土決戦で一人一殺、アメリカ兵と刺し違えて死ぬはずの軍国少年が、気がつけばユニセフ、ララ物資の脱脂粉乳で育ち、アメリカ軍のジープを「ギブミー・チョコレート」と追いかけ回していました。
その後、軍隊が復活し、アメリカとの軍事同盟が結ばれようとするいわゆる「復古調」のなかで、私たちの一世代上がそうであったように、私たちもまた戦場に送られ、人を殺したり殺されたりする危機を覚えました。
それ以後、そうした趨勢に対するアゲインストをしてきましたが、いつの間にか自分は戦場ではもはやお呼びでない年齢に至りました。
ただし、うかうかすると今度は若者たちを戦場へ送り出すことになりかねません。もちろん、目の黒いうちはそこまでは落ちぶれたくはないと思っています。
ところで世の中、ポスト真実(トゥルース)時代とやらで、怪しげなフェイクニュースが飛び交い、フィルターバブルとやらで、自分にとって心地よい情報のみを身にまとって、虚構の世界に逃げ込む人が多くなっているといいます。
とりわけ、ネットの社会では、何が真実かよりも、嘘であろうがクズであろうが衝撃的で人々にシェアされ広まる情報が、あるいはニュースソースはどうでもよく、自分と似た連中の垂れ流す情報が尊重され、そこに安住する人たちがいます。
こういう人たちにとってはネットの中の仮想空間こそが戦場で、自分たちの信じる快楽の領域を批判し傷つける「敵」を見出して炎上させることが溜飲を下げる最大の娯楽なのです。
これらはいまさら始まったことではないといわれますが、無視できない兆候として肥大化しつつあることは事実です。
アメリカのトランプの後押しをしたのは明らかにそうした趨勢ですし、トランプそのものが言いっぱなしのフェイクニュースを振りまいています。イギリスのEU離脱に観られるいわゆるブレグジット=Brexitでも、イギリスの経費負担が実際の三倍であるかのようなフェイクニュースが跋扈し、離脱決定後に、「あれは違ってた」といとも簡単に済まされています。つまり、イギリスの負担は過分であるとの偽情報が決定的な役割を果たしたわけです。
ヨーロッパでの極右政党の増加もそうしたフェイクニュースや陰謀説と、それを快として受け止める人々によるものといわれています。
もちろんこの国でも、そうした趨勢は目に見えて強くなり、ヤフーニュースのコメント欄や2CHなどはヘイトとフェイク、そして群れを成して噛み付く炎上軍団の巣窟と化しています。
また、産経や読売といったメジャーな媒体が、フェイクすれすれのニュースを垂れ流したりします。
誤認ではなく、わざわざ作られたフェイクニュースも大手を振ってまかり通っています。それを生業としているサイトもたくさんあるし、その筋からの経費負担による情報操作組織もあるようです。
だから、私たち老人は大変です。
足元から迫りくるオレオレ詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺と戦わなければなりませんし、一方では日々生産されるフェイクニュースを真に受けた連中を払いのけるべく、まさに前門の虎、後門の狼とに対峙しなければならないのです。
いずれにしてもその手段は情報リテラシーに徹するということです。
とくに与えられたそれの情報源、伝達経路の信頼性など二重三重のファクトチェックが必要となり、必要ならそことは違うところからの違う情報をも参照しなければなりません。まあ、いずれにしても、自分の居心地の良い情報のなかに安住しないで、あえて他なる言説にも時には耳を傾けることが必要なのでしょう。
いずれにしても、油断も隙もない世の中です。
そんなわけで、七八歳最後の読書は『ポスト真実の時代』(津田大介×日々嘉高 祥伝社)。
もっとも上のようなことには従前から着目し、先ごろ発刊した同人誌「遊民」にもすでに書いているのですが、前々から感じ、言葉としても散見できる事柄をいま一度整理し、復習してみたということです。
(五・七・五の川柳になるように読んで下さい)
天皇陛下の御ん為に、本土決戦で一人一殺、アメリカ兵と刺し違えて死ぬはずの軍国少年が、気がつけばユニセフ、ララ物資の脱脂粉乳で育ち、アメリカ軍のジープを「ギブミー・チョコレート」と追いかけ回していました。
その後、軍隊が復活し、アメリカとの軍事同盟が結ばれようとするいわゆる「復古調」のなかで、私たちの一世代上がそうであったように、私たちもまた戦場に送られ、人を殺したり殺されたりする危機を覚えました。
それ以後、そうした趨勢に対するアゲインストをしてきましたが、いつの間にか自分は戦場ではもはやお呼びでない年齢に至りました。
ただし、うかうかすると今度は若者たちを戦場へ送り出すことになりかねません。もちろん、目の黒いうちはそこまでは落ちぶれたくはないと思っています。
ところで世の中、ポスト真実(トゥルース)時代とやらで、怪しげなフェイクニュースが飛び交い、フィルターバブルとやらで、自分にとって心地よい情報のみを身にまとって、虚構の世界に逃げ込む人が多くなっているといいます。
とりわけ、ネットの社会では、何が真実かよりも、嘘であろうがクズであろうが衝撃的で人々にシェアされ広まる情報が、あるいはニュースソースはどうでもよく、自分と似た連中の垂れ流す情報が尊重され、そこに安住する人たちがいます。
こういう人たちにとってはネットの中の仮想空間こそが戦場で、自分たちの信じる快楽の領域を批判し傷つける「敵」を見出して炎上させることが溜飲を下げる最大の娯楽なのです。
これらはいまさら始まったことではないといわれますが、無視できない兆候として肥大化しつつあることは事実です。
アメリカのトランプの後押しをしたのは明らかにそうした趨勢ですし、トランプそのものが言いっぱなしのフェイクニュースを振りまいています。イギリスのEU離脱に観られるいわゆるブレグジット=Brexitでも、イギリスの経費負担が実際の三倍であるかのようなフェイクニュースが跋扈し、離脱決定後に、「あれは違ってた」といとも簡単に済まされています。つまり、イギリスの負担は過分であるとの偽情報が決定的な役割を果たしたわけです。
ヨーロッパでの極右政党の増加もそうしたフェイクニュースや陰謀説と、それを快として受け止める人々によるものといわれています。
もちろんこの国でも、そうした趨勢は目に見えて強くなり、ヤフーニュースのコメント欄や2CHなどはヘイトとフェイク、そして群れを成して噛み付く炎上軍団の巣窟と化しています。
また、産経や読売といったメジャーな媒体が、フェイクすれすれのニュースを垂れ流したりします。
誤認ではなく、わざわざ作られたフェイクニュースも大手を振ってまかり通っています。それを生業としているサイトもたくさんあるし、その筋からの経費負担による情報操作組織もあるようです。
だから、私たち老人は大変です。
足元から迫りくるオレオレ詐欺や還付金詐欺などの特殊詐欺と戦わなければなりませんし、一方では日々生産されるフェイクニュースを真に受けた連中を払いのけるべく、まさに前門の虎、後門の狼とに対峙しなければならないのです。
いずれにしてもその手段は情報リテラシーに徹するということです。
とくに与えられたそれの情報源、伝達経路の信頼性など二重三重のファクトチェックが必要となり、必要ならそことは違うところからの違う情報をも参照しなければなりません。まあ、いずれにしても、自分の居心地の良い情報のなかに安住しないで、あえて他なる言説にも時には耳を傾けることが必要なのでしょう。
いずれにしても、油断も隙もない世の中です。
そんなわけで、七八歳最後の読書は『ポスト真実の時代』(津田大介×日々嘉高 祥伝社)。
もっとも上のようなことには従前から着目し、先ごろ発刊した同人誌「遊民」にもすでに書いているのですが、前々から感じ、言葉としても散見できる事柄をいま一度整理し、復習してみたということです。