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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

最後の稲刈りウオッチング

2016-10-27 11:13:23 | 日記
 タイトルにつけた「最後の」には二つの意味がある。
 ひとつには、この辺は遅場米の産地なのだが、それにしてもこの田は一番遅く、早いところからは一ヶ月ほど、その他の平均的なところからでも2週間以上遅れてやっと稲刈りが行われたということである。たぶん、私が目にする今年最後の稲刈りだろうと思う。

 もうひとつには、この田と私がウオッチングをする場所との間の休耕田が売れて、埋め立てられ、稲刈終了後にはここに4軒の二階建ての家ができることになっていることによる。そうなれば、このアングルからのウオッチングはもう不可能になる。
 なお、もうさんざん書いてきたので、繰り返さないが、半世紀前の田園地帯は今や完全に都市化の波に洗われ、その面影を失いつつある。とりわけ今年は、私の家の周辺で沢山の田んぼが失われてしまった。

            

 だから今年は、写真のみではなく、動画にも収めてみた。
 慣れないものだから、手ブレなどが著しいが、雰囲気はわかってもらえるだろう。また、都市化のなかで残された田んぼの風情もお分かりいただけると思う。

            

 この稲刈り機(コンバイン)は、知人の見解に依るとかなり古いものらしい。その性能や能力によって、たとえば、何条刈り(田の何列を刈り取ることができるか)とかいうように別れているらしいが、私にはわからない。
 ただ、この機会は四条刈りではないかと思う。というのはそのネーミングが「カルテット」とあり、「刈る」が掛けられていることは間違いないが、同時にそれが四人組を表しているかもしれないと思うからだ。だとしたら、なかなかすごいセンスのネーミングだと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=lsKsfcCBOhY

 どういう仕掛けかわからないが、前で刈り取った稲は籾のみが中央にぶら下がった袋に収納され、藁しべは細かくなって後ろから吐き出される。
 これだけでも大したものだと思うのだが、新しい機械はさらに進んでいるのだろう。昨年、遠目に新しいものを見たのだが、そのスピードは、この機械の三倍ぐらいはあったかもしれない。それにいちいち、籾の入った袋を取り外さなくてもいいようになっていたと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=N48ewdFwrkY

 動画では、袋を取り外す様子も撮しておいた。
 なお、最後の一列を刈るのに、中腰になって前方をチェックする農夫の姿は、一連の作業の終りを迎える姿勢として、いささか感動的であった。

https://www.youtube.com/watch?v=nKSCSIsIErU

 私自身は農家ではないが、少年時代の数年、母方の農家の離れに疎開し、田植えや稲刈り、お蚕さんの桑の葉採り、などを手伝った経験が多少あるので、これらの作業をいつも郷愁を混じえて見ている。

https://www.youtube.com/watch?v=A3gmEE4-ytA

 ところで、都市近郊の小規模農家や兼業農家が、どんどんその田畑を手放しているのは、来るべきTPPに対する反応だというのはほんとうだろうか。
 私たちが、通常目にする自然の風景というのは、農林業の人たちの手が加わったものである。林業の衰退で、山は荒れているとも聞く。田園もまたそうならないことを祈りたい。
 陶淵明の「帰りなんいざ、田園まさに荒れなんとす」を思い出した。


コメント
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