六文錢の部屋へようこそ!

心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

「花鳥風月」と無粋な私

2014-05-24 02:49:57 | 花便り&花をめぐって
 写真は昨日、農協の花売り場で撮したものです。

 心身ともに不調の折、花鳥風月に慰められるという人たちがいる。
 私は生まれついての無粋なせいか、そうした経験はあまりない。
 昨秋、一週間の入院の間、息詰まる病室から逃れるため、しばしば窓から外界を見渡したが、これといった印象はなく、自分が幽閉されているという意識を強くするばかりであった。



 先ごろまで、何度も繰り返す風邪にも似た症状の中で不快な日々を過ごしてきた。三日ほど前に、降りしきる雨の日があったのだが、それが上がるとともにさわやかな日々が訪れた。それに呼応するかのように、私の体調も回復し始めた。

 用心のために片付けないでいた冬物の一部も全部片付けた。
 かくして、不退転の決意で初夏を迎えている。
 これを潮時と私の頑固な肉体も転向したようで、ここ二、三日は調子が戻ってきた。



 移ろいゆく皐月の陽光は眩しく、季節の花々が私を誘惑する。
 やっと、それらのシグナルを受容できる自分の回復に改めて自信をもつことができる境地へと至った。

 古来歌人は、自分がみまかる際の花にまで思いを寄せた。
 「願わくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月の頃」
 は西行のそれである。



 私にはそれほどの願望もないし、自分の死と自然とのコラボも期待してはいない。
 私が逝く時には、その折々の花が咲き誇り、もし花のない季節なら、木々が黒々とそびえ立っていればいいと思う。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする