六文錢の部屋へようこそ!

心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

当世「一攫千金術」に関しての考察 あなたならどうする?

2013-11-11 13:59:57 | 社会評論
 昨日のことです。
 村上(春樹ではありません)と名乗る男から5回にわたって以下の様なメールが送られてきました。

         

    =================================

 私は現在 台湾の現地 法人の代表を務めておりま す。
震災時にも台湾におりましたのでニュースでしか現状を知れず、数か月経過した頃にようやく帰国を致しました※その際に、とても悲しい 思いも致しました 
 何か役に立てればという思いから売 上の一部を震災義援金としてご送金させて頂いておりました。
ですが今回、日本 でいう損金算入限度超過となり総額5800万円程の余剰 金となり上海の銀行を経由して送金していた物が全て停・止となってしまった次第 で御座います。
 こちらも既に処理してしまった手前、 戻して しまいますと外貨収入と なり高額な税金等が掛かってしまいます。
 その為 社内にて協議した結果、rokum*****様 へご送金するのが一番得策という結論に至りました,
一括での送金が日本国内の銀行法上、ちょ っと手間がかか りま す為、分割してご送金させて頂きたいと思っております。
 送金内容は以下の通 りで御座います
 ≪総額送金:5800万円≫  初回送金:800万円  残高 送金:5000万円
-----------------------
※ 残高送金5000万円に関し まして初回 送金後10日以内に5回に分けて送金を致します※
色々とご心配な事があるかと思います。
ですが それは全て無いものとお考え下 さい。
 返金やトラブル等が発生するという事は 一切無い ということをお約束致します。
そして , 必ずお手元の口座に送金されると いう事を お約束させて頂きます.
良いお返事をお待ちしています = (原文のママ)


    =================================

            

 まことにありがたい話ですが、いくぶん欲ボケをしてる私でも、世の中にこんなうまい話がころがっているはずはないことぐらいは分かります。
 振り込みと称して銀行の口座番号を聞き出そうとする稚拙な詐欺なのでしょう。
 「何を馬鹿いってるんだか」と笑ってやり過ごすのですが、それが一日に少しづつ文面を変えて5度も送られてくると、私がそれに引っかかりそうな薄ら馬鹿だとマークされているようで多少腹が立ってきます。
 
 なお、これとほぼ同文のものがしばらく前に(その際は野崎とか寺崎と名乗っていました)送られてきているのですが(その際は一日2回)、その場合の金額は4,300万でした。
 それから1,500万も増えているのですから、そのうちに一億ぐらいになりそうですね。

                  
 なぜ、こんなものが横行するのでしょうか。
 一方では懸命に働いても年収が200万にも届かない現実がある一方、額に汗して働くことなく一攫千金をと期待する向きがあるようです。いや、このふたつの現象は連動しているのかもしれません。額に汗しても食えないようだったらいっその事・・・とつい思ってしまうのでしょうか。

 先般も、ネットの闇サイトで知り合った三人組が、初顔合わせのその日に女子中学生(JCというのだそうですね。女子高校生はJK)を誘拐するという事件がありましたが、これもまたずさんで稚拙な犯罪でした。
 主犯は家族持ちで借金を背負った男でしたが、応募したのは沖縄から首都圏に働きに出てきたのですが、いい職にありつけなかった若者のようです。
 やはり、一攫千金のための安易さがあるように思います。

 最近、ネットにはそうした一攫千金の話があふれていますね。
 つい最近も、自称ニートだった若者が大阪の西成に流れ付き、そこで出会ったヤクザのおっさんとの交流を深める間に働くことの意義を見出し自立してゆく物語に接したのですが、そこで彼が見い出した仕事とはパソコン一台で世界を闊歩しながら月収ン千万円を得るに至ったということで、その秘訣を教えるから本を買えとかアクセスしろとかいう話になってゆくわけです。

 この前半の話は結構面白くて「イイネ」をつけている人が結構いたのですが、後半まで読むと、何だ、やっぱり「釣り」だったのだということがわかります。
 これもまた、安易に稼ぐという趨勢に乗ったものでしょう。

            

 私のような古い人間にとっては、働くということは額に汗する事で(汗は比喩で、必ずしも肉体労働のみを指すものではりません)、できればその仕事に意義なり誇りなどもちたいと思うのですが、今はそれがままならぬのでしょう。であれば、途中の労働という過程はどうでもよくて、なにはともあれ金を得ることということになりますね。

 私はあるところで「一般的等価性」ということで貨幣のことを論じ、それが世界の主要動機になっている後期産業資本について書いとことがるのですが、そこでは、「お前は誰か」ではなくて「お前は何をどれだけ持っているか」という「所有の問題」にすべてが換算されるわけです。
 ですから、何をどんな方法ででもいいのです。とにかく「所有をする側」にのし上がることさえできれば。

 最初に引用したメールも、稚拙とはいえそうした風潮を踏まえての詐欺行為であることは改めていうまでもありません。だからこそ、それに引っかかることが皆無とはいえないのです。

 さて、その5,800万円ですが、どうしましょう。
 もし、あなたに応募する気があるようでしたら、「村上」とかいうひとへの返信用のアドレスを教えますよ。
 ただし、その結果については、もちろん一切の責任を負いません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする