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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

晩秋と初冬のグラディエーション。 越美国境を行く。

2007-11-23 05:28:30 | フォトエッセイ
晩秋と初冬の狭間で・・。 

 晩秋というか山近くでは初冬の一日、越美の国境を行く。
 越美とは、福井県の越前地方と岐阜県の美濃地方を指す。
 例によって雑誌の取材の同行。
 この辺は少し詳しいのだ。
 20代後半からアマゴやイワナを追っかけたところであり、かつ、私の亡父の在所なのだ。

 
           秋と冬が共生する九頭竜湖畔
 
 父は、今でこそ車で何時間かの距離ではあるが、昭和初年には一日以上かかる距離を、柳行李(柳の枝で編んだ方形の箱。衣料などを入れた)ひとつを背負い、岐阜の街へと丁稚奉公に出たのだった。
 孤児同然であった私を養子として引き取り、育ててくれた父は既に故人だが、酒が入ったとき以外は寡黙で、木材と阿吽の会話をしていたこの父(彼は材木商であった)を、私は今なお敬愛している。

 
          九頭竜ダム越しに見る荒島岳

 場所は東海北陸道白鳥インターから油阪峠の下を抜けて、九頭竜湖を左手に大野から福井へと至る付近である。
 九頭竜湖付近にまで来ると、景観は晩秋を突き抜けて初冬へと至る
 周囲の山々はうっすらとであるが冬化粧で、車を止めて外へ出ると、思わずぶるぶるっと来る寒さである。カメラマンは、手が凍えそうだといっていた。
 地球の温暖化がどうとかいわれている割に、今年は冬が早いようだ。

 
           一瞬の陽射しが・・・1

 日本は、四季折々の変化に恵まれていて、その変容を楽しめるという。その通りだと思う。
 しかし、今年に限ったことかどうかは知らないが、その四季の節目がいささか鋭角的ではないかと思?、のだ。
 暑い、暑いといっていた夏が、いきなりストンと秋になり、そして幾ばくかもしないうちに冬の気配、その間の連続と不連続がなんとなく慌ただしいのだ。

 
           一瞬の陽射しが・・・2
           
 ただし、なだらかな季節の変動などは幻想であって、いつの時代でも季節は気がつけば変わっているのかも知れない。ましてや、歳を経た私の感覚においては、それ自身がある偏差をもつのかもしれない。

 そんなことを考えながら、帰途、県境を越える場所に設置された温度計を見たら、まだ午後5時前というのにジャスト0℃であった。

 
           荒島岳。日本百名山のひとつ。
           さほど高くはないが貫録は十分


 地球はかつて、少しばかりの知恵をもって徘徊する人類という動物に関わりなく自らの運動を行っていたのだが、いつの間にかその動物が地球の運動を左右することになってしまった。
 人類は、地球の運行や運命を、再び地球自身に返還するだけの謙虚さをもちうるだろうか
 




コメント (2)
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