イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

切るぞ、おやすみ

2008-05-20 19:18:16 | アニメ・コミック・ゲーム

『炎神戦隊ゴーオンジャー』GP1418730~)を通して見てもうひとつ、これ最高だなと思ったところがあります。

カマ蛮機をヒューマンワールドに差し向け、セイレーンの歌声よろしく、疲れた人間たちを仮想温泉に取り込んで抜けられなくさせ、骨抜きにしようというケガレシア様(及川奈央さん)の作戦を「なんだこのマヤカシは!だらしないー!!」一喝でふっ飛ばした謎の道場主・藤尾万旦(『555』ではスネークオルフェノク海堂の最初で最後の犠牲者となった町工場社長・永田耕一さん)の道場に、ケガレシア様がカマを伴って偵察に入るも、結局実質何の謎も秘伝もなかったというところ。

変身ヒーローものとして見れば、変身戦闘能力のない一般人である藤尾万旦に、一般人だからこその、体を苛めてつかんだ何かの奥義があって、それがガイアークの強力作戦を破るヒントになり、ゴーオンジャーたちも敬服して「オレたちも装備や武器だけに頼らないで、精神を忘れずにこれからも闘わなきゃな」「忘れがちなことを思い出させてくれて先生、ありがとうございました」で終わったほうが古典的で据わりがよさそうに思いますが、我らが『ゴーオン』、そんな陳腐な転結にしませんよ。

この藤尾先生「日常の中に極意あり!」「いっさいの楽しみを捨て去り、つらさや苦しみを喜びとする、強い心を育てる修業を授ける!」と謳いつつ、範人(碓井将大さん)たちに薪割りさせて自分はグースカ居眠りしているような、ただの標語倒れな迂回ドM?オヤジだったのでした。もちろん夜は夜でグースカ、ウサ耳つきピンクの着ぐるみナイティで眠ってるし。ドMというより微量変態かもしれない。

結局、ガイアーク体に戻ったケガレシア様のパンチ一発でノビてしまい、外でゴーオンとカマが駆け足戦闘やってる間じゅうノビていて、終わった頃に目が覚め、「冷奈さーーん!(←ケガ様人間体)」と飛んで戻って来た範人に踏んづけられてまたノビてる始末。どこが修業やねん。ゴーオンジャーが学んだのは、藤尾先生よりむしろ“どんな状況でも楽しんだ者勝ち”といういつもの範人の姿勢のほう(軍平だけは最後まで「オレはそんないい加減なの認めないぞ!」と言い張ってましたが)。

そもそもケガ様のカマ蛮機作戦自体、人間に“疲れた、怠けたい、のんびりしたい”という弱さがあることが前提になっていて、ほとんどそれだけにかかっているので、藤尾先生のような「つらさや苦痛を喜びとする!」てなヘソ曲がりドMな人間がいたら、変身装備なんかなくても「だらしないー!!」怒声一発で幻想温泉が崩壊する、脆弱と言えば脆弱な仕掛け。

もちろん冷奈さんと出会って心うきうきの範人のように「温泉で癒されるより、もっと楽しいこと見つけたんだ」でも崩壊。要は人間が元気で何につけ楽天的でさえあれば効かないという、他愛無い作戦だったのです。

逆に藤尾先生の提唱する「修業の最後は、滝に打たれるのだ!」を“これがワラワの作戦を破った秘密か”と勘違いしたケガ様の命令で滝修業させられたカマ蛮機が、根拠なく「雑念を捨て!…悟った!…ような気がするワ~」と本当にパワーアップしてしまうなど、敵もヒーロー側もすべて“気の持ちよう”で攻勢かけたり、劣勢になったり優勢になったりしているという爆笑ものの筋書き。それこそ『湯屋番』じゃないけど、古典落語にこういうのありませんでしたっけ。むしろ昔話の『裸の王様』と発想が近いかな。

GP11のアンテナ蛮機もそうでしたが、“邪悪方面に特化した機械文明”であるガイアークの作戦が、不思議に物的ハード的よりも、人間の心・精神のほうにターゲットを絞って攻撃を仕掛けるものが多いのも興味深い。今GPも、人間化したケガ様=冷奈を、炎神スピードルが「あの女、どこかで見たような気がしないか?」と言っているのに、走輔(古原靖久さん)は「あんな美人なら一度見れば忘れないはずだけどな?」と、“ものを見る、考える、いちばんしっかりしなきゃならないのは人間というメッセージをさりげなく織り込んでいます。

それにしても、範人が冷奈に道場のバルコニーで告白する差し向かい場面などを見るにつけ、範人役の碓井さんはこの3ヶ月ぐらいでも目に見えて身長が伸びました。平成3年生まれ、昨年の暮れに16歳になったばかり。いまなら毎日ご飯食べて寝て起きたら伸びてる、ぐらいの勢いでしょうね。

走輔役の古原さんは、放送開始前に撮ったOPでは、抜けるような色白お肌のせいもあって、戦士、それもレーサー出身にしてはちょっと顔が丸いかな?と思ったのがどんどん小顔に、締まって来ている。ヴィジュアルもかっこよくなる一方のゴーオンジャーたち。次回からガイアーク勢にも新キャラ参加ですって。ヨゴシュタイン様の副官とか。「ルネッサーンス」の髭男爵みたいになるのかな。ますます目が離せません。

『花衣夢衣』37話。真帆(吉田真希子さん)は「澪(吉田真由子さん)には知られないように」「私たちの愛は、2人だけ一生の秘密よ」と将士(眞島秀和さん)と言い交わしてはいますが、本音は“早く何もかも露見して将士さん&澪の家庭もぜんぶゼロ、カオスになってほしい”“誰か気づいて暴露してほしい”のでしょうな。でなければ36話でのようにあんなにバレやすい近場で待ち合わせラブラブ不倫旅行出発したり、将士が澪に電話していると察した途端後ろからガー抱きついたりしないはず。不倫を不倫のままもたせるのに必要なのは情熱より計算力、行動制御力なのです。それが無いなら壊すしかない。

いま思えば、水上先生(宮内洋さん)がすすめた見合い相手の家紋職人・西山(山崎秀樹さん)は、20歳真帆(尾崎亜衣さん)に「もっと自分を大事にしろ、きっといい仕事ができる」との思いやりがあったなら、どんな声出して泣かれようが、なだめすかして1回は抱いてあげとくべきでしたね。不幸な米兵暴行事件以降、男の体を怖れ遠ざけ、肌を触れ合う味を知らないまま、33歳で初めて初恋の人と結ばれてしまったから、もう真帆、ブレーキがかからないんだよ。

いちいちチェックしていたら俳優さんたちの演技力以前に、脚本がスカスカだということがいくらでも検証できるこのドラマですが、とりあえず、“異性を好きになったら会いたい、結ばれたい”“結ばれたら別れたくない、捨てられたくない”という男も女も共通の自然な感情、情念に正直に筋立てが組まれてる分、月河は一応好感を持って視聴続けています。

この枠前作の『安宅家の人々』や06年『紅の紋章』のような、主人公たちが思想信条先行の頭でっかちで、“大切なもの(家族・家業・親友・故人の遺志など)を守るため”“余命が短いから”などのこじつけ理由で、「人間、普通この状況でそうは思わない考えないだろう」「その行動はないだろう」という言動を善意でし合っては状況をいよいよ複雑に、解決困難にしていくドラマは、堂本剛さんじゃありませんが正直しんどい。

とことんいっちゃえ真帆。暴れちゃえ澪。頑張れ将士、祐輔(溝呂木賢さん)、安藤(長谷川朝晴さん)の男性陣。人間の隠し看板無い情熱や嫉妬、悪意、欲求をぶつけ合ってこそのこの枠です。

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