イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

上杉ケンジントンパーク

2011-04-17 22:02:45 | テレビ番組

昨日は、NHKBSプレミアム『よみがえる大河ドラマ』を途中から飛び込み視聴。昭和41年の第4作『源義経』~第7作『天と地と』の、それぞれビデオテープ原版が残っている1放送回分だけを、ハリウッドのデジタルリマスター技術で修復お化粧直ししてデジタル放送でご紹介、という長時間SPです。

記念すべき昭和38年の第1作『花の生涯』から第3作『太閤記』までは前週放送したそうで、うーむ、観たかったような、古過ぎてちょっと敬遠したいような。昭和381963年となると、実家にもご近所にもテレビがあったかどうかの記憶すら怪しい。

4作以降も、『源義経』最終話の緒形拳さん弁慶圧巻の立ち往生場面はうっすら覚えてるような気もするけれど、静御前を富司純子(当時は藤純子)さんが演じていて、義経役尾上菊五郎(当時は菊之助)さんとのここでの初共演がきっかけで7年後に結婚されたのだ、なんて聞くと、そうだっけ?出てたっけお竜さん?とおぼろげになります。

5作『三姉妹』も視聴した記憶はほとんどないけれど、クリハラ“コマキ”という、当時は非常にユニークな響きだった芸名の女優さんの記憶はある。スタジオゲストとして来演されていましたが、アイラインの描き方などちょっと昔の舞台出身女優さんにありがちな“時代止まってる感”はありつつも、そこはかと清らかな香りのする雰囲気は変わっておられず、当時からのコマキストの皆さんも胸をなでおろしたでしょう。

6作『竜馬がゆく』はOPの雲海の映像だけは結構鮮明に記憶があります。当時25歳の北大路欣也さんがとにかく若い。おまけにモノクロ放送仕様のメイクでいや増しにお顔が濃い。武市半平太役で時代劇初挑戦だったという高橋英樹さん、龍馬の猛姉乙女役の水谷八重子(当時は良重)さんも含めて、ものすごい勢いで膨大な台詞を洪水のようにしゃべっていて、終始カメラは長回し気味だし、こりゃ役者さんは大変な労力だったろうなと思いました。演出が和田勉さん。概して昔のドラマは演出が素直と言うか端正と言うか、アナログに徹してヘンな小細工をしていない(できなかった)ので、絵ヅラは古くても視聴感は嫌味がないですね。

昭和44年の第7作『天と地と』はこれも記念すべき、カラー制作第1作だそうですが、「そうそう、カラーだったね」と思い出すふしがまったくないのは、当時は実家のTVがカラー化未だしだったのでしょうな。ハリウッド由来の映像リカバー技術のおかげもあるにしても、メイクがモノクロ作品とは根本から違う。

最終話ではないけれど、終盤の最大のヤマ場=川中島の戦いの回が保存されていてラッキーでしたね。当時は撮影用のビデオテープがえらく高価で貴重だったため、放送が終了すると別の番組撮影用に使い回すのがつねだったそうで、保存されている作品はごく稀だそうです。

主役・上杉謙信役の石坂浩二さん28歳、これまた若い。謙信と言えばコレ…のトレードマーク白頭巾も弁慶風で、それはともかく鼻ヒゲが超絶似合ってない。『天地人』後半戦での妻夫木聡さんといい勝負なくらい似合ってない。よく少女漫画に出てくる“ヒゲと法令線だけで老けてる、二枚目中年お父さまキャラ”みたい。

設定の川中島の頃は謙信公は30代半ばぐらいだったはずで、別にそんなに無理クリ外見を老けさせなくてもよかったんじゃないかと思いますが、青年期からずっと演じてこられて、川中島をピークに持ってくる作劇上、どこかに“年を経て達した境地”感を出す必要があったのかもしれません。謙信視点での独白ナレーションも多く、とりあえず石坂さんの、後年数々ナレーター起用もされる、発声・口跡の聞きやすさは際立っています。

ただ、聞きやす過ぎ軽やか過ぎて、戦国時代モノっぽくなかったかも。『太閤記』で緒形拳さんの太閤秀吉の側近・石田三成役が好評だったことがこの作品での主役につながったのでしょうが、当時月河の実家家族や大人たちなどは「越後の軍神にしてはちょっとカンロクがないねえ」と評していた記憶が。特に実家母方の祖父や伯父たちには、いまで言う戦国武将マニアみたいな人が結構多かった。

あと、スタジオトークで石坂さん本人が時効バレしていたように、武田信玄役高橋幸治さんとは別撮りで合成しての一騎打ち場面だったので、信玄ひとり座して守る本陣へ、単騎突っ込み馬上から斬りかかる謙信!という迫力もいまいち、いま2いま3…(以下略)。その分、両陣営の主要脇役さんたちの活躍や顛末を個別に追うシークエンスを挟んで、序盤から継続視聴していた人なら「あぁあの人が討たれちゃった」「あの人は生き残った」とそれなりに手に汗握る回ではあったでしょう。むしろ、この回の後の2話をどうもたせたのか疑問なほど。

ドラマリプレイの後スタジオに戻ると、“ミスター大河ドラマ”石坂さんもさすがに御年今年70歳の年輪ですね。かつての細身二枚目俳優さんの、中高年になってからの太り方としては全然許容範囲なんだけど、クチもと、特に歯の色の濁り方にお年が。あんまり人工的な、義歯義歯したホワイトニングも逆に見苦しいですが、昨年暮れの『紅白歌合戦』での復帰したての桑田佳祐さんのアレなども思い出して、もしや『水戸黄門』降板の原因になった病気の影響が?と要らない心配してしまいます。

高齢ベテラン俳優さんたち、現役でご活躍を続けられるのは役者として幸せなことですが、露出のしかたが難しいですね。一歩間違えれば、出るほうも疲れて、観るほうもがっかり、なんてことになりかねないですからね。

大河出演本数、演じた役柄数では石坂さんより多いか少ないかわかりませんが、“大河が俳優キャリアのステップアップに直結した”例では緒形拳さんも最右翼だったと思います。『太閤記』では主従でしたが、実は石坂さんより4歳上なだけ。お元気であれば当然コメントゲストオファーができたでしょうに。

作品で役を演じるのが俳優さんの本業ですが、TVドラマ界も熟したジャンルになってきているだけに、ベテランさんには“草創を語り伝える”という役割も大きいと思う。いまさらながら惜しい人を亡くしました。

…あと、高橋幸治さんの信玄が、石坂さんの謙信のことを「越後の小童」と呼んでましたな。いまドラマ界で「コワッパ!」が似合う人と言えば、『霧に棲む悪魔』の榎木孝明さん扮する玄洋伯父さま。劇中で時計いじってるうち、時間が戦国時代に戻って止まっちゃってるのかな。

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