イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

ほんだらほだらだ

2011-04-19 20:27:05 | 朝ドラマ

タケオくん(@『おひさま』)が現代までお元気でよかったよかった(18日放送)。

成熟版陽子=若尾文子さんが語る、女学生陽子(井上真央さん)時代の昭和13年時制では、お母さん(角替和枝さん)からリアルに「あきらめろ、ありゃ脈がねぇ」とクギさされているように、尋常小学生坊主からのあこがれの陽子ちゃんと、どうにかなる望みはドラマ的に期待薄そうだけど、大正末のほう生まれの男子で、学校の成績はともかく身体には問題なさげだし、甲種合格で戦局煮詰まってくる前に兵隊に取られて若い命を?…とひそかに心配していたんですよ。特に信州からの入隊組はなぜか、南方など激戦地に送られた人が多いと聞いたことがありますから。

 現在時制では、成熟陽子同様80代半ば、或いは90歳近いんじゃないかと思われる成熟タケオくん、いやタケオさん、依然あこがれの陽子の近隣に在住、頻繁に自作の野菜などタダで届けてくれているようです。きゃー。劇中出てくるたびに、見るもの聞くものあらゆることにキャンキャンワンワン、スピッツみたいに反応する聞き役房子さん(斉藤由貴さん)と、今回ばかりはこっちもシンクロしてきゃーきゃー言ってしまいました。

房子さん、先週放送分の最後で「…タケオくんも気になるし」と言及してくれてましたしね。特段、女学生陽子と少年タケオ(柄本時生さん)との絡み描写や、若尾さんヴォイスの「タケオくんはそのときね…」等という説明ナレーションは無くても、昔話として画面に映った事どもは房子さんに伝わっている設定と考えてよさそう。伝われば、気になるよねタケオくん。主婦業“がんばってるのに家族に有難がられなくてショボーン”な房子さんは、登場人物の中でもタケオくんに共感する部分が多そうです。

しかも、熟年タケオ役は犬塚弘さん。出るとしたら柄本明さんしかないんじゃないかと勝手に考えていましたが、クチ下手で棒立ち気味でヌボーーッとした感じ、浅黒くてさりげなく歯が秀でて、結構、見た目の連携のいいキャスティングじゃないですか。

犬塚さん、ドラマで俳優としては3年ほど前のNHKドラマSP『海峡』以来の拝見のような気がします。戦前は数々の論文をものした教授だったのに、戦後焼け出されて闇の露天古着商をしながら粘り強く著述を続ける学者さん役。長谷川京子さんと眞島秀和さんの、海峡を渡っての許されないかりそめの結婚生活を近隣で見守る、地味でも頼もしい役でした。古くは月河贔屓枠の東海テレビ昼帯ドラマ『愛の嵐』で田中美佐子さんが嫁ぐ大河内家の、影が薄いが人のいい婿養子舅役も忘れ難い。

クレージーキャッツ時代、センターでウケを取って目立つ担当ではなかったけれど、ひょろっとノッポで面長、特徴ある風貌で、持ち楽器ウッドベースのサイズに負けてない犬塚さんが、向かって右サイドを固めていることで、クレージー全体の芸能のクォリティがかなり下支え、というか“右支え”されていたと思います。植木等さんの当たり役『無責任男』シリーズと対極を行くキャラの、クソもバカも一緒に付くような超ド真面目な侍役で主演された『ほんだら』シリーズなんてのも、かなりの拾いモノ佳作喜劇でした。

4年前の植木さんに続いて、昨年はメンバーの中で若いほうだった谷啓さんも他界され、犬塚さんもお淋しいことでしょうが、今作でお元気な姿を見ることができて「どっこい昭和」となんとなく元気が出ちゃいましたよ。犬塚さんを見ていると、ブーム去りし後、脇に徹して出続けること、演じ続けることで“ブームのさなかは渋いポジションだったのに、気がつけば元メンバーの中でいちばん出番が多い”立場になった、岸部一徳さんが重なることもあります。

今年82歳。まだまだ末長くお顔を見せ存在感を発揮してほしいと思います。とりあえず熟年タケオさんとしては、今後現代時制場面で登場するたびに、何かしら熟年陽子に自家産品を差し入れ、そのたびに房子にきゃーきゃーリアクションされるのだろうなあ。セリフが少なそう。一度ぐらいはびしっと、言いたいこと言えるシーンを用意してあげてほしいですね。

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